導入|「可能性がある」と「可能性が高い」は同じ意味?
「明日は雨が降る可能性があります」
「明日は雨が降る可能性が高いです」
この2つの文は、どちらも自然な日本語です。しかし、聞いた人が受け取る印象は少し違います。
1つ目は、雨が降ることも考えられる、という意味です。
一方、2つ目は、雨が降ると予想する理由があり、実際に雨になる見込みが大きいことを表しています。
つまり、この2つの表現では、話し手がその出来事をどの程度強く予想しているかが違うのです。
どちらも日常会話やニュース、仕事の場面で使われますが、状況に合わせて選ぶ必要があります。
今回は、具体的な場面を見ながら、「可能性がある」と「可能性が高い」の自然な使い分けを学びましょう。
まず場面で考えてみよう|明日の試合は中止になる?
あなたは学校のサッカー部に所属しています。
明日は大切な試合がありますが、天気が少し心配です。
次の2つの状況を考えてみてください。
状況A:天気が変わるかもしれない
現在は曇っていますが、天気予報によると、明日は雨が降るかもしれません。
この場合、次のように言えます。
「明日の試合は、雨で中止になる可能性があります」
中止になることも考えられますが、まだどうなるかは分かりません。
状況B:大雨が予想されている
天気予報では、明日は朝から大雨になると言っています。学校からも、試合の開催について検討しているという連絡がありました。
この場合は、次の表現が自然です。
「明日の試合は、雨で中止になる可能性が高いです」
大雨の予報や学校からの連絡など、中止を予想する具体的な理由があります。
このように、同じ「試合が中止になる」という内容でも、状況によって表現が変わります。
「可能性がある」は、その出来事が起こることも考えられる場合に使います。
「可能性が高い」は、その出来事が起こる見込みが大きいと判断している場合に使います。
ただし、「可能性が高い」と言っても、必ずそうなると決まったわけではありません。
場面1:日常会話で使うなら
日常会話では、まだ分からない予定や、これから起こる出来事について話すことがよくあります。
そんなとき、「可能性がある」は幅広く使える便利な表現です。
「可能性がある」:そうなることも考えられる
A:田中さん、今日の飲み会に来ますか?
B:仕事が忙しいらしいので、来られない可能性がありますね。
この会話では、田中さんが飲み会に来られないかもしれない、と話しています。
実際に来るかどうかは、まだ分かりません。
「可能性が高い」:そうなると思う理由がある
A:田中さん、まだ会社にいるんですか?
B:ええ。今日は締め切り前で仕事がたくさん残っているそうです。
A:それなら、飲み会に来られない可能性が高いですね。
この場合は、田中さんが飲み会に来られないと考える理由が、より具体的になっています。
そのため、「可能性が高い」を使うと自然です。
なお、普段の会話では、もっとやわらかい言い方もできます。
- 可能性がある → 来られないかもしれません。
- 可能性が高い → 来られないと思います。/たぶん来られないでしょう。
「可能性がある」「可能性が高い」は、どちらも少し説明的な響きがあります。
友達との会話だけでなく、先生への報告や仕事での説明などにも使いやすい表現です。
場面2:文章やニュースで使うなら
ニュースや説明文では、出来事について客観的に説明しようとするため、「可能性がある」と「可能性が高い」の両方がよく使われます。
ただし、情報の確かさや予測の強さによって、選ばれる表現が変わります。
「可能性がある」:考えられる状況やリスクを伝える
例文:
「今夜から雨が強まり、一部の地域では道路が冠水する可能性があります。」
この文章は、道路が冠水する危険性があることを知らせています。
実際に冠水するかどうかを断定しているわけではありません。
ニュースのほか、安全に関する注意書きや説明文でもよく見られる使い方です。
「可能性が高い」:起こる見込みが大きいことを伝える
例文:
「台風が接近しているため、明日の航空便は欠航する可能性が高いとみられています。」
この文章では、台風の接近という具体的な状況から、欠航になる見込みが大きいと伝えています。
「可能性が高い」は、予測や分析の結果を説明する文章にも適しています。
例えば、次のような場面です。
- 天気予報や災害に関するニュース
- 経済や市場の動向を説明する記事
- 調査結果や研究結果の報告
- 企業の事業計画やリスク分析
ただし、「可能性が高い」は「確実である」と同じ意味ではありません。
ニュースや読解文では、この違いに注意しましょう。
場面3:感情や評価が入るなら
「可能性がある」と「可能性が高い」は、どちらも予測や判断を表す言葉です。
表現そのものに強い感情が含まれているわけではありません。
しかし、話し手の期待や心配、これまでの経験などが、表現の選び方に影響することがあります。
期待を表す場合
例えば、友達がJLPT N2の試験を受けたとします。
A:彼はN2に合格できそうですか?
B:合格する可能性はあると思いますよ。
この場合は、「合格することは十分考えられる」という意味です。ただし、この表現だけでは、合格の見込みがどのくらい大きいかは分かりません。
一方、次のような状況ではどうでしょうか。
A:彼はN2に合格できそうですか?
