「とは限らない」と「ないとも限らない」の違いは?可能性の残し方を理解する

2026年05月06日(水) 07時45分13秒

更新: 2026年04月29日(水) 07時25分00秒

「とは限らない」と「ないとも限らない」の違いは?可能性の残し方を理解する

日本語には、「絶対にそうだ」と言い切らず、少し余白を残して話す表現がたくさんあります。

たとえば、次の二つです。

「成功するとは限らない」

「失敗しないとも限らない」

どちらも、はっきり断定しない表現です。

しかし、この二つは同じ意味ではありません。

「とは限らない」は、「必ずそうだとは言えない」と考えを弱める表現です。

一方、「ないとも限らない」は、「そうