導入
「問題を解決する」と「課題に取り組む」は、仕事や学校、ニュース、JLPTの読解などでよく見る表現です。
どちらも「何かをよくするために行動する」というイメージがあるため、同じように使えると思うかもしれません。
しかし、この2つには大切な違いがあります。
ポイントは、
「困っている状態をなくすこと」なのか、
「よくするために努力を続けること」なのか、
という違いです。
この感覚が分かると、文章の中でどちらを使えば自然なのか、かなり判断しやすくなります。
まず結論
「問題を解決する」は、困った状態やトラブルをなくすことを表します。
「課題に取り組む」は、改善したり目標を達成したりするために、必要なことに向き合って努力することを表します。
短く言えば、
- 問題を解決する → 困った状態をなくす
- 課題に取り組む → よくするために行動する
という違いです。
もう一つ重要なのは、「解決する」は結果を表しやすく、「取り組む」はその途中の行動を表しやすいという点です。
意味の違いを整理
「問題を解決する」とは
「問題」は、今すでに困っていることや、正常な状態をじゃましていることを表します。
そして「解決する」は、その問題の原因をなくしたり、困っている状態を終わらせたりすることです。
たとえば、
- パソコンが動かない
- 商品が届かない
- システムにエラーがある
- 人間関係でトラブルがある
といった状態があります。
こうした困った状態を正常な状態に戻すとき、
「問題を解決する」
と言います。
つまり、「マイナスの状態をゼロに戻す」というイメージを持つと分かりやすいでしょう。
「課題に取り組む」とは
「課題」は、必ずしも今すぐ困っているトラブルとは限りません。
もっとよくするために改善すべきことや、目標を達成するためにしなければならないことも「課題」と言います。
たとえば、
- 売上を増やす
- 学生の日本語力を上げる
- コストを減らす
- 環境への負担を減らす
- サービスの質を高める
などです。
このような課題について、考えたり、調査したり、改善したりしながら行動することを、
「課題に取り組む」
と言います。
「課題に取り組む」は、課題がすでに完全に解決したという意味ではありません。
今、その課題に向かって行動しているという意味です。
使う場面の違い
「問題を解決する」が使われやすい場面
「問題を解決する」は、原因が比較的はっきりしていて、困っている状態をなくしたい場面でよく使われます。
日常会話でも使いますが、仕事やニュースなどでも非常によく使われます。
たとえば、
- パソコンの問題を解決する
- システム上の問題を解決する
- 人間関係の問題を解決する
- 交通渋滞の問題を解決する
- トラブルを話し合いで解決する
などです。
「問題がある → 原因を調べる → 解決する」
という流れをイメージすると理解しやすいでしょう。
「課題に取り組む」が使われやすい場面
「課題に取り組む」は、仕事、教育、行政、研究、環境問題など、少し硬い文章でよく使われます。
特に、
「今後もっとよくするために何をするか」
という話で使われることが多い表現です。
たとえば、
- 経営課題に取り組む
- 少子高齢化という課題に取り組む
- 環境問題という課題に取り組む
- 学力向上の課題に取り組む
- 業務効率化に向けた課題に取り組む
などです。
会社の報告書や新聞記事、JLPT N2レベルの読解文章でもよく見かけます。
例文で確認
「問題を解決する」の例文
例文1
システムに発生した問題を解決しました。
システムにトラブルがあり、それを直したという意味です。
問題はすでになくなった、または正常な状態に戻ったというニュアンスがあります。
例文2
話し合いによって、二人の間の問題を解決することができました。
二人の間に何か困ったことや対立があり、それを話し合いでなくしたという意味です。
ここでは「解決する」という結果が重要です。
例文3
この問題を解決するには、原因を詳しく調べる必要があります。
現在、問題があり、それをなくすためには原因の調査が必要だという意味です。
「問題」と「原因」は一緒に使われることが多い言葉です。
例文4
お客様から指摘された配送の問題をすぐに解決しました。
配送に何かトラブルがあり、それに対応して正常な状態に戻したという意味です。
ビジネスでも自然に使える表現です。
「課題に取り組む」の例文
例文1
会社は業務効率化という課題に取り組んでいます。
会社が仕事をもっと効率よくするために、さまざまな改善を進めているという意味です。
まだ課題が完全に終わったとは限りません。
例文2
日本では、少子高齢化という大きな課題に取り組む必要があります。
少子高齢化に関係する問題を改善するために、長い時間をかけて対策を考える必要があるという意味です。
「取り組む」は、簡単には終わらない大きなテーマにもよく使われます。
例文3
私は日本語の聴解力を上げるという課題に取り組んでいます。
自分の弱い部分を改善するために、現在努力しているという意味です。
「取り組む」は学習についても使うことができます。
例文4
チーム全体で新しい課題に取り組むことになりました。
新しく達成すべきことや改善すべきことに対して、チームで行動を始めるという意味です。
ここでは、まだ結果は出ていません。
「問題」と「課題」そのものの違いも大切
「問題を解決する」と「課題に取り組む」の違いを理解するには、「問題」と「課題」の違いも意識すると分かりやすくなります。
「問題」は、
「このままでは困ること」
という意味が強い言葉です。
一方、「課題」は、
「これから改善したり達成したりする必要があること」
という意味が強い言葉です。
たとえば、
「サーバーが停止した」
のであれば、これは「問題」です。
正常に動くように直せば、
「問題を解決した」
と言えます。
一方、
「Webサイトをもっと使いやすくしたい」
という場合、現在のWebサイトが完全に壊れているわけではありません。
しかし、もっと改善する必要があります。
この場合は、
「使いやすさの向上という課題に取り組む」
という表現が自然です。
間違いやすいポイント
「課題を解決する」は間違い?
