JLPTの読解問題で、本文の意味はだいたい分かっているのに、選択肢でなぜか迷ってしまうことはありませんか。
特に間違えやすいのが、「この場合」という表現です。
「この場合」と書いてあると、多くの学習者はすぐ前の一文だけを見て、
「この、だから直前のことを指しているはず」
と考えます。
もちろん、それで正解できることもあります。けれど、読解問題ではそれだけでは足りません。
「この場合」は、直前の一文だけではなく、少し前から続いている条件、場面、筆者の話題全体を受けていることが多いからです。
つまり、「この場合」を見たら、すぐ前だけを見るのではなく、
「どんな条件のもとでの話なのか」
「何と何を比べているのか」
「筆者はどの場面をまとめているのか」
を確認する必要があります。
「この場合」は、単なる「これ」ではない
まず大切なのは、「この場合」は単なる指示語ではなく、場面や条件をまとめて受ける表現だということです。
たとえば、次の文を見てください。
新しい言葉を覚えるとき、意味だけを暗記しても、実際の文の中で使えないことがあります。この場合、例文と一緒に覚えることが大切です。
この文の「この場合」は、直前の「実際の文の中で使えないこと」だけを指しているようにも見えます。
しかし、正確には、
- 新しい言葉を覚えるとき
- 意味だけを暗記している
- その結果、文の中で使えない
という状況全体を受けています。
つまり、「この場合」は一つの単語や一文だけではなく、「今説明している条件つきの場面」をまとめて指しているのです。
ここを見落とすと、選択肢で「近いけれど少しずれている答え」を選びやすくなります。
なぜ直前だけを見ると間違えるのか
読解問題で直前だけを見ると危ない理由は、本文には流れがあるからです。
文章は、文が一つずつバラバラに置かれているわけではありません。
筆者は多くの場合、次のような順番で説明します。
- ある問題を出す
- その原因や条件を説明する
- その場面を「この場合」で受ける
- 解決策や判断を述べる
この流れの中で出てくる「この場合」は、直前の文だけではなく、それまでの説明全体を受けています。
たとえば、
試験前に新しい文法をたくさん覚えようとすると、知識は増えます。しかし、使い分けが整理されていないため、本番で似た選択肢を見ると迷ってしまいます。この場合、文法を増やすより、違いを比べて整理するほうが効果的です。
ここで「この場合」が指しているのは、直前の「似た選択肢を見ると迷ってしまいます」だけではありません。
本当に受けているのは、
「試験前に文法をたくさん覚えたが、使い分けが整理されていないため、選択肢で迷う状況」
です。
もし直前だけを見てしまうと、「選択肢で迷うときは、とにかく解答練習を増やせばよい」といった、本文の流れと少し違う答えを選んでしまうかもしれません。
「この場合」を見たら、三つ前まで戻る
読解で「この場合」が出てきたら、まず三つ前まで戻るつもりで読んでください。
もちろん、必ず三文前に答えがあるという意味ではありません。大切なのは、直前だけで決めない姿勢です。
確認したいポイントは、次の三つです。
- 何について話しているのか
- どんな条件や前提があるのか
- その結果、何が問題になっているのか
この三つを確認すると、「この場合」が受けている範囲が見えやすくなります。
特にJLPT N3〜N2の読解では、「この場合」の後に筆者の判断や解決策が来ることがよくあります。
つまり、「この場合」の前には、判断の材料が置かれていることが多いのです。
「この場合」の後ろにも注目する
「この場合」は、前だけでなく後ろも大切です。
なぜなら、「この場合」の後ろには、筆者がその場面についてどう考えているかが書かれやすいからです。
たとえば、
この場合、すぐに結論を出すのではなく、相手の意図を確認する必要があります。
この文では、「この場合」の後ろに筆者の判断があります。
「すぐに結論を出さない」
「相手の意図を確認する」
という部分から、前の内容がどんな場面だったのかを逆に考えることもできます。
つまり、「この場合」を読むときは、
- 前を見る
- 後ろを見る
- 前後をつなげる
という読み方が必要です。
直前だけを見て答えを探すのではなく、「前の状況」と「後ろの判断」が自然につながるかを確認しましょう。
選択肢で迷ったときのチェック方法
「この場合」を含む読解問題で選択肢に迷ったら、次のように考えると整理しやすくなります。
- その選択肢は、本文の条件を全部含んでいるか
- 直前の一文だけに反応した答えになっていないか
- 筆者の判断と同じ方向を向いているか
- 本文にない一般論を勝手に足していないか
特に注意したいのは、「正しそうな一般論」です。
たとえば、本文では「時間がない場合の勉強法」を話しているのに、選択肢では「理想的な勉強法」について述べていることがあります。
その選択肢は、内容としては正しく見えるかもしれません。しかし、「この場合」が受けている条件には合っていません。
読解問題では、「一般的に正しいか」ではなく、「本文のこの場面に合っているか」が重要です。
例文で確認する
次の短い文章を見てください。
日本語の文章を読むとき、分からない単語が一つ出てくるだけで読むのを止めてしまう人がいます。しかし、読解問題では、すべての単語を完璧に理解しなくても、前後の流れから内容を推測できることがあります。この場合、分からない単語にこだわりすぎず、段落全体の流れをつかむことが大切です。
この文章の「この場合」は何を指しているでしょうか。
直前だけを見ると、
「前後の流れから内容を推測できること」
を指しているように見えます。
でも、もっと正確には、
「分からない単語があっても、読解問題では前後の流れから内容を推測できる場面」
を指しています。
だから、後ろに続く「分からない単語にこだわりすぎず、段落全体の流れをつかむことが大切です」という判断が自然につながります。
ここで、「分からない単語はすべて辞書で調べるべきだ」という選択肢があったらどうでしょうか。
一見まじめな勉強法に見えます。しかし、この文章の「この場合」には合っていません。
本文は、分からない単語に止まりすぎない読解の姿勢を述べているからです。
「この場合」は、条件つきの結論を読むサイン
「この場合」は、読解ではとても大事なサインです。
なぜなら、その後ろに「その条件なら、どうするべきか」「その場面では、どう考えるべきか」が書かれやすいからです。
つまり、「この場合」を見たら、
「今から条件つきの結論が来る」
と考えると読みやすくなります。
ただし、その結論を正しく読むためには、前にある条件をきちんとつかまなければなりません。
「この場合」の「この」は、近くの単語一つではありません。
多くの場合、それまでの説明で作られた場面全体です。
ここが分かると、読解問題で選択肢を選ぶときの迷いがかなり減ります。
まとめ
「この場合」は、見た目は簡単な表現です。
でも、JLPTの読解では、直前だけを見て判断すると間違えやすいポイントでもあります。
重要なのは、次のことです。
- 「この場合」は、場面や条件全体を受けることが多い
- 直前の一文だけでなく、少し前からの流れを見る
- 後ろに続く筆者の判断や解決策にも注目する
- 選択肢は「一般的に正しいか」ではなく「本文のこの場面に合うか」で選ぶ
読解が苦手な人は、単語力や文法力が足りないだけではありません。
むしろ、指示語、接続表現、条件、筆者の判断をつなげて読む練習が足りないことが多いのです。
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「意味は分かるのに、なぜか間違える」という状態から抜け出したい人は、今日から読解の見方を少し変えてみましょう。
まずは一問ずつ、本文の流れをつかむ練習から始めてみませんか。