「に伴って」と「につれて」は、どちらも「変化」を表す表現
日本語を勉強していると、よく似た文型に出会います。
その一つが、
「に伴って」
「につれて」
です。
どちらも、ある変化が起きると、それに合わせて別の変化も起きる、という意味を表します。
たとえば、
制度が変わる。
社会が変わる。
年齢が上がる。
時間がたつ。
気温が上がる。
こうした変化に合わせて、別のことも変わるときに使います。
ただし、この二つは同じではありません。
大きな違いは、
「に伴って」は、制度・社会・計画・状況などの変化に合わせて起こる変化を表しやすい
「につれて」は、時間・年齢・程度などが少しずつ変わる中で、別のことも自然に変わっていく様子を表しやすい
という点です。
つまり、簡単に言えば、
「に伴って」=変化にともなう結果・影響
「につれて」=だんだん変わる流れ
と考えるとわかりやすくなります。
「に伴って」の基本イメージ
「に伴って」は、ある出来事や変化に合わせて、別の変化も起こることを表します。
少しかたい表現で、ニュース、説明文、ビジネス文書、制度の説明などでよく使われます。
形は主に次のようになります。
名詞 + に伴って
動詞辞書形 + に伴って
例文を見てみましょう。
制度の変更に伴って、申請方法も変わりました。
この文では、「制度の変更」という大きな変化があり、それに合わせて「申請方法」も変わっています。
ここで大切なのは、「制度の変更」は人が決めた仕組みの変化だということです。
つまり、「に伴って」は、制度・法律・組織・方針・計画など、社会的・公式な変化と相性がよい表現です。
ほかにも、次のように使えます。
会社の成長に伴って、社員数も増えています。
法律の改正に伴って、新しいルールが導入されました。
駅前の再開発に伴って、周辺の店も増えてきました。
サービスの終了に伴って、サポート窓口も閉鎖されます。
どの例も、「ある変化が起きたので、それに合わせて別のことも変わる」という関係です。
「につれて」の基本イメージ
一方、「につれて」は、あるものが少しずつ変化すると、それに合わせて別のものも少しずつ変化することを表します。
形は主に次のようになります。
動詞辞書形 + につれて
名詞 + につれて
ただし、名詞の場合は「年齢」「時間」「気温」「人口」「経験」など、変化していくものと一緒に使われることが多いです。
例文を見てみましょう。
年を取るにつれて、健康の大切さがわかってきました。
この文では、「年を取る」という変化が少しずつ進みます。それに合わせて、「健康の大切さがわかる」という気持ちの変化も少しずつ進んでいます。
つまり、「につれて」は、自然な流れの中でだんだん変わる感じが強い表現です。
ほかにも、次のように使えます。
日本語を勉強するにつれて、日本文化にも興味を持つようになりました。
気温が上がるにつれて、冷たい飲み物がよく売れるようになります。
時間がたつにつれて、不安な気持ちは少しずつ小さくなりました。
子どもが成長するにつれて、親の考え方も変わっていきます。
どの例も、急に変わるのではなく、少しずつ変化が進んでいます。
制度変化なら「に伴って」が自然
では、次の文ではどちらが自然でしょうか。
制度の変更( )、申請方法も変わりました。
この場合は、
制度の変更に伴って、申請方法も変わりました。
が自然です。
なぜなら、「制度の変更」は人が決めた公式な変化だからです。
「制度」「法律」「規則」「方針」「サービス」「事業」「組織」などの変化には、「に伴って」がよく合います。
例文をさらに見てみましょう。
料金改定に伴って、利用規約も一部変更されます。
新システムの導入に伴って、操作方法が変わりました。
人口増加に伴って、交通量も増えています。
営業時間の変更に伴って、受付時間も変更されます。
このような文では、「Aという変化が起きた。その影響でBも変わる」という説明になります。
特にお知らせ文やビジネス文では、「に伴って」はとてもよく使われます。
自然な段階変化なら「につれて」が自然
では、次の文ではどうでしょうか。
日本語を勉強する( )、聞き取れる言葉が増えてきました。
この場合は、
日本語を勉強するにつれて、聞き取れる言葉が増えてきました。
が自然です。
「勉強する」という行為が続く中で、少しずつ「聞き取れる言葉が増える」からです。
ここでは、制度や公式な変更ではなく、経験や時間の積み重ねによる自然な変化が中心です。
次のような文も、「につれて」がよく合います。
練習を重ねるにつれて、発音が自然になってきました。
春が近づくにつれて、暖かい日が増えてきました。
経験を積むにつれて、仕事の進め方がわかってきました。
山を登るにつれて、空気が冷たくなってきました。
どれも、変化が段階的に進んでいます。
この「だんだん」という感じが、「につれて」の大きな特徴です。
「に伴って」と「につれて」の違いを文章で整理する
