「授業を受ける」と「試験を受ける」の共通点と違い

2026年09月23日(水) 07時10分03秒

更新: 2026年09月23日(水) 07時10分03秒

「授業を受ける」と「試験を受ける」の共通点と違い

午前は授業、午後は試験

大学の廊下で、二人の学生が話しています。

「今日の午後、図書館に行かない?」

「ごめん。午前中は日本語の授業を受けて、午後は試験を受けるんだ。」

一人の学生が一日の予定を説明しています。

午前中にするのは「授業」。

午後にするのは「試験」。

内容はまったく違います。

それなのに、日本語ではどちらにも同じ動詞が使われています。

授業を受ける
試験を受ける

なぜ、どちらも「受ける」なのでしょうか。

この二つの「受ける」に注目

まず、先ほどの学生の立場を考えてみましょう。

「授業を受ける」とき、学生は先生から説明を聞いたり、練習したり、新しいことを学んだりします。

一方、「試験を受ける」ときは、問題を読み、自分で答えを考え、知識や能力を評価されます。

していることは違います。

しかし、学生の立場には一つの共通点があります。

どちらも、自分が中心になって何かを作り出しているのではなく、外から与えられる活動に参加しているのです。

授業では、先生や学校が用意した授業に参加します。

試験では、学校や試験機関が用意した試験に参加します。

この「あるものを自分の側で経験する」という感覚が、「受ける」に共通しています。

「受ける」は、ただ「receive」ではない

日本語を勉強していると、「受ける=receive」と覚えることがあります。

もちろん、

「プレゼントを受け取る」

のように、何かをもらうイメージにつながる場合もあります。

しかし、「授業を受ける」「試験を受ける」の「受ける」は、物をもらうという意味ではありません。

ここでは、

他の人や組織が用意した働きかけ、サービス、評価などを、自分の側で経験する

というイメージで考えると理解しやすくなります。

そのため、日本語では次のような言い方もよく使われます。

  • 指導を受ける
  • 研修を受ける
  • 面接を受ける
  • 診察を受ける
  • 治療を受ける
  • 説明を受ける
  • 試験を受ける

すべて意味は違いますが、「何かを受ける側にいる」という点が共通しています。

「授業を受ける」では何が起きている?

では、二つの表現をもう少し細かく見てみましょう。

まずは「授業を受ける」です。

教室を想像してください。

先生が前に立ち、学生に文法を説明しています。

学生はノートを取り、質問に答え、ときどき隣の学生と会話練習をします。

このとき、

学生は日本語の授業を受けています。

と言えます。

ここで注目したいのは、授業を行う側と受ける側が違うことです。

先生の立場なら、

先生が授業をする。
先生が授業を行う。

と言えます。

学生の立場なら、

学生が授業を受ける。

となります。

つまり、「受ける」を使うことで、誰の立場からその出来事を見ているのかも分かるのです。

「試験を受ける」では何が起きている?

今度は午後の試験会場を想像してみましょう。

学生たちは静かに座っています。

机の上には問題用紙があります。

試験官が言います。

「では、始めてください。」

学生は問題を解き始めます。

この場合、

学生は試験を受けています。

と言います。

ここでも、試験を準備したのは学生本人ではありません。

学校や試験機関が試験を用意し、学生はそこに参加して評価を受けます。

つまり、

「授業を受ける」

では教えてもらう活動に参加し、

「試験を受ける」

では評価される活動に参加しています。

同じ「受ける」でも、前にある名詞によって、何を経験するのかが変わるのです。

別の場面に変えるとどうなる?

「受ける」は学校以外でもよく使います。

会社で研修を受ける

新入社員が会社に入りました。

最初の一週間は、仕事の方法や会社のルールを学びます。

新入社員は入社後に研修を受けます。

研修を準備するのは会社です。

新入社員は、その研修に参加する側です。

「授業を受ける」とよく似た関係ですね。

病院で診察を受ける

体調が悪くなり、病院へ行きました。

医師が症状を聞き、体を調べます。

病院で医師の診察を受けました。

ここでも患者は診察を行う側ではなく、診察される側です。

就職活動で面接を受ける

会社に応募すると、面接の日が決まりました。

来週、東京の会社で面接を受けます。

面接では質問に答え、自分の経験などを説明します。

「試験を受ける」と同じように、評価される場面です。

このように見ていくと、「受ける」が単なる一つの訳語では理解できないことが分かります。

大切なのは、場面の中で「誰が何を受ける側なのか」を考えることです。

「授業をする」に変えたらどうなる?

同じ教室でも、

授業を受ける

と

授業をする

では、立場が大きく変わります。

学生について、

私は大学で日本語の授業を受けています。

と言えば、普通は学生として授業に参加していると分かります。

一方、

私は大学で日本語の授業をしています。

と言えば、文脈によっては「授業を担当している」、つまり先生側の意味になります。

「授業」という名詞だけを見ても、誰の立場なのかは分かりません。

動詞まで見ることで、場面が見えてきます。

これはJLPTでも非常に重要です。

「授業に出る」と「授業を受ける」は同じ?

