日本語の文章を読んでいると、少しかたい表現として「にわたって」や「にわたり」がよく出てきます。
たとえば、
「三日間にわたって会議が行われました。」
「三日間にわたり会議が行われました。」
どちらも、「三日間ずっと」「三日間という期間全体で」という意味です。
では、この二つは何が違うのでしょうか。
結論から言うと、「にわたって」と「にわたり」は、意味はほとんど同じです。どちらも、ある期間や範囲が広く続いていることを表します。
ただし、文体の硬さに少し違いがあります。
「にわたって」は、説明文やニュース、会話に近い文章でも比較的使いやすい表現です。
一方、「にわたり」は、より簡潔で、報告書・新聞記事・公式文書などに出やすい、やや硬い表現です。
つまり、意味の違いというより、「文体の違い」として理解するとわかりやすくなります。
「にわたって」は期間や範囲が続くことを表す
「にわたって」は、ある出来事や状態が、一定の期間や範囲全体に及ぶことを表します。
たとえば、
「二週間にわたって調査が行われました。」
この文では、調査が一日だけではなく、二週間という期間全体に及んだことを表しています。
また、期間だけでなく、場所や分野の広がりにも使えます。
「広い地域にわたって大雨の被害が出ました。」
この場合は、被害が一つの場所だけでなく、広い地域全体に広がっているという意味です。
「にわたって」は、時間にも空間にも使える表現です。
「にわたり」はより硬く、文章的な響きがある
「にわたり」も、基本的な意味は「にわたって」と同じです。
「二週間にわたり調査が行われました。」
この文も、「二週間にわたって調査が行われました」とほぼ同じ意味です。
ただし、「にわたり」のほうが少し硬く、文章的です。
ニュース、報告書、案内文、公式発表などでは、「にわたり」がよく使われます。
たとえば、
「全国にわたり感染状況を調査しました。」
「長期間にわたり支援活動を続けています。」
このように、「にわたり」は、短く引き締まった印象を与えます。日常会話で使うと少し硬く感じられることもあります。
違いのポイントは「意味」より「文体」
「にわたって」と「にわたり」は、意味だけを見ると大きな違いはありません。
どちらも、
「ある期間全体に及んで」
「ある範囲全体に広がって」
「長く、広く続いて」
という意味を表します。
違いは、主に文体です。
「にわたって」は、説明として自然で、やや使いやすい表現です。
「にわたり」は、より書き言葉的で、改まった印象があります。
たとえば、
「三日間にわたってイベントが開かれました。」
これは自然な説明文です。
「三日間にわたりイベントが開催されました。」
こちらは、ニュースや公式発表のような響きがあります。
読解では、この違いを「意味が違う」と考えすぎる必要はありません。むしろ、「にわたり」が出てきたら、少し硬い文章だと考えるとよいでしょう。
「長い期間」「広い範囲」と一緒に使われやすい
「にわたって」「にわたり」は、短い一瞬の出来事にはあまり使いません。
自然に使われるのは、ある程度の長さや広がりがある場合です。
たとえば、
「10年にわたって研究を続けました。」
「数回にわたり説明会を実施しました。」
「広範囲にわたって停電が発生しました。」
「多くの分野にわたり影響が見られます。」
このように、時間・回数・地域・分野などが広がっているときに使われます。
逆に、
「5分にわたって水を飲みました。」
のような文は、文脈によっては不自然に感じられることがあります。もちろん、特別に「5分間ずっと」という長さを強調したいなら使えますが、普通の行動には少し大げさです。
つまり、「にわたって」「にわたり」は、広がりや継続を強調する表現なのです。
「にわたる」は名詞を修飾するときに使う
ここで、もう一つ大切な形があります。
それが「にわたる」です。
「にわたって」「にわたり」は、文全体の中で動詞を説明する形です。
一方、「にわたる」は、後ろの名詞を説明します。
たとえば、
「10年にわたる研究」
「広範囲にわたる被害」
「数回にわたる説明会」
このように、「にわたる」は「どんな研究か」「どんな被害か」「どんな説明会か」を説明しています。
読解では、この形もよく出ます。
「長年にわたる努力が実を結んだ。」
この文では、「長年にわたる努力」が一つの名詞のまとまりになっています。
「にわたって」「にわたり」「にわたる」は形が近いので、後ろに動詞が来るのか、名詞が来るのかを見て判断すると読みやすくなります。
読解で出たときの読み方
読解で「にわたって」や「にわたり」が出てきたら、まず次のように考えるとよいです。
「どのくらいの期間か」
「どのくらいの範囲か」
「何が広く、長く続いているのか」
たとえば、
「この問題は、教育、雇用、地域社会にわたり影響を及ぼしている。」
この文では、影響が一つの分野だけではなく、教育・雇用・地域社会という複数の分野に広がっていることを表しています。
つまり、読解では「にわたり」を見たら、「広がりがある」と読むのがポイントです。
単に「について」と訳してしまうと、広がりや継続のニュアンスが弱くなります。
「にわたって」と「にわたり」の使い分け
自分で文を書くときは、次のように考えると使いやすくなります。
説明文として自然に書きたいなら、「にわたって」を使うとよいです。
「一週間にわたって研修を受けました。」
少し硬く、公式な感じにしたいなら、「にわたり」を使うとよいです。
「一週間にわたり研修を実施しました。」
どちらも正しい文ですが、後者のほうが少し改まっています。
日常会話では、「にわたって」のほうが使いやすいです。
一方、ニュース記事や試験の読解文では、「にわたり」が出やすいです。
まとめ
「にわたって」と「にわたり」は、どちらも期間や範囲が広く続くことを表す表現です。
大きな意味の違いはありません。
ただし、「にわたって」は比較的使いやすい説明表現で、「にわたり」はより硬い書き言葉です。
また、名詞を修飾するときは「にわたる」を使います。
読解では、これらの表現を見たときに、「長い期間」「広い範囲」「複数の分野への広がり」を読み取ることが大切です。
意味を一語で置き換えるのではなく、文の中で何がどこまで広がっているのかを見ると、文章全体の流れがつかみやすくなります。
RJTでは、このような似ている文法表現を、例文と解説で一つずつ整理しながら学べます。
「なんとなくわかる」から「読解で迷わず使える」へ。
日本語の文法を効率よく復習したい方は、ぜひRJTを活用してみてください。