「に伴って」は、「Aの変化に合わせて、Bも起こる」という関係を表します。中心にあるのは、変化そのものよりも、その変化に付随して起こる結果や影響です。そのため、制度、法律、社会、組織、計画、公式なお知らせなど、ややかたい場面でよく使われます。たとえば、「制度の変更に伴って、手続きも変わる」と言うと、制度が変更された結果として、手続きにも変更が生じるという説明になります。
一方、「につれて」は、「Aが変わると、Bもだんだん変わる」という関係を表します。中心にあるのは、少しずつ進んでいく変化の流れです。そのため、時間、年齢、経験、気温、成長、学習など、自然に変化していくものと相性がよい表現です。たとえば、「年を取るにつれて、考え方が変わる」と言うと、年齢を重ねる中で、考え方も少しずつ変化していくという意味になります。
つまり、「に伴って」は変化がもたらす結果や影響を説明する表現であり、「につれて」は変化が進む中で別の変化も少しずつ進むことを表す表現です。この違いを意識すると、文全体のニュアンスがかなり見えやすくなります。
置き換えられる場合もある
ただし、すべての場合で完全に分かれるわけではありません。
たとえば、次の文を見てください。
人口が増えるに伴って、住宅の需要も増えています。
人口が増えるにつれて、住宅の需要も増えています。
この場合は、どちらも大きく不自然ではありません。
ただし、ニュアンスが少し違います。
「人口が増えるに伴って」は、人口増加という社会的変化に合わせて住宅需要が増える、という説明的な印象です。
「人口が増えるにつれて」は、人口がだんだん増える中で、住宅需要もだんだん増える、という段階的な印象です。
つまり、同じ内容でも、
社会的・説明的に言いたいなら「に伴って」
自然な変化の流れを言いたいなら「につれて」
という違いがあります。
不自然になりやすい例
次の文はどうでしょうか。
年を取るに伴って、涙もろくなった。
意味は通じますが、少しかたい印象があります。
自然な会話や学習者向けの例文では、
年を取るにつれて、涙もろくなった。
のほうが自然です。
「年を取る」は、少しずつ進む自然な変化なので、「につれて」と相性がよいからです。
逆に、次の文はどうでしょうか。
法律の改正につれて、申請書の形式が変わりました。
意味はわかりますが、やや不自然です。
「法律の改正」は段階的な自然変化というより、制度上の変更です。
そのため、
法律の改正に伴って、申請書の形式が変わりました。
のほうが自然です。
学習者が迷ったときの判断ポイント
迷ったときは、次のように考えてみてください。
まず、Aが「制度・法律・規則・方針・サービス・組織」などの公式な変化なら、「に伴って」を考えます。
例:
制度の変更に伴って
法律の改正に伴って
サービス終了に伴って
会社の拡大に伴って
次に、Aが「時間・年齢・成長・経験・学習・気温」などの自然に進む変化なら、「につれて」を考えます。
例:
時間がたつにつれて
年を取るにつれて
成長するにつれて
勉強するにつれて
気温が上がるにつれて
もちろん例外はありますが、この見分け方だけでも、かなり正答率は上がります。
JLPT N2で注意したいポイント
JLPT N2では、「に伴って」と「につれて」は、単なる意味の暗記ではなく、文全体の流れで選ぶ必要があります。
特に、次のような問題では注意が必要です。
新しい制度の導入( )、利用者の手続きも変わります。
ここでは「新しい制度の導入」という公式な変化が中心なので、
新しい制度の導入に伴って、利用者の手続きも変わります。
が自然です。
一方で、
日本での生活に慣れる( )、友達も増えてきました。
この場合は、生活に慣れる過程で、友達が少しずつ増えているので、
日本での生活に慣れるにつれて、友達も増えてきました。
が自然です。
文型だけを見るのではなく、「前の変化がどんな性質か」を見ることが大切です。
まとめ:「に伴って」は変化の影響、「につれて」は変化の流れ
最後に、もう一度整理しましょう。
「に伴って」は、ある変化に合わせて別の変化が起きることを表します。制度、法律、社会、組織、計画など、公式で説明的な場面によく使われます。
例:
制度の変更に伴って、申請方法も変わりました。
「につれて」は、ある変化が少しずつ進む中で、別の変化も少しずつ進むことを表します。時間、年齢、経験、成長、学習、気温など、自然な段階変化と相性がよい表現です。
例:
日本語を勉強するにつれて、聞き取れる言葉が増えてきました。
この二つは、どちらも「変化」を表します。
しかし、
制度変化・公式な変化なら「に伴って」
自然変化・段階的変化なら「につれて」
と考えると、ぐっと見分けやすくなります。
日本語の文法は、意味だけでなく「どんな場面で自然に使うか」がとても大切です。
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「なんとなくわかる」から「自分で選べる」へ。
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