JLPTの読解問題で、こんな悩みはありませんか。
- 本文の単語はだいたい分かる
- 文の意味も大きく外していない
- でも、選択肢を見ると急に迷う
- 最後は「なんとなく」で選んで間違える
実は、このタイプの人は、読解力がまったく足りないわけではありません。
問題は、本文の読み方ではなく、読む順番にあるかもしれません。
多くの学習者は、読解問題を見ると、まず本文を最初から最後まで読もうとします。もちろん、それ自体は間違いではありません。しかし、試験本番では時間が限られています。目的を持たずに本文を読むと、どこが大事なのか分からないまま、頭の中に情報だけが増えてしまいます。
そして選択肢を見た瞬間に、こう感じます。
「どれも本文に書いてあった気がする」
ここで迷いが生まれます。
読解の正解率を上げたいなら、最初に見るべきなのは本文ではありません。まず設問を見ることです。
なぜ本文より先に設問を見るのか
設問は、読解の地図のようなものです。
本文は長い道です。その道を何も持たずに歩くと、どこに注目すればいいか分かりません。しかし、先に設問を見ると、「何を探しながら読めばいいのか」が分かります。
たとえば、設問にこう書かれているとします。
「筆者が最も言いたいことは何か。」
この場合、細かい数字や具体例よりも、筆者の主張や結論に注目して読む必要があります。
一方で、こういう設問ならどうでしょうか。
「なぜ筆者はそのように考えているのか。」
この場合は、理由を表す表現に注意します。
- なぜなら
- その理由は
- というのは
- つまり
- だから
- そのため
このように、設問を先に読むだけで、本文の中で探すべきものが変わります。
読解とは、文章を全部覚える作業ではありません。問われている情報を、本文の中から正確に取り出す作業です。
正解率が上がらない人は「全文理解」を目指しすぎている
JLPT N3〜N2の読解でよくある失敗は、本文を完全に理解しようとすることです。
もちろん、全部分かれば理想的です。しかし、本番では時間があります。知らない単語も出ます。少し複雑な文も出ます。すべてを完璧に理解しようとすると、途中で時間を使いすぎてしまいます。
読解で大切なのは、全文を美しく訳すことではありません。
重要なのは、設問に答えるために必要な部分を見つけることです。
たとえば、本文の中に難しい一文があっても、その一文が設問と関係なければ、深く悩みすぎる必要はありません。逆に、簡単な文でも、設問の答えにつながる文なら、ていねいに読む必要があります。
つまり、読解では「どこを軽く読むか」と「どこを深く読むか」の判断が大切なのです。
その判断を助けてくれるのが設問です。
まず見るべき設問のポイント
設問を先に見るときは、長く読む必要はありません。次の三つを確認するだけで十分です。
1. 何を聞かれているか
まず、問題が何を求めているのかを見ます。
- 理由を聞いているのか
- 筆者の主張を聞いているのか
- 指示語の内容を聞いているのか
- 具体例の意味を聞いているのか
- 文章全体のテーマを聞いているのか
ここを見ずに本文を読むと、情報の整理ができません。
たとえば、「なぜですか」と聞かれているのに、本文全体のテーマばかり考えていると、答えに近づきにくくなります。
「何を聞かれているか」を最初に確認するだけで、読む方向が決まります。
2. キーワードは何か
次に、設問の中にあるキーワードを見ます。
たとえば、設問に「この方法」とあれば、本文中でその方法が説明されている部分を探します。
「筆者の考え」とあれば、事実の説明ではなく、意見や判断が書かれている部分に注目します。
「問題点」とあれば、マイナスの評価や困った状況が書かれている部分を探します。
キーワードを持って本文に入ると、読むスピードが変わります。
ただ文字を追うのではなく、「答えの場所を探す読み方」になるからです。
3. 選択肢は先に全部読まなくてもよい
設問は先に見たほうがよいですが、選択肢まで最初にじっくり読む必要はありません。
なぜなら、選択肢にはひっかけが含まれていることが多いからです。
先に選択肢を深く読むと、間違った内容が頭に残ってしまい、本文を読むときに引っ張られることがあります。
おすすめは、次の順番です。
- まず設問を見る
- 何を聞かれているか確認する
- 本文を読む
- 答えになりそうな部分を見つける
- 最後に選択肢を比べる
この順番にすると、本文を根拠にして選択肢を選びやすくなります。
選択肢で迷う人は「本文に書いてあるか」だけで判断している
読解で間違えやすい人は、選択肢を見たときに「本文に似た言葉があるか」で判断しがちです。
しかし、JLPTの読解問題では、本文と同じ単語がある選択肢が正解とは限りません。
むしろ、本文の一部だけを使った不正解もよく出ます。
たとえば、不正解の選択肢には次のような特徴があります。
- 本文の一部分だけを取り出している
- 本文より強く言いすぎている
- 原因と結果が逆になっている
- 筆者の意見ではなく、例の内容を答えにしている
- 本文にはない判断を加えている
だから、選択肢を見るときは、「本文に同じ言葉があるか」ではなく、「設問に対する答えとして合っているか」を確認する必要があります。
ここでも、最初に設問を見ることが役に立ちます。
設問を意識していれば、選択肢を読むときに「これは理由の答えになっているか」「これは筆者の主張と言えるか」と判断できます。
読解の流れを変えるだけで、文章の見え方が変わる
読解が苦手な人ほど、「もっと単語を覚えなければ」「もっと文法を勉強しなければ」と考えがちです。
もちろん、語彙や文法は大切です。
しかし、単語や文法を勉強しているのに読解の点数が伸びない場合は、読み方の手順を見直すことも必要です。
おすすめの流れは、次の通りです。
JLPT読解のおすすめ手順
- 設問を見る
- 何を聞かれているか確認する
- 本文を読む目的を決める
- 答えに関係する部分に印をつける
- 選択肢を本文の根拠と比べる
- 強すぎる表現や本文にない内容を消す
- 最後に一番ズレが少ないものを選ぶ
この手順に慣れると、読解は「長い文章を読む問題」ではなく、「必要な情報を探して判断する問題」に変わります。
そうなると、気持ちもかなり楽になります。
「なんとなく読む」から「目的を持って読む」へ
読解で伸び悩む人に必要なのは、特別な才能ではありません。
大切なのは、文章に入る前に目的を持つことです。
設問を先に見るだけで、本文の中で注目すべき場所が見えやすくなります。選択肢を比べるときも、感覚ではなく根拠で判断しやすくなります。
読解問題は、本文を読んで終わりではありません。
本文を読み、設問に合わせて情報を整理し、選択肢のズレを見抜く力が必要です。
この力は、練習すれば必ず伸びます。
RJTで、読解の「選び方」まで練習しよう
RJT(Rapid Japanese Training)では、JLPT学習者が効率よく力を伸ばせるように、語彙・文法・読解・聴解を一つの流れで学べる練習環境を用意しています。
問題を解くだけでなく、解説を読み、音声を聞き、分からない語句を確認しながら学習できます。
特に読解では、「なぜこの答えになるのか」「どこを根拠に選ぶのか」を意識して練習することが大切です。
本文をただ読むだけではなく、設問を見て、根拠を探し、選択肢を比べる。
この流れをくり返すことで、読解の正解率は少しずつ安定していきます。
「単語は分かるのに、いつも選択肢で迷う」
そう感じているなら、次の読解から、まず設問を見ることを試してみてください。
読む順番が変わると、文章の見え方も変わります。
JLPT読解を、感覚ではなく根拠で解ける力に変えていきましょう。