N3動詞「直す」と「直る」の違いを例文で解説

2026年09月07日(月) 09時12分10秒

更新: 2026年08月28日(金) 09時38分58秒

N3動詞「直す」と「直る」の違いを例文で解説

導入

「パソコンを直しました」と「パソコンが直りました」。

どちらも「悪い状態から正常な状態になる」という場面で使われますが、同じ意味ではありません。

日本語を勉強していると、

「壊れたものについて話しているから、どちらでもいいのでは?」

と思うことがあるかもしれません。

しかし、日本語では「誰かが何かをした」のか、それとも「あるものの状態が変わった」のかによって、使う動詞が変わります。

「直す」は他動詞で、人が何かに働きかける場面で使います。

一方、「直る」は自動詞で、物や状態そのものが正常な状態になる場面で使います。

この違いは、単語の意味だけで覚えるより、実際の場面と一緒に覚えたほうが理解しやすくなります。

今回は、日常会話や仕事、文章などの具体的な場面から、「直す」と「直る」の自然な使い分けを見ていきましょう。

まず場面で考えてみよう

学校で使っているパソコンが突然動かなくなったとします。

先生がパソコンを確認して、設定を変更しました。そのあと、パソコンが正常に動くようになりました。

このとき、先生がしたことについて話すなら、

「先生がパソコンを直しました。」

と言います。

一方、パソコンの現在の状態について話すなら、

「パソコンが直りました。」

と言います。

ここで重要なのは、「修理」という出来事そのものではありません。

何を中心に話しているかです。

先生の行動を中心にするなら「直す」。

パソコンの状態の変化を中心にするなら「直る」。

この視点を持つだけで、2つの動詞をかなり使い分けやすくなります。

場面1:日常会話で使うなら

「直す」も「直る」も、日常会話で非常によく使われます。

そのため、「直すは会話向き」「直るは文章向き」という違いはありません。

違うのは、話し手が何を伝えたいかです。

たとえば、家のエアコンが壊れたとします。

家族から、

「エアコン、どうしたの?」

と聞かれて、修理した人の行動について話すなら、

「修理の人が直してくれたよ。」

と言えます。

一方、現在エアコンが使える状態になったことを伝えるなら、

「もう直ったよ。」

と言うのが自然です。

会話では特に、「誰が直したか」が重要ではない場合、「直った」がよく使われます。

たとえば、

「スマホ、直った?」

「うん、直った。」

という会話はとても自然です。

この場合、誰がスマホを修理したのかは話題の中心ではありません。

話し手が知りたいのは、「今は使える状態なのか」ということです。

逆に、

「誰がスマホを直したの?」

と聞けば、修理した人の行動が話題になります。

そのため「直す」を使います。

場面2:文章やニュースで使うなら

文章やニュースでも、「直す」と「直る」の基本的な違いは変わりません。

「直す」は、人や組織などが問題のあるものに働きかける場面で使われます。

「直る」は、問題のある状態が改善されたことを表します。

たとえば、

「担当者がシステムの不具合を直した。」

なら、担当者の対応や行動に注目しています。

一方、

「システムの不具合が直った。」

なら、不具合がなくなったという結果に注目しています。

説明文や読解文では、この「行動」と「結果」の違いが重要になることがあります。

ただし、少しかたい文章では、「直す」の代わりに「修正する」「修理する」「改善する」、「直る」の代わりに「改善される」「復旧する」などが使われることもあります。

そのため、ニュースや説明文では必ず「直す・直る」が使われるわけではありません。

それでも、「誰かが問題を変えたのか」「問題のある状態が変わったのか」という考え方は同じです。

JLPTの読解問題でも、この視点を持っていると文の構造を理解しやすくなります。

場面3:感情や評価が入るなら

「直す」と「直る」の違いは、基本的には感情や主観の強さではありません。

最も重要なのは、「誰かが意図的に変える」のか、「状態が変わる」のかという違いです。

たとえば、先生が学生に、

「この漢字、間違っているから直してください。」

と言うことがあります。

ここでは、学生が自分で間違いを修正する必要があるため、「直す」を使います。

一方、

「最近、夜更かしの癖が直ってきた。」

という場合、話し手は「癖が以前よりよい状態になった」という変化を表しています。

このように、人の性格や習慣についても使うことができます。

たとえば、

「その話し方は直したほうがいい。」

では、話し手が「変えたほうがよい」と評価しています。

一方、

「なかなかその癖が直らない。」

では、その癖が改善されない状態について述べています。

つまり、評価や感情が含まれることはありますが、それが「直す」と「直る」を分ける基準ではありません。

「働きかける側を見るか、変化する側を見るか」が基本です。

2つの語の違いを整理

「直す」と「直る」は、次のように整理すると分かりやすくなります。

  • 「直す」は他動詞です。
  • 人が物や状態に働きかけて、よい状態にします。
  • 基本の形は「人が+物を+直す」です。
  • 「パソコンを直す」「間違いを直す」「姿勢を直す」のように使います。
  • 行動や意図に注目するときに使いやすい言葉です。

