N3でよく出る「育てる」と「育つ」の使い分け

2026年09月17日(木) 07時01分24秒

更新: 2026年09月07日(月) 01時01分38秒

N3でよく出る「育てる」と「育つ」の使い分け

導入

「育てる」と「育つ」は、どちらも人や植物などが大きくなったり、成長したりするときに使う言葉です。

そのため、日本語学習者にとっては非常に混同しやすい組み合わせです。

たとえば、

「子どもを元気に育つ」

と言っても、「子どもが成長する」というイメージは伝わります。

しかし、自然な日本語としては少し違和感があります。

「育てる」と「育つ」は意味がとても近いのですが、誰が成長するのか、誰が成長させるのかによって使い分けなければなりません。

今回は、よくある間違いからスタートして、この2つの違いを整理してみましょう。

よくある間違い

まず、次の文を見てください。

私は二人の子どもを日本で育ちました。

言いたいことは、「私は日本で二人の子どもの世話をしながら大きくしました」という意味でしょう。

しかし、この場合は「育ちました」ではなく、

私は二人の子どもを日本で育てました。

とするのが自然です。

もう一つ見てみましょう。

毎日水をあげたので、この花をよく育ちました。

これも意味は想像できますが、「この花を育ちました」とは言いません。

自然なのは、

毎日水をあげたので、この花はよく育ちました。

または、

毎日水をあげて、この花を大切に育てました。

です。

同じ「成長」の話でも、「育てる」と「育つ」では文の作り方が違います。

なぜ不自然に聞こえるのか

一番大きなポイントは、「成長させる人」に注目するのか、「成長する人や物」に注目するのかです。

「育てる」は、誰かが人・動物・植物などに働きかけて、成長するようにする場合に使います。

たとえば、

親が子どもを育てる。

この文では、親が子どもに食事を与えたり、教育したり、世話をしたりします。

つまり、「親」が働きかける側です。

一方、「育つ」は、人・動物・植物などが成長していくことを表します。

子どもが元気に育つ。

この文では、注目しているのは「子ども自身の成長」です。

誰が育てたのかは、文の中心ではありません。

そのため、

子どもを育つ

とは言わず、

子どもが育つ

となります。

「を」と「が」の違いにも注目すると、使い分けやすくなります。

自然な言い方

先ほどの間違いを直してみましょう。

不自然:

私は二人の子どもを日本で育ちました。

自然:

私は二人の子どもを日本で育てました。

「私」が子どもの世話をして大きくしたので、「育てる」を使います。

次の例も見てみましょう。

不自然:

毎日水をあげたので、この花をよく育ちました。

自然:

毎日水をあげたので、この花はよく育ちました。

ここでは、花そのものが成長したことを言っているので、「育つ」が自然です。

一方、世話をした人の行動を中心に言いたいなら、

毎日水をあげて、この花を大切に育てました。

と言えます。

同じ出来事でも、どちらの立場から見るかによって言葉が変わるのです。

2つの語の基本的な違い

「育てる」は、簡単に言えば、

「誰かが、何かを成長させる」

という言葉です。

人が子どもを育てたり、農家が野菜を育てたり、会社が人材を育てたりするときに使います。

一方、「育つ」は、

「人や物が成長する」

という言葉です。

子どもが育つ、植物が育つ、人材が育つ、というように使います。

覚えるときは、次のように考えると分かりやすいでしょう。

  • 育てる → 誰かが成長を助ける
  • 育つ → その人・物が成長する

「育てる」は他動詞、「育つ」は自動詞です。

ただし、文法用語だけで覚えるより、

「誰が何をしているのか」

を見るほうが、実際の会話やJLPTでは役に立ちます。

例文で感覚をつかむ

例文1

両親は私を大切に育ててくれました。

両親が「私」に働きかけて、世話をしながら成長させたので、「育てる」を使います。

例文2

私は北海道で育ちました。

話している人自身が北海道で成長した、という意味です。

「自分を北海道で育てました」とは言いません。

例文3

このトマトは庭で育てています。

この文は不自然です。

「育てています」を使うなら、

私はこのトマトを庭で育てています。

となります。

人がトマトを栽培しているからです。

一方、

このトマトは庭でよく育っています。

なら自然です。

こちらは、トマトそのものの成長について話しています。

例文4

暖かくなって、野菜がよく育つようになりました。

野菜そのものが成長しているので、「育つ」を使います。

気温が上がったことによって成長しやすくなった、という文です。

例文5

この会社は若い社員を時間をかけて育てています。

会社が社員を教育し、経験を積ませて成長させているので、「育てる」が自然です。

「育てる」は、子どもや植物だけではなく、人材や能力についてもよく使われます。

例文6

若い社員が少しずつ育ってきました。

こちらは社員自身の成長に注目しています。

会社が教育した可能性はありますが、この文で中心になっているのは「社員が成長してきた」という結果です。

例文7

子どもがのびのび育つ環境を作りたいです。

子ども自身が成長することを表しているので、「育つ」を使います。

「環境を作る人」と「育つ子ども」は別です。

JLPTで間違えやすい選択肢

JLPTでは、「育てる」と「育つ」のように意味が近い言葉が同じ選択肢に入ることがあります。

たとえば、

この地域は暖かいので、野菜がよく(   )。

という問題があったとします。

選択肢に、

  • 育てる
  • 育つ

があれば、「野菜を作る」というイメージから「育てる」を選びたくなるかもしれません。

しかし、文には、

野菜が

とあります。

野菜そのものが成長するので、

野菜がよく育つ。

が自然です。

一方、

この農家では、無農薬で野菜を(   )います。

なら、

野菜を育てています。

が自然です。

JLPTでは、単語の日本語訳だけを覚えていると、このような問題で迷いやすくなります。

大切なのは、

「誰が成長するのか」
「誰かが何かを成長させるのか」

という文全体の関係を見ることです。

「が」があるから必ず「育つ」、「を」があるから必ず「育てる」と機械的に判断するのではなく、まず場面を考えてから文の形を確認すると、より確実に答えられます。

まとめ

「育てる」と「育つ」は、どちらも「成長」に関係する言葉ですが、見る方向が違います。

  • 育てる → 誰かが人・動物・植物などの成長を助ける
  • 育つ → 人・動物・植物などが成長する

たとえば、

親が子どもを育てる。

そして、

子どもが元気に育つ。

この2つをセットで覚えると、違いがとても分かりやすくなります。

似ている言葉ほど、日本語訳だけを覚えるのではなく、「誰が何をするのか」「その場面ではどちらの視点なのか」を意識することが大切です。

JLPTでは、このような「意味は似ているけれど、文の中での使い方が違う言葉」がよく出てきます。

RJT(Rapid Japanese Training)では、JLPTで迷いやすい語彙や文法を、実際の問題を解きながら繰り返し練習できます。

「意味は分かるのに、なぜか正解を選べない」という人は、知識を読むだけでなく、問題の中で使い分ける練習をしてみてください。

https://rapid-jt.com/


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