「約束を守る」の使い方。約束に使う自然な動詞まとめ

2026年09月20日(日) 07時16分22秒

更新: 2026年09月17日(木) 08時45分48秒

「約束を守る」の使い方。約束に使う自然な動詞まとめ

土曜日の午後、駅前のカフェ。

健太は窓際の席に座り、何度もスマートフォンの時計を見ています。

三時になる少し前、友人のマリアが店に入ってきました。

「早いね。三時ちょうどに来ればよかったのに」

健太がそう言うと、マリアは笑いました。

「だって、三時に会うって約束したでしょう。約束は守らないと」

特別に難しいことをしたわけではありません。

決めた時間に、決めた場所へ来ただけです。

それでも、日本語ではここで「約束を守る」と言います。

なぜ「約束をする」ではなく、「約束を守る」なのでしょうか。

そして、「約束を果たす」「約束を破る」とは何が違うのでしょうか。

この場面の「約束を守る」に注目

二人はすでに「土曜日の三時に会う」と決めていました。

つまり、約束そのものは以前に作られています。

今日マリアがしたことは、新しい約束を作ることではありません。

前に決めたことを、そのとおり実行したのです。

そこで、

約束を守る

という表現が使われます。

「守る」と聞くと、

  • 子どもを守る
  • 国を守る
  • 大切な人を守る

のように、危険から何かを守る場面を思い浮かべる人もいるでしょう。

しかし、日本語の「守る」はそれだけではありません。

決められたことから外れない、という意味でもよく使われます。

たとえば、

  • ルールを守る
  • 規則を守る
  • 時間を守る
  • 秘密を守る
  • 約束を守る

です。

先ほどのマリアは、「三時に会う」という二人の決めごとから外れませんでした。

だから「約束を守った」と言えるのです。

別の場面ではどう使う?

「約束を守る」は、友達との待ち合わせだけに使う表現ではありません。

場面を変えて見てみましょう。

学校で

先生が学生に言いました。

「レポートは金曜日までに出してください」

学生は答えます。

「はい。必ず出します」

そして金曜日、学生はきちんとレポートを提出しました。

先生はこう言うかもしれません。

ちゃんと約束を守りましたね。

ここでも、「言ったことを実際に行った」という点が重要です。

家族との間で

父親が子どもに言います。

「ゲームをする前に宿題をするって約束したよね?」

子どもが先に宿題を終わらせれば、

約束を守った。

と言えます。

反対に、宿題をしないでゲームを始めれば、

約束を破った。

となります。

仕事で

取引先に、

「明日の午前中までに資料を送ります」

と伝えたとします。

実際に翌日の午前中までに送れば、

約束を守った。

送らなければ、

約束を守れなかった。
約束を破ってしまった。

ということになります。

友人、家族、学校、仕事。

場面は違っても、「以前に決めたことをそのとおり実行する」という中心は変わりません。

「約束をする」に変えたらどうなる?

では、最初のカフェの場面に戻りましょう。

マリアの言葉を、

約束は守らないと。

ではなく、

約束はしないと。

に変えるとどうでしょうか。

意味が変わってしまいます。

「約束をする」は、約束を作るときに使う表現だからです。

たとえば、

来週、またここで会う約束をした。

この文では、「来週会おう」と二人で決めています。

時間の流れで考えると分かりやすくなります。

まず、

約束をする

そして、そのあとで、

約束を守る

となります。

つまり、

約束をする → 約束どおり行動する → 約束を守る

という流れです。

「約束」という同じ名詞を使っていても、一緒に使う動詞によって、約束のどの段階を表しているかが変わります。

「約束を果たす」に変えると?