一方、「直る」は次のように使います。

  • 「直る」は自動詞です。
  • 壊れた物や問題のある状態が、正常な状態になります。
  • 基本の形は「物・状態が+直る」です。
  • 「パソコンが直る」「故障が直る」「癖が直る」のように使います。
  • 結果や状態の変化に注目するときに使いやすい言葉です。

簡単に覚えるなら、

「誰かが何かを変える」なら「直す」。

「何かがよい状態になる」なら「直る」。

と考えるとよいでしょう。

例文で確認

例文1

「父が壊れた時計を直してくれました。」

父が時計に働きかけて、使える状態にしています。

修理した人の行動について話しているため、「直す」が自然です。

例文2

「昨日まで動かなかった時計が、やっと直りました。」

ここでは、時計が正常な状態になったことを伝えています。

誰が修理したかではなく、時計の状態の変化が中心なので、「直る」を使います。

例文3

「作文の間違いを直してください。」

学校でよく使われる表現です。

学習者自身が間違っている部分を修正するため、「間違いを直す」と言います。

「間違いが直る」と言えば、間違っていた状態が改善されたという結果を表します。

例文4

「先生に教えてもらって、発音の間違いが直りました。」

以前は間違っていた発音が、正しくなったという意味です。

先生が教えたという原因はありますが、この文で注目しているのは「発音の間違いがなくなった」という結果です。

そのため「直る」が自然です。

例文5

「この書類は数字が違っているので、直しておいてください。」

仕事でよくある場面です。

相手に書類の内容を修正してほしいので、「直す」を使います。

「直しておく」は、「あとで必要になる前に修正しておく」という意味になります。

例文6

「システムのエラーはもう直りました。」

仕事やITの場面でも自然に使える表現です。

ここでは、エラーがなくなり、システムが正常に使えるようになった状態を表しています。

例文7

「猫背を直したいので、毎日姿勢を意識しています。」

自分で姿勢を変えようとしている場面です。

意識的に改善しようとしているので、「猫背を直す」と言います。

例文8

「子どものころからの癖が、なかなか直りません。」

癖が改善された状態にならないことを表しています。

この場合は、癖そのものの変化について話しているため「直る」が自然です。

例文9

「自転車を直したら、また乗れるようになりました。」

前半の「直した」は、自転車を修理した行動を表しています。

「誰かが自転車に働きかけた」という意味です。

例文10

「自転車が直ったので、また乗れるようになりました。」

こちらは、自転車が使える状態になったという結果に注目しています。

同じ出来事でも、何を中心に見るかによって「直す」と「直る」が変わることが分かります。

JLPT読解での見方

JLPTの読解で「直す」と「直る」が出てきたときは、日本語訳や単語の意味だけを見るのではなく、文の中で誰が何をしているかを確認しましょう。

特に重要なのは、助詞です。

「AがBを直す」

という形なら、AがBに働きかけています。

たとえば、

「技術者が機械を直した。」

では、「技術者」が行動した人で、「機械」がその行動の対象です。

一方、

「Bが直る」

という形なら、Bそのものの状態が変わっています。

「機械が直った。」

なら、「機械が正常な状態になった」という意味です。

読解では、さらに前後の文脈にも注目してください。

たとえば、

「何度も修理を試みた結果、ようやく機械が直った。」

という文では、「修理を試みた」という行動のあとに、「機械が直った」という結果が書かれています。

このように、

「直す」は原因となる行動。

「直る」はその結果として起こる状態変化。

という関係になることも多くあります。

ただし、必ず誰かが「直す」ことで「直る」とは限りません。

たとえば、

「テレビの調子が悪かったが、しばらくしたら自然に直った。」

のように、明確に誰かが修理しなくても「直る」は使えます。

読解問題では、単語だけを見るのではなく、

  • 誰が行動しているか
  • 何が変化しているか
  • 原因について述べているか
  • 結果について述べているか

という点を見ると、文の意味を正確につかみやすくなります。

まとめ

「直す」と「直る」は、どちらも悪い状態からよい状態への変化に関係する言葉です。

しかし、見ている場面が違います。

  • 「直す」=誰かが何かに働きかけて、よい状態にする
  • 「直る」=物や状態そのものが、よい状態になる
  • 「パソコンを直す」=修理する行動を見る
  • 「パソコンが直る」=正常になった結果を見る
  • どちらも日常会話でよく使われる
  • 文章やJLPT読解では、行動と状態変化の違いに注目する

自動詞と他動詞は、ルールだけを暗記すると難しく感じることがあります。

しかし、

「人が直す → 物が直る」

という一つの場面として覚えると、自然な使い分けが見えやすくなります。

日本語には、「直す・直る」のように、意味はよく似ていても、文の中での視点が違う動詞がたくさんあります。

JLPTで正解するためにも、実際の会話で自然に使うためにも、「意味を知っている」だけではなく、「どんな場面で、どちらを使うか」を繰り返し練習することが大切です。

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