「課題を解決する」という表現も使われます。
そのため、
「問題は解決する」
「課題は取り組む」
と完全に分けて覚える必要はありません。
ただし、意味の中心は少し違います。
「課題を解決する」と言うと、その課題について答えや対策を見つけ、解決したという結果に重点があります。
「課題に取り組む」と言うと、その課題に向かって行動している過程に重点があります。
たとえば、
会社は人手不足という課題に取り組んでいます。
なら、現在も対策を進めているという意味です。
一方、
新しい採用制度を導入し、人手不足という課題を解決しました。
なら、対策によって実際に状態が改善されたという意味になります。
「問題に取り組む」も使える
「問題に取り組む」という表現も自然です。
たとえば、
政府は環境問題に取り組んでいます。
という文はよく使われます。
これは「環境問題がすべて解決した」という意味ではありません。
問題を改善するために、現在対策を進めているという意味です。
つまり、
- 問題を解決する → 結果に注目
- 問題に取り組む → 行動や過程に注目
という違いがあります。
「課題を取り組む」は不自然
学習者が間違えやすいのが、
「課題を取り組む」
という形です。
これは不自然です。
「取り組む」を使う場合は、
「課題に取り組む」
と言います。
正しい形は、
課題に取り組む
です。
「取り組む」は「〜に取り組む」という形で覚えておくとよいでしょう。
JLPTでの見分け方
JLPTの読解や語彙問題では、「結果」なのか「過程」なのかを見ることが重要です。
すでに困った状態がなくなったなら「解決する」
文の中に、
- 原因を調べた
- 修理した
- 対策を行った
- トラブルがなくなった
- 正常な状態に戻った
といった内容があれば、「解決する」が選ばれやすくなります。
たとえば、
担当者がすぐに対応したため、システムの問題は無事に___。
という問題なら、
「解決した」
が自然です。
すでに結果が出ているからです。
現在も努力しているなら「取り組む」
文の中に、
- 現在
- 今後
- 長期的に
- 改善を進める
- 努力を続ける
- 対策を進める
といった言葉があれば、「取り組む」が選ばれやすくなります。
たとえば、
企業は現在、環境への負担を減らすという課題に___いる。
なら、
「取り組んで」
が自然です。
現在進行中の行動を表しているからです。
選択肢で迷ったら「終わったか、まだ途中か」を考える
迷ったときは、次のように考えてみてください。
「もう困った状態はなくなったのか?」
そうなら、「解決する」が合いやすいでしょう。
「今も改善のために行動しているのか?」
そうなら、「取り組む」が合いやすいでしょう。
JLPTでは、単語だけを見るのではなく、その前後にある「結果」と「過程」を示す言葉を探すことが大切です。
まとめ
「問題を解決する」と「課題に取り組む」は、どちらも何かをよくするための行動に関係する表現ですが、注目しているポイントが違います。
- 問題を解決する → 困った状態をなくす。結果に注目する。
- 課題に取り組む → 改善や目標達成のために行動する。過程に注目する。
特に覚えておきたいのは、
「解決する」は結果、
「取り組む」は行動の途中、
という感覚です。
この違いが分かると、仕事の文章やニュースだけでなく、JLPTの読解や語彙問題でも文脈を判断しやすくなります。
ただ、似た意味の言葉は、説明を一度読んだだけではなかなか身につきません。
実際に問題を解きながら、
「なぜこちらが正しいのか」
「もう一つの選択肢ではなぜ不自然なのか」
を考えることが大切です。
RJT(Rapid Japanese Training)では、JLPT対策の問題を繰り返し解きながら、語彙や文法の使い分けを実践的に確認できます。
N3・N2合格を目指して、似ている表現を「知っている」状態から「正しく選べる」状態へ変えていきましょう。