JLPT N2の文法や読解で、こんな経験はありませんか。
単語の意味は分かる。
文全体の内容もだいたい分かる。
それなのに、選択肢を見ると急に迷ってしまう。
「どれも意味が近い気がする」
「解説を読むと分かるのに、本番では選べない」
「日本語の文法を覚えているはずなのに、読解で点につながらない」
これは、学習不足というより、見ているポイントが少し足りないだけかもしれません。
N2文法は、意味だけで解こうとすると限界があります。大切なのは、意味に加えて、接続、場面、評価を見ることです。
この3つが見えるようになると、文法問題でも読解問題でも、選択肢の違いがかなりはっきりしてきます。
N2文法で迷う原因は「意味が近い表現」が多いから
N2になると、単純に「この文型はこの意味」と覚えるだけでは対応しにくくなります。
たとえば、次のような表現があります。
・にあたって
・際して
・を踏まえて
・に基づいて
・ものなら
・ようものなら
・にすぎない
・にほかならない
・わけではない
・とは限らない
どれも、辞書的な意味だけを見ると似ている部分があります。
「〜するとき」
「〜をもとにして」
「ただ〜だけ」
「必ずしも〜ではない」
このように訳せてしまうため、学習者は「意味は分かるのに、違いが分からない」という状態になりやすいのです。
でも、実際の日本語では、文型は意味だけで使われているわけではありません。
どんな形につくのか。
どんな場面で使われるのか。
話し手が良いこととして見ているのか、悪いこととして見ているのか。
ここまで見ることで、初めて正しく選べるようになります。
見分け方1:まず接続を見る
文法問題で最初に見るべきなのは、意味ではなく接続です。
たとえば、選択肢に意味が似ている表現が並んでいても、前に来る形が違えば、その時点で答えを絞れます。
接続は文法問題の入口
N2文法では、次のような接続の違いがよく問われます。
- 動詞の辞書形につくのか
- 動詞のた形につくのか
- 名詞につくのか
- 普通形につくのか
- ます形の語幹につくのか
たとえば、「にあたって」と「際して」はどちらも「何かを始めるとき」「ある特別な場面で」という意味を持ちます。
しかし、文の形を見ると、どちらが自然か判断しやすくなります。
新しい制度を導入するにあたって、説明会を開きます。
サービスのご利用に際して、注意事項をご確認ください。
「にあたって」は、これから大きな行動を始める前の準備に使われやすい表現です。
一方、「際して」は、改まった案内や説明でよく使われます。
意味だけでなく、前の形と文全体の硬さを見ることで、選びやすくなります。
見分け方2:場面を見る
次に大切なのは、場面です。
同じような意味に見える文型でも、会話で自然なもの、文章で自然なもの、ビジネス文書でよく使われるものがあります。
「意味は同じ」に見えても、使う場所が違う
たとえば、「ために」と「べく」はどちらも目的を表します。
日本語を上達させるために、毎日音読しています。
調査を進めるべく、専門チームを立ち上げた。
どちらも「目的」を表しますが、印象はかなり違います。
「ために」は日常会話でも文章でも広く使えます。
「べく」は硬い文章で使われやすく、ニュース、論説、報告文などに出やすい表現です。
つまり、読解で「べく」が出てきたら、ただ「ために」と訳すだけでは不十分です。
筆者が少し硬い文章で、目的や意図をきちんと示している。
そのように読むと、文章全体のトーンも見えてきます。
見分け方3:評価を見る
N2文法で特に重要なのが、評価です。
評価とは、話し手や筆者が、その出来事をどう見ているかということです。
良いこととして見ているのか。
悪いこととして見ているのか。
意外だと感じているのか。
当然だと考えているのか。
強く否定しているのか、やわらかく否定しているのか。
この評価を見落とすと、意味が合っていても選択肢を間違えることがあります。
「おかげで」と「せいで」は評価が違う
分かりやすい例が、「おかげで」と「せいで」です。
先生に教えてもらったおかげで、合格できました。
寝坊したせいで、試験に遅れました。
どちらも原因や理由を表します。
しかし、「おかげで」は良い結果につながった原因に使われやすく、「せいで」は悪い結果につながった原因に使われやすい表現です。
つまり、意味だけなら「原因」ですが、評価まで見るとまったく違います。
N2読解では、このような評価の違いが本文の理解に直結します。
筆者がその出来事を肯定的に見ているのか、否定的に見ているのか。
そこを読むことで、設問の答えが見えやすくなります。
読解では「文型の意味」より「文の役割」を見る
N2読解で大切なのは、文型を見たときに「これは何のために使われているのか」と考えることです。
たとえば、「わけではない」が出てきたとします。
高いレストランが、必ずおいしいわけではない。
ここで大切なのは、「わけではない」=「全部はそうではない」と訳すことだけではありません。
この文は、読み手が持っていそうな思い込みをやわらかく否定しています。
「高いレストランなら、おいしいはずだ」
その考えを、筆者は少し修正しているのです。
このように、文型には文章の中での役割があります。
- 前の内容をまとめる
- 思い込みを否定する
- 例外を示す
- 原因を評価する
- 次の主張へつなげる
- 筆者の判断を示す
文型を単語のように覚えるだけでなく、文章の流れの中でどんな働きをしているかを見ることが、読解力につながります。
選択肢で迷ったときの3ステップ
試験中に迷ったときは、次の順番で確認すると落ち着いて判断しやすくなります。
1. 接続を確認する
まず、空欄の前の形を見ます。
動詞の辞書形なのか。
た形なのか。
名詞なのか。
普通形なのか。
接続が合わない選択肢は、意味が近くても候補から外せます。
2. 場面を確認する
次に、文章の場面を見ます。
日常会話なのか。
説明文なのか。
ニュースや論説のような硬い文章なのか。
ビジネス文書のような改まった文なのか。
硬い文章に出やすい文型、会話で自然な文型を区別すると、選択肢がかなり絞れます。
3. 評価を確認する
最後に、文全体の評価を見ます。
良い結果なのか。
悪い結果なのか。
意外な展開なのか。
当然の判断なのか。
強い否定なのか、部分的な否定なのか。
N2では、この評価の違いが正解を分けることがよくあります。
N2文法は「暗記」から「判断」へ変えると伸びる
文法を覚えることはもちろん大切です。
しかし、N2では覚えた文法をどう判断に使うかがもっと大切になります。
意味だけを覚える学習では、似た表現が並んだときに迷いやすくなります。
一方で、接続、場面、評価の3つで整理すると、文型がただの暗記項目ではなく、読解の道具になります。
「この表現は、前にどんな形が来るのか」
「この表現は、どんな文章で使われやすいのか」
「この表現には、良い評価や悪い評価が入っているのか」
この3つを意識するだけで、N2文法の見え方は大きく変わります。
RJTで、文法を読解に使える力へ
RJT(Rapid Japanese Training)は、JLPT学習者が文法、語彙、読解、聴解を効率よく練習できる日本語学習サイトです。
ただ文型を覚えるだけでなく、問題を解き、解説を確認し、音声を聞き、必要な語句をその場で確認しながら学習できます。
N2文法で大切なのは、「知っている文法」を「選べる文法」に変えることです。
意味が分かるだけで終わらせず、接続、場面、評価まで見て判断する。
この練習を積み重ねることで、読解問題でも選択肢に振り回されにくくなります。
JLPT N2の文法と読解を、もっと実戦的に伸ばしたい方は、RJTで今日の学習を始めてみてください。