「かねない」と「おそれがある」の違いは?悪い結果の予測をどう表す?

2026年05月08日(金) 07時07分16秒

更新: 2026年05月07日(木) 06時50分56秒

「かねない」と「おそれがある」の違いは?悪い結果の予測をどう表す?

日本語で「悪いことが起こるかもしれない」と言いたいとき、よく出てくる表現に「かねない」と「おそれがある」があります。

たとえば、次の2つの文を見てください。

このまま運転を続けると、事故を起こしかねない。
台風の影響で、電車が止まるおそれがある。

どちらも「悪い結果が起こる可能性」を表しています。

しかし、同じように見えて、実は使われる場面や文の響きが少し違います。

「かねない」は、話し手が「この流れなら本当にそうなりそうだ」と感じているときに使いやすい表現です。

一方、「おそれがある」は、ニュース・案内・説明文などで、少し客観的に「そうなる可能性がある」と伝える表現です。

この違いをつかむと、日本語の文章がぐっと自然になります。

「かねない」の意味

「かねない」は、「悪い結果になってしまう可能性がある」という意味を表します。

ただし、単なる可能性ではありません。

「この状況なら、そうなってもおかしくない」という話し手の判断が強く入ります。

たとえば、次のように使います。

そんな言い方をしたら、相手を怒らせかねない。

この文では、「その言い方をすると、相手が怒るかもしれない」という意味です。

ただし、話し手はかなり現実的な危険として見ています。

無理を続けると、体を壊しかねない。

これは、「体を壊す可能性がある」というだけでなく、「このままだと本当に危ない」という警告の気持ちが含まれています。

「かねない」の形

「かねない」は、動詞のます形から「ます」を取った形につきます。

「起こします」は「起こしかねない」になります。

「失敗します」は「失敗しかねない」になります。

「招きます」は「招きかねない」になります。

「壊します」は「壊しかねない」になります。

「誤解されます」は「誤解されかねない」になります。

よく使われる表現には、次のようなものがあります。

事故を起こしかねない。
大きな問題になりかねない。
誤解を招きかねない。
信頼を失いかねない。
健康を損ないかねない。

「かねない」は、かなり硬い表現ですが、会話でも注意や警告をするときに使われます。

「おそれがある」の意味

「おそれがある」も、「悪いことが起こる可能性がある」という意味です。

ただし、「かねない」よりも客観的で、ニュース、説明、注意書き、公式な案内などでよく使われます。

たとえば、次のように使います。

大雨のため、川が氾濫するおそれがある。

これは、天気予報やニュースでよく見る形です。

話し手の個人的な感情というより、「状況から見て、その危険がある」と説明しています。

この薬には、副作用が出るおそれがあります。

医療や説明文では、「おそれがある」がよく使われます。

冷静にリスクを伝える表現です。

「おそれがある」の形

「おそれがある」は、主に動詞の辞書形につきます。

「起こる」は「起こるおそれがある」になります。

「発生する」は「発生するおそれがある」になります。

「悪化する」は「悪化するおそれがある」になります。

「遅れる」は「遅れるおそれがある」になります。

「影響が出る」は「影響が出るおそれがある」になります。

名詞を使う場合は、「の」をつけることもあります。

感染拡大のおそれがある。
土砂災害のおそれがある。

このように、「おそれがある」は社会的・自然的・制度的なリスクを説明するときに非常によく使われます。

「かねない」と「おそれがある」の一番大きな違い

大きな違いは、話し手の判断が前に出るか、客観的なリスク説明になるかです。

「かねない」は、「このままだと悪い結果になりそうだ」という話し手の判断や警告を表しやすい表現です。

そのため、注意、警告、意見、批判などの文脈でよく使われます。

一方、「おそれがある」は、「悪いことが起こる可能性がある」と客観的に説明する表現です。

ニュース、案内、公式発表、説明文などでよく使われます。

たとえば、次の文を比べてみましょう。

このままでは、会社の信用を失いかねない。
個人情報が外部に流出するおそれがある。

1つ目の「失いかねない」は、話し手が「この状況は危険だ」と判断して警告しています。

2つ目の「おそれがある」は、リスクを客観的に説明しています。

「かねない」は人の行動と相性がいい

「かねない」は、人の行動や判断ミスから悪い結果が出るときによく使われます。

そんな態度では、周りから信頼を失いかねない。
確認しないで送ると、重大なミスにつながりかねない。
感情的に話すと、相手との関係を悪くしかねない。

どれも、「人が何かをすることで、悪い結果を招く」という流れです。

もちろん自然現象にも使えますが、少し書き言葉的・評論的になります。

この雨量が続けば、災害を引き起こしかねない。

この文も自然ですが、話し手の強い警告が感じられます。

「おそれがある」は客観的な危険と相性がいい

「おそれがある」は、自然災害、事故、病気、社会問題、制度上のリスクなどと相性がいい表現です。

台風の接近により、交通機関に影響が出るおそれがある。
このまま気温が上昇すると、熱中症になるおそれがある。
システム障害により、一部のサービスが利用できないおそれがあります。

ニュースや公式発表でよく使われるのは、この客観的な響きがあるからです。

置き換えられる場合と置き換えにくい場合

「かねない」と「おそれがある」は、意味が近いので置き換えられる場合もあります。

たとえば、次の2つはどちらも自然です。

このまま放置すると、大きな問題になりかねない。
このまま放置すると、大きな問題になるおそれがある。

ただし、ニュアンスは違います。

「なりかねない」は、話し手の警告が強く感じられます。

「なるおそれがある」は、少し冷静で客観的です。

一方で、置き換えると少し不自然になる場合もあります。

大雨のため、川が氾濫するおそれがある。

これは自然です。

しかし、次の文は文法的には不可能ではありませんが、ニュース文としては少し不自然に感じられることがあります。

大雨のため、川が氾濫しかねない。

自然災害のリスクを客観的に伝えるなら、「おそれがある」のほうが合います。

一方で、次の文は自然です。

その発言は、相手を深く傷つけかねない。

人の行動への注意なら、「かねない」のほうが生き生きとした警告になります。

学習者が間違えやすいポイント

「かねない」は、基本的に悪い結果に使います。

たとえば、「失敗しかねない」「誤解されかねない」「信頼を失いかねない」は自然です。

しかし、「合格しかねない」「成功しかねない」は普通は不自然です。

「合格するかもしれない」「成功するかもしれない」と言いたい場合は、「かもしれない」を使います。

合格するかもしれない。
成功するかもしれない。

「おそれがある」も、基本的に悪いことに使います。

「病気が悪化するおそれがある」「予定が遅れるおそれがある」は自然です。

しかし、「成績が上がるおそれがある」「売上が伸びるおそれがある」は不自然です。

良い可能性を表したい場合は、「可能性がある」を使います。

成績が上がる可能性がある。
売上が伸びる可能性がある。

また、「かねない」は便利ですが、使いすぎると少し強く聞こえます。

このままだと失敗しかねない。
そんな説明では誤解されかねない。

これらは、相手に対する注意や批判の響きが出ることがあります。

ビジネス文書や案内文でやわらかく言いたいときは、「おそれがある」や「可能性がある」を選ぶと自然です。

JLPT対策としての覚え方

JLPT対策では、次のように覚えると整理しやすくなります。

「かねない」は、「このままだと悪い結果になりそうだ」という警告の表現です。

「おそれがある」は、「客観的に悪い可能性を伝える」表現です。

「可能性がある」は、良いことにも悪いことにも使えます。

「かもしれない」は、日常会話で広く使える一般的な可能性の表現です。

特に「かねない」は、JLPT N2でよく問われる表現です。

「ただの可能性」ではなく、「悪い結果への警告」と覚えると、選択問題でも迷いにくくなります。

まとめ

「かねない」と「おそれがある」は、どちらも悪い結果の可能性を表します。

ただし、使い方の中心は違います。

「かねない」は、話し手が「このままだと本当に悪い結果になりそうだ」と判断して警告する表現です。

「おそれがある」は、客観的に「悪いことが起こる可能性がある」と説明する表現です。

人の行動や判断ミスへの注意なら「かねない」。

ニュース、案内、公式な説明、災害や制度上のリスクなら「おそれがある」。

このように分けて考えると、自然な日本語が選びやすくなります。

日本語の文法は、意味だけでなく「どんな場面で使うか」を知ることが大切です。

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