もう一つ、よく使われる表現があります。

約束を果たす

です。

「守る」と「果たす」は似ています。

どちらも、約束したことを実際に行ったときに使えます。

しかし、感じ方には少し違いがあります。

たとえば、

父は息子をいつか北海道へ連れて行くと約束した。

数年後、本当に二人で北海道へ旅行したとします。

この場合、

父は約束を守った。

でも自然です。

そして、

父は約束を果たした。

も非常に自然です。

「果たす」には、以前からすると言っていたことを、最後まで実現するという感じがあります。

そのため、大きな約束や長い間残っていた約束では、「果たす」がよく合います。

たとえば、

必ず故郷に戻るという約束を果たした。

優勝して帰ってくるという約束を果たした。

子どものころに交わした約束を、二十年後に果たした。

このような文では、「約束を果たす」がよく似合います。

一方、日常的な決めごとなら「守る」が使いやすいでしょう。

待ち合わせの時間を守る。

毎日連絡するという約束を守る。

借りたお金を今月返すという約束を守る。

「果たす」が間違いになるとは限りませんが、少し大げさに聞こえる場合があります。

「約束を破る」は反対方向の動き

今度は、マリアが三時になっても来なかったとします。

四時になって、ようやく連絡が来ました。

「ごめん。今日は行けなくなった」

健太はこう思うかもしれません。

約束を破られた。

ここで使われている「破る」は、「守る」と反対の方向を表します。

決めたことから外れてしまうからです。

そのため、

約束を守る

と

約束を破る

は、セットで覚えておくと理解しやすくなります。

同じように、

ルールを守る
ルールを破る

という組み合わせもあります。

日本語では、このように同じ名詞に対して反対の動きを表す動詞が決まっていることがあります。

「約束を交わす」は少し場面が違う

「約束をする」とよく似た表現に、

約束を交わす

があります。

たとえば、

二人は五年後に再会する約束を交わした。

という文です。

意味としては「約束をした」に近いのですが、「交わす」には二人以上の人がお互いに言葉や意思をやり取りする感じがあります。

そのため、

友達と約束をした。

は日常会話で普通に使えます。

一方、

友達と約束を交わした。

と言うと、少し文章的で、約束そのものを強く意識させる表現になります。

小説やニュース、説明文などでも見かける表現です。

「約束」に使う動詞は、約束の流れで覚える

「約束」と一緒に使う動詞を、ばらばらに暗記する必要はありません。

一つの物語として考えると整理できます。

まず、二人が何かを決めます。

約束をする
約束を交わす

そのあと、約束したことを実行します。

約束を守る
約束を果たす

反対に、実行しなければ、

約束を破る

となります。

つまり、「約束」という言葉の前後にどんな出来事があるかを見ると、自然な動詞を判断しやすくなります。

日本語では「約束」だけ覚えても足りない

日本語を勉強するとき、

約束 = promise

のように、名詞だけを覚えてしまうことがあります。

もちろん意味を知ることは必要です。

しかし、実際の日本語では「約束」という名詞だけが単独で出てくるわけではありません。

「何をするか」を表す動詞と一緒に使われます。

そして、その組み合わせには自然なパターンがあります。

たとえば、

  • 約束をする
  • 約束を交わす
  • 約束を守る
  • 約束を果たす
  • 約束を破る

です。

同じような組み合わせは、ほかにもあります。

  • 期限を守る
  • 規則を守る
  • 秘密を守る
  • 責任を果たす
  • 義務を果たす

「守る」「果たす」という動詞だけを覚えるのではなく、「何を守るのか」「何を果たすのか」まで一緒に覚えると、文章を読むときにも使いやすくなります。

JLPTでは動詞だけを見ない

JLPTの語彙問題では、動詞だけを見て答えを決めると迷うことがあります。

たとえば、次の文を考えてみてください。

田中さんは「来月までに必ず返す」と言った。その約束を最後まで___。

選択肢が、

  • 守った
  • 建てた
  • 開いた
  • 飾った

なら、「守った」を選ぶのはそれほど難しくないでしょう。

しかし、N3〜N2では、もっと似た言葉が並ぶことがあります。

そんなときは、動詞だけを見るのではなく、

何を+動詞

という組み合わせで考えてください。

この場合、重要なのは「約束」です。

「約束」と自然に組み合わせられる動詞は何か、と考えるわけです。

さらに、

「来月までに必ず返す」と言った

という前の部分も手がかりになります。

すでに約束は作られています。

問題になっているのは、その約束を実行したかどうかです。

つまり、「約束をする」段階ではありません。

文全体の時間の流れを見ることで、「守る」が自然だと判断できます。

「果たす」と「守る」の両方がありそうなときは?

少し難しい問題では、

守る
果たす

のように、どちらも意味が近い言葉が出てくる可能性があります。

その場合は場面を想像してください。

日常的なルールや決めごとから外れないことが中心なら、

守る

が自然です。

一方、以前からすると言っていたことを最終的に実現した、という感じが強ければ、

果たす

がよく合います。

たとえば、

毎晩十時までに帰るという約束を___。

なら「守る」が自然です。

一方、

亡くなった祖父との約束を、二十年後ようやく___。

なら「果たす」がよく合います。

単語の日本語訳だけでは、この違いは見えにくいでしょう。

そこで役に立つのが「場面」です。

誰が、いつ約束し、そのあと何が起きたのか。

そこまで想像すると、選ぶべき動詞が見えてきます。

もう一度、最初のカフェへ

最初の場面を思い出してください。

土曜日の午後三時。

マリアは約束した時間より少し早くカフェに到着しました。

そして言いました。

だって、三時に会うって約束したでしょう。約束は守らないと。

記事を読む前なら、「約束を守る」という表現を一つの言葉として覚えていたかもしれません。

しかし、今なら少し違って見えるはずです。

二人は以前に「三時に会う」と約束しました。

つまり、約束はすでに「した」あとです。

マリアは、その決めごとから外れず、実際に三時までに来ました。

だから、

約束を守る

なのです。

もし二人が今ここで来週の予定を決めるなら、

約束をする。

もし何年も前の大切な約束を実現したなら、

約束を果たす。

もし決めたことをしなかったなら、

約束を破る。

同じ「約束」でも、場面が変われば一緒に使う動詞も変わります。

意味を知ったら、次は文脈の中で選んでみる

JLPTでは、「約束」の意味を知っているだけでは解けない問題があります。

大切なのは、

この場面では、約束を作っているのか。
約束どおり行動しているのか。
約束を実現したのか。
それとも約束を破ってしまったのか。

と考えることです。

単語を一つずつ見るのではなく、前後の文から場面を想像する。

この読み方ができるようになると、語彙問題だけでなく読解問題でも、自然な日本語を判断しやすくなります。

RJT(Rapid Japanese Training)では、こうした表現を実際の問題の中で確認できます。

「分かった」で終わらせず、選択肢の中から自分で自然な表現を選べるか試してみてください。

https://rapid-jt.com/


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