似た表現に、

授業に出る

があります。

たとえば、

明日は朝9時から授業に出ます。

という言い方ができます。

「授業に出る」は、授業に出席することに注目した表現です。

一方、

授業を受ける

は、その授業に参加して、先生から教わるという活動全体を表しやすい表現です。

そのため、

毎週火曜日にオンラインで日本語の授業を受けています。

という文では、「日本語を習っている」という意味が自然に伝わります。

もちろん、実際の会話では両方使える場面もあります。

ただし、完全に同じではありません。

どこに注目しているのかが少し違います。

では「試験に出る」と言える?

ここは特に注意が必要です。

「授業に出る」があるなら、

「試験に出る」

も「試験を受ける」という意味になりそうですね。

しかし、なりません。

たとえば、

この文法はJLPTによく出ます。

と言えば、「この文法が試験問題として出題される」という意味です。

同じように、

この漢字は試験に出ます。

は、

「この漢字が試験問題として出題されます」

という意味です。

つまり、

明日、試験を受けます。

は自然ですが、

明日、試験に出ます。

と言うと、「自分が試験問題に登場する」というような不自然な意味になってしまいます。

「授業に出る」と「試験に出る」は、形が似ていても意味が違うのです。

このような違いは、単語を一語ずつ覚えているだけでは判断しにくいところです。

日本語は「名詞+動詞」で覚えると強くなる

「授業」と「試験」の意味だけを知っていても、

どの動詞と組み合わせるのかが分からなければ、自然な日本語にはなりません。

日本語には、よく一緒に使われる組み合わせがあります。

たとえば、

  • 授業を受ける
  • 試験を受ける
  • 面接を受ける
  • 診察を受ける
  • 研修を受ける
  • 指導を受ける

のような組み合わせです。

反対に、

  • 授業をする
  • 試験を行う
  • 面接をする
  • 診察をする
  • 指導をする

のように、行う側では別の動詞が使われます。

単語帳で、

「授業=class」

「受ける=receive」

と別々に覚えるだけではなく、

授業を受ける

というまとまりで場面と一緒に覚えると、文章を読んだときにも意味をつかみやすくなります。

JLPTでは「受ける」だけを見ない

JLPTの語彙問題では、動詞だけを見て答えようとすると迷うことがあります。

そんなときは、その前にある名詞を見てください。

たとえば、次の問題を考えてみましょう。

来月、日本語能力試験を(   )予定です。

  1. 受ける
  2. 出る
  3. 教える
  4. 届ける

ここでは「試験」という名詞があります。

「試験を受ける」という組み合わせを知っていれば、1を選べます。

しかし、本番ではもう少し難しくなることがあります。

たとえば、

来週から新入社員向けの研修を(   )ことになりました。

この文だけなら、「受ける」の可能性も「担当する」の可能性も考えられます。

そこで前後の文章を読みます。

「私は今年入社したばかりです。」

とあれば、研修を受ける側でしょう。

反対に、

「私は人事部で新人教育を担当しています。」

とあれば、研修を行う側かもしれません。

つまりJLPTでは、

単語の意味 → 名詞と動詞の組み合わせ → 人物の立場 → 場面

の順に考えると、選択肢を絞りやすくなります。

「同じ動詞なのに意味が違う」と考えすぎない

「授業を受ける」と「試験を受ける」を見ると、

「受けるには意味がたくさんあるから、全部暗記しなければならない」

と思うかもしれません。

しかし、一つずつ別の意味として暗記する必要はありません。

まず、

自分が何かを受ける側にいる

という共通のイメージを持ってください。

そこから、

「授業」なら教わる。

「試験」なら評価される。

「診察」なら医師に診てもらう。

「研修」なら教育や訓練を受ける。

というように、名詞によって具体的な場面が決まります。

こう考えると、「受ける」の使い方が一つのイメージでつながってきます。

もう一度、最初の学生を見てみよう

最初の学生はこう言っていました。

午前中は日本語の授業を受けて、午後は試験を受けるんだ。

記事を読む前なら、

「どちらも『受ける』を使うんだな」

くらいに感じたかもしれません。

しかし今なら、もう少し具体的に場面を想像できます。

午前中、学生は先生が行う授業に参加し、教えてもらいます。

午後、学生は学校が用意した試験に参加し、自分の知識や能力を評価されます。

活動の内容は違います。

しかし、どちらも学生は「受ける側」です。

だから日本語では、

授業を受ける
試験を受ける

という同じ形が自然に使われるのです。

意味を知ったら、次は場面の中で選んでみよう

JLPT N3〜N2では、単語の意味を知っているだけでは解けない問題が増えてきます。

「この単語は何という意味か」だけではなく、

「この人物はどんな立場なのか」

「この名詞にはどの動詞が自然なのか」

「この場面なら、日本人はどの表現を選ぶのか」

まで考える必要があります。

「授業を受ける」「試験を受ける」のような表現も、実際の文章の中で何度も判断することで、自分の感覚として身についていきます。

日本語学習サイト「RJT(Rapid Japanese Training)」では、語彙や文法を実際の問題の中で確認できます。

意味を覚えたところで終わらせず、「この場面ならどの表現が自然だろう」と考えながら問題を解いてみてください。

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