B:模擬試験では毎回高い点数を取っているので、合格する可能性は高いと思いますよ。
こちらは、模擬試験の結果という理由があるため、合格への期待がより強く伝わります。
心配やリスクを表す場合
仕事でシステムの問題が見つかったとしましょう。
「このままでは、システムに不具合が発生する可能性があります。」
これは、不具合が起こることも考えられるため、注意が必要だという説明です。
一方、
「すでに同じエラーが何度も発生しているため、再び不具合が起こる可能性が高いです。」
と言えば、過去の状況をもとに、再発する見込みが大きいと判断していることが伝わります。
ここで覚えておきたいのは、「可能性がある」が主観的で、「可能性が高い」が客観的という単純な区別ではないことです。
どちらの表現も、客観的な情報に基づく場合と、話し手自身の判断に基づく場合があります。
大切なのは、何を理由に、どの程度強く予想しているかという点です。
2つの語の違いを整理
ここまでの内容を整理してみましょう。
「可能性がある」
- ある出来事が起こることも考えられる。
- 実際に起こるかどうかは、まだ分からない。
- 可能性の大きさまでは明確に示さない。
- 日常会話、ニュース、説明文、注意書きなどで使える。
- リスクや選択肢を示す場面にも適している。
例:
「予定が変更になる可能性があります。」
予定が変わることも考えられる、という意味です。
「可能性が高い」
- ある出来事が起こる見込みが大きい。
- 予想を支える情報や理由がある場合によく使われる。
- 「可能性がある」よりも強い予測を伝える。
- ニュース、調査報告、分析、仕事での説明などにも適している。
- 見込みは大きいが、確実に起こるとは限らない。
例:
「参加希望者が少ないため、イベントが中止になる可能性が高いです。」
参加希望者の数という状況から、中止になる見込みが大きいと判断しています。
重要なのは、「可能性がある」=「可能性が低い」ではないということです。
「可能性がある」は、可能性の大きさを特定しない表現です。この点を混同しないようにしましょう。
例文で確認|どんな場面で使う?
実際の例文を通して、自然な使い方を確認してみましょう。
例文1:日常の予定
「明日は急な仕事が入る可能性があるので、まだ予定を決められません。」
明日の予定が不確かなときに使える表現です。仕事が入ると決まっているわけではありません。
例文2:天気についての予測
「天気予報では一日中雨となっているので、遠足が延期になる可能性が高いです。」
雨の予報という具体的な理由から、延期の見込みが大きいことを伝えています。
例文3:学校での会話
「今回の試験は前回より難しいので、平均点が下がる可能性があります。」
試験の難しさから、平均点が下がることも考えられる、という意味です。
例文4:JLPTの学習
「彼は最近の模擬試験で毎回合格点を超えているので、N2に合格する可能性が高いと思います。」
模擬試験の結果をもとに、合格への強い見込みを伝えています。
例文5:仕事での報告
「部品の納入が遅れているため、製品の出荷予定が変更になる可能性があります。」
予定の変更について、あらかじめ関係者に知らせる場面で使える表現です。
例文6:販売予測
「予約数が当初の予想を大きく上回っているため、この商品は発売後すぐに売り切れる可能性が高いです。」
予約状況という具体的なデータから、売り切れる見込みが大きいと予測しています。
例文7:ニュース
「地震の影響により、一部の鉄道路線では運転の再開が遅れる可能性があります。」
今後起こるかもしれない状況について、利用者に注意を促す文章です。
例文8:調査や研究
「今回の調査結果から、生活習慣の変化が睡眠時間に影響している可能性が高いと考えられます。」
調査結果を根拠として、ある説明が当てはまる見込みが大きいと述べています。
「可能性が高い」は、このような分析的な文章でもよく使われます。
JLPT読解での見方|予測の強さを読み取ろう
JLPT N3〜N2の読解問題では、文章の内容だけでなく、筆者がどの程度強く判断しているかを読み取ることも大切です。
例えば、次の文章を見てください。
読解例
「近年、この地域では夏の平均気温が上昇している。今後も気温が上がり続ければ、農作物の生産量に影響が出る可能性がある。特に、水不足が続いている地域では、収穫量が減少する可能性が高いと考えられている。」
この文章には、「可能性がある」と「可能性が高い」の両方が使われています。
それぞれの意味を確認しましょう。
「生産量に影響が出る可能性がある」
これは、気温の上昇によって生産量に影響が出ることも考えられる、という意味です。
一方、
「収穫量が減少する可能性が高い」
こちらは、水不足が続いている地域では、収穫量が減る見込みが大きいと説明しています。
つまり、筆者はすべての地域について、同じ強さで予測しているわけではありません。
このような違いは、読解問題の正誤判断でも重要になります。
読解問題で注意したいこと
特に、次の3つの区別を意識してください。
- 「可能性がある」:起こることも考えられるが、見込みの大きさは特定していない。
- 「可能性が高い」:起こる見込みが大きい。
- 「確実である」「必ず〜する」:起こることを確かなものとして表している。
例えば、本文に「収穫量が減少する可能性が高い」と書かれていても、「収穫量は必ず減少する」という選択肢が正しいとは限りません。
予測と確定は違うからです。
また、本文に「可能性がある」と書かれているだけで、「可能性は低い」と判断するのも間違いです。
読解問題では、表現だけを見るのではなく、その前後にある理由や条件も確認しましょう。
「なぜ筆者はそう考えているのか」
「どの程度強く予想しているのか」
この2つを意識すると、文章の細かいニュアンスが読み取りやすくなります。
まとめ|「可能性がある」と「可能性が高い」を使い分けよう
今回は、「可能性がある」と「可能性が高い」の違いを、日常会話やニュース、仕事、JLPT読解などの場面から確認しました。
最後に、使い分けのポイントを整理しましょう。
- ある出来事が起こることも考えられる場合は、「可能性がある」。
- ある出来事が起こる見込みが大きい場合は、「可能性が高い」。
- どちらも日常会話や文章で使えるが、少し説明的な響きがある。
- 「可能性がある」は、必ずしも可能性が低いことを意味しない。
- 「可能性が高い」も、確実に起こるという意味ではない。
似ている日本語表現を覚えるときは、単語の意味だけを暗記するのではなく、具体的な場面や前後の文脈と一緒に理解することが大切です。
特にJLPT N3〜N2では、こうした小さなニュアンスの違いが、読解力や語彙力の向上につながります。
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