JLPTの読解問題を解いていると、次のような文型がよく出てきます。
- 気温が上がるにつれて、冷たい飲み物が売れるようになる。
- 気温が上がるにしたがって、冷たい飲み物が売れるようになる。
どちらも自然な文に見えます。
「意味は分かるのに、違いがよく分からない」
「選択肢が二つまで絞れたのに、最後に間違えてしまう」
このように感じたことはありませんか。
「につれて」と「にしたがって」は、どちらも一つの変化に伴って、別の変化が起こることを表します。
しかし、いつでも自由に入れ替えられるわけではありません。
この記事では、二つの文型の共通点と違いを整理し、JLPTの読解や文法問題で迷わないための見分け方を紹介します。
まず押さえたい共通点:Aが変化すると、Bも変化する
「につれて」と「にしたがって」は、どちらも比例的な変化を表すときに使われます。
基本の形は、次のとおりです。
Aが変化するにつれて、Bも変化する。
Aが変化するにしたがって、Bも変化する。
ここで重要なのは、AとBが一度だけ起こる出来事ではないということです。
Aが少しずつ変化し、その変化に伴ってBも変化していきます。
例文
- 年齢が上がるにつれて、健康に気をつけるようになった。
- 日本語を勉強するにつれて、日本の文化にも興味を持つようになった。
- 時代の変化にしたがって、働き方も多様になっている。
- 利用者が増えるにしたがって、新しい問題も生まれてきた。
いずれの例文でも、Aの変化とBの変化が連動しています。
「につれて」:自然に起こる変化を表しやすい
「につれて」は、ある変化が進むと、それに伴って別の変化も自然に起こることを表します。
日常会話でもよく使われる文型です。
接続
- 動詞の辞書形 + につれて
- 名詞 + につれて
例文
- 春が近づくにつれて、暖かい日が増えてきた。
- 子どもが成長するにつれて、服のサイズも大きくなる。
- 日本での生活に慣れるにつれて、友達も増えていった。
- 時間がたつにつれて、緊張が少しずつ消えていった。
これらの文では、変化を誰かが意図的に起こしているわけではありません。
春が近づけば、自然に暖かくなります。
時間がたてば、自然に緊張が和らぐこともあります。
このような自然な変化の流れを表すとき、「につれて」がよく使われます。
「にしたがって」:変化の連動を客観的に表しやすい
「にしたがって」も、Aの変化に伴ってBが変化することを表します。
「につれて」よりも少し硬く、説明文、ニュース、レポート、論説文などでよく使われます。
接続
- 動詞の辞書形 + にしたがって
- 名詞 + にしたがって
例文
- 人口が増加するにしたがって、住宅不足が深刻になった。
- 技術が進歩するにしたがって、仕事の進め方も変わってきた。
- 高齢化にしたがって、医療費も増加している。
- 気温の上昇にしたがって、電力の使用量も増える傾向がある。
文章全体に、客観的で論理的な印象があります。
特に、統計、社会問題、経済、科学、制度の変化などを説明する文章では、「にしたがって」がよく登場します。
最大の違い:「にしたがって」には別の意味もある
JLPTで特に注意したいのは、「にしたがって」には比例変化以外の意味もあることです。
「にしたがって」は、「ルール、指示、方針、順序などに従う」という意味でも使われます。
例文
- 先生の指示にしたがって、答えを書いてください。
- マニュアルにしたがって、機械を操作してください。
- 規則にしたがって、手続きを進めます。
- 矢印にしたがって、出口まで進んでください。
この場合、「につれて」に置き換えることはできません。
先生の指示につれて、答えを書いてください。
この文は不自然です。
つまり、「にしたがって」を見つけたら、最初に次の点を確認しましょう。
- Aの変化に伴ってBも変化しているのか
- Aの指示、規則、方針、順序どおりに行動しているのか
この確認だけでも、読解の正確さが大きく上がります。
二つの文型を比べてみよう
例1:自然な変化
- 暗くなるにつれて、気温も下がってきた。
- 暗くなるにしたがって、気温も下がってきた。
どちらも使えます。
ただし、自然な変化を柔らかく表現する場合は、「につれて」のほうがなじみやすいでしょう。
例2:社会の変化
- インターネットが普及するにつれて、買い物の方法も変わった。
- インターネットが普及するにしたがって、買い物の方法も変わった。
