「~をめぐって」とは?
ニュースや会議、家族の話し合いの中では、ある一つのテーマが人を動かし、議論を生み、時には対立まで引き起こします。
たとえば、相続の話。
たとえば、税金の制度。
たとえば、ある人の評判。
そんなふうに、何かを中心にして複数の人が議論したり、争ったり、うわさしたりする場面で使われるのが「~をめぐって」です。
少しかたい表現なので、日常会話よりも、ニュース、説明文、記事、レポートなどでよく使われます。JLPT N2でも見かけやすく、読解でも聴解でも意味をつかめるようにしておきたい文型です。
意味
「~をめぐって」は、ある話題・問題・人物・出来事などを中心にして、議論、対立、混乱、うわさなどが起こることを表します。
ポイントは、「その話題のまわりで、複数の人が何らかの動きを見せる」ということです。
単に「~について」と言うよりも、もっと動きがあり、関係者が入り乱れている感じが出ます。
接続
名詞+をめぐって
名詞+をめぐる+名詞
例
土地をめぐって争う
環境問題をめぐって議論する
彼の発言をめぐる批判
新制度をめぐる混乱
どんな場面で使うのか
「~をめぐって」が使われやすいのは、次のような場面です。
意見が対立するとき
相続、政治、制度、予算、方針などをめぐって対立する。
議論が広がるとき
ある発言や決定をめぐって議論が続く。
うわさや憶測が広がるとき
誰かの行動や発言をめぐってうわさが出る。
社会的に注目される出来事があるとき
事件、報道、ルール変更などをめぐって世間が騒ぐ。
例文
駅前の再開発計画をめぐって、住民と市の意見が対立している。
新しい入試制度をめぐって、教育現場ではさまざまな議論が起きている。
人気俳優の突然の引退発表をめぐって、ネット上では多くの憶測が飛び交った。
祖父が残した家をめぐって、親族の話し合いは何度も延期された。
会社の人事異動をめぐるうわさが、昼休みのあいだに一気に広まった。
その判定をめぐって、試合後もファンの間で激しい議論が続いた。
学校の校則見直しをめぐる議論は、保護者の間にも広がっている。
新しい観光開発をめぐって、地域の期待と不安がぶつかっている。
「~について」との違い
ここはとても大切です。
「~について」は、単にあるテーマに関して話すだけの表現です。
一方、「~をめぐって」は、そのテーマを中心に、議論・対立・うわさなどの動きが起きていることを表します。
たとえば、
消費税について話し合う
これは、ただ話題として取り上げているだけです。
消費税をめぐって議論が続いている
こちらは、さまざまな立場の人が関わり、意見のぶつかり合いが起きている感じがあります。
つまり、「~をめぐって」は、ただの説明ではなく、周囲に動きや緊張感がある表現なのです。
よく使われる動詞
「~をめぐって」の後ろには、複数の人が関わる動きが来ることが多いです。
よく使われるのは、次のような言葉です。
争う
対立する
議論する
話し合う
批判する
うわさする
混乱する
揺れる
注目が集まる
このため、一人だけの静かな動作とはあまり結びつきません。
不自然な例
彼はその本をめぐって考えた。
この文は、複数の人の動きが感じられないので不自然です。
自然な例
その本の内容をめぐって、学生たちは活発に意見を交わした。
「~をめぐる」の形にも注意
名詞を修飾するときは、「~をめぐる+名詞」の形になります。
例
土地をめぐる争い
発言をめぐる批判
新ルールをめぐる議論
相続をめぐる問題
読解問題では、この形で出ることも多いので、文の途中に出てきてもすぐ意味が取れるようにしておきましょう。
学習者が間違えやすいポイント
- 軽い話題に何でも使わない
「~をめぐって」は少しかたい表現なので、軽い雑談にはあまり向きません。
不自然な例
昨日のランチをめぐって友達と話した。
自然な例
新しい学食メニューをめぐって、学生の間で意見が分かれている。
- 一人だけの行動には使いにくい
「~をめぐって」は、複数の人や立場が関わる場面で使うのが基本です。
- 後ろには動きのある内容が来やすい
ただの状態説明よりも、議論、対立、うわさ、注目など、周囲が動いている内容と相性がいいです。
JLPTでの押さえどころ
N2では、「意味がわかる」だけでは少し足りません。
次の3点を意識すると強くなります。
「~について」との違いを説明できること
ニュースや社会問題と相性が良いとわかっていること
「~をめぐる+名詞」の形でも意味を取れること
特に読解では、政治、教育、環境、相続、会社の方針などのテーマと一緒に出やすい表現です。硬い文章で見ても止まらずに読めるようにしておきましょう。
まとめ
「~をめぐって」は、ある話題や問題を中心に、議論・対立・うわさなどが起こることを表す文型です。
単なる「~について」ではなく、その周囲に人の動きや緊張感があるのが大きな特徴です。
接続は「名詞+をめぐって」。
名詞を修飾するときは「名詞+をめぐる+名詞」。
少しかたい表現ですが、そのぶんニュース、読解、説明文ではとてもよく使われます。N2レベルでは、意味だけでなく、どんな場面で自然に使えるかまで押さえておくと安心です。
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