「ていく」と「てくる」の違いは?時間の流れと気持ちの向きをつかめばすぐ分かる

2026年03月28日(土) 07時09分45秒

更新: 2026年05月06日(水) 08時07分40秒

「ていく」と「てくる」の違いは?時間の流れと気持ちの向きをつかめばすぐ分かる

「ていく」と「てくる」は、日本語学習者がよく出会うのに、意外と最後まで迷いやすい表現です。

「だんだん暑くなってきた」は自然に聞こえるのに、「これから暑くなってくる」と「これから暑くなっていく」はどう違うのか。
「日本語を勉強していきます」と「日本語を勉強してきました」は、どこが違うのか。

この2つをきちんと区別するコツは、とてもシンプルです。

「ていく」は、今ここから先へ進んでいく感覚。
「てくる」は、どこかから今ここへ近づいてくる感覚。

このイメージをつかむだけで、意味の違いがぐっと見えやすくなります。

「ていく」は今から先へ進む

「ていく」は、話し手のいる「今」を出発点にして、その先へ向かうイメージです。
場所について言うときは遠ざかる感じ、時間について言うときは未来へ進む感じ、変化について言うときはこれからそうなっていく感じになります。

例えば、次のように使います。

  • これからもっと日本語を勉強していきます。
  • 人口はこれから減っていくでしょう。
  • 彼はあいさつをして、駅のほうへ歩いていった。

どの文にも、「今」を起点として、その先へ流れていく感覚があります。

「てくる」はどこかから今へ届く

一方で「てくる」は、別の場所や過去の時点から、話し手のいる「今」へ近づいてくるイメージです。
空間ならこちらへ来る感じ、時間なら過去から今へ変化が続いて届く感じになります。

例えば、次のように言います。

  • 向こうから子どもが走ってきた。
  • だんだん暑くなってきました。
  • 日本語の勉強が楽しくなってきた。

こちらは、「何かが今の自分のところまで来た」「変化が今はっきり感じられるところまで進んだ」というニュアンスです。

時間の流れで考えると分かりやすい

「ていく」と「てくる」は、時間の流れと一緒に考えると、いちばん理解しやすくなります。

「ていく」は、今から未来を見る表現です。
これから先、どのように進んでいくかに目線があります。

  • これから物価は上がっていくと思います。
  • 少子高齢化は今後も進んでいくでしょう。

「てくる」は、過去から今までの変化を見る表現です。
今この時点で、変化が感じられることを表します。

  • 最近、日本語が前より分かるようになってきました。
  • 春になって、少しずつ暖かくなってきた。

つまり、
未来へ伸びていくのが「ていく」、
過去から今へ届いてくるのが「てくる」
と考えると、使い分けがかなり楽になります。

気持ちや状態の変化にも使える

この2つは、単なる移動だけではありません。
気持ちの変化や、能力の変化、社会の流れにもよく使われます。

  • これから自信をつけていきたい。
  • 勉強を続けてきて、少し自信がついてきた。

前の文は、今から先の変化を見ています。
後ろの文は、ここまでの積み重ねによって生まれた変化を、今感じています。

同じ「自信」でも、視点の置き方が違うのです。

よくある迷い方

学習者が迷いやすいのは、「どちらも変化を表している」ように見えるからです。
でも、見る方向が違います。

「これから」があるときは、「ていく」が自然になりやすいです。

  • これから日本語力を伸ばしていきたい。
  • これからもっと寒くなっていくでしょう。

反対に、「最近」「だんだん」「もう」など、今の変化を実感しているときは、「てくる」がよく合います。

  • 最近、漢字が読めるようになってきた。
  • だんだん人が増えてきた。

同じ出来事でも、視点によって表現が変わるのが、日本語のおもしろさでもあります。

まとめ

「ていく」と「てくる」は、どちらもよく使う表現ですが、違いははっきりしています。

「ていく」は、今から先へ。
「てくる」は、どこかから今へ。

この感覚をつかむと、文法問題だけでなく、会話や作文でも自然な日本語に近づけます。
似た表現で迷ったときほど、意味ではなく「視点の向き」を考えるのがコツです。

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