どちらも使えます。
「にしたがって」を使うと、変化の関係をやや客観的に説明する印象になります。
例3:指示やルール
- 説明書にしたがって、パスワードを設定してください。
この文では、「にしたがって」だけが使えます。
説明書は変化していません。
説明書に書かれた順序や方法を守って操作するという意味です。
JLPTで迷わないための3ステップ
試験中に「につれて」と「にしたがって」が出てきたら、次の順番で考えてみましょう。
ステップ1:Aは少しずつ変化しているか
Aが時間とともに変化している場合は、比例変化の可能性があります。
- 年齢が上がる
- 人口が増える
- 技術が発達する
- 気温が下がる
- 日本語が上達する
この場合、「につれて」と「にしたがって」の両方が使えることがあります。
ステップ2:Aは指示やルールではないか
次のような言葉が前にある場合は、「にしたがって」が適切です。
- 指示
- 命令
- 規則
- 方針
- 説明書
- マニュアル
- 手順
- 矢印
たとえば、「規則にしたがって行動する」と言いますが、「規則につれて行動する」とは言いません。
ステップ3:文章の雰囲気を確認する
自然な変化や日常的な話題では、「につれて」が使われやすい傾向があります。
一方、ニュース、論説文、報告書のような客観的な文章では、「にしたがって」がよく使われます。
ただし、これは絶対的なルールではありません。
最後は、文の意味と文脈を確認することが大切です。
よくある間違い:一度だけ起こる出来事には使いにくい
「につれて」と「にしたがって」は、基本的に段階的な変化を表します。
そのため、一度だけ起こる出来事には使いにくいことがあります。
不自然な例
電車が到着するにつれて、ドアが開いた。
電車が到着した後にドアが一度開くのであれば、段階的な変化ではありません。
この場合は、次のように言うほうが自然です。
電車が到着すると、ドアが開いた。
自然な例
駅に近づくにつれて、乗客が降りる準備を始めた。
駅に少しずつ近づくという変化に伴って、乗客の行動も変化しています。
ミニチェック問題
次の文の空欄に入る最も自然な言葉を考えてみましょう。
問題1
山を登る( )、気温が下がってきた。
問題2
係員の指示( )、順番に並んでください。
問題3
経験を積む( )、難しい仕事も任されるようになった。
問題4
時代の変化( )、必要とされる能力も変わっていく。
解答とポイント
問題1
答え:
につれて
山を登るという段階的な変化に伴って、気温が下がっています。
「にしたがって」も文法的には可能ですが、自然な変化を表す「につれて」がよく合います。
問題2
答え:
にしたがって
指示どおりに行動するという意味です。
比例変化ではありません。
問題3
答え:
につれて
経験が増えることに伴って、任される仕事も変化しています。
「にしたがって」を使うこともできますが、個人の経験に伴う自然な変化なので、「につれて」が使いやすいでしょう。
問題4
答え:
にしたがって
「につれて」も使えます。
ただし、社会の変化を客観的に説明する文章なので、「にしたがって」がよく合います。
関連する文法まとめ: JLPTで迷いやすい原因・理由・結果表現まとめ
まとめ:「変化」なのか、「指示どおり」なのかを見極めよう
最後に、ポイントを整理します。
- 「につれて」と「にしたがって」は、どちらもAの変化に伴ってBも変化することを表す
- 「につれて」は、自然に進む変化や日常的な話題で使いやすい
- 「にしたがって」は、客観的でやや硬い文章でも使いやすい
- 「にしたがって」には、指示、規則、方針、順序などに従うという意味もある
- 一度だけ起こる出来事ではなく、段階的な変化に注目する
JLPTの読解問題では、単語の意味が分かるだけでは十分ではありません。
似ている文型の小さな違いを見抜けるようになると、最後の二択で迷うことが少なくなります。
「分かったつもり」で終わらせず、実際の問題を解きながら判断力を磨いていきましょう。
文型の違いを、実戦問題で身につけよう
似た文型を読んだだけで覚えるのは難しいものです。
RJT(Rapid Japanese Training)では、JLPT対策の問題を解きながら、迷いやすい選択肢の違いを確認できます。
1問ずつ集中して取り組み、自分がどこで迷ったのかを振り返ることで、読解の精度は少しずつ上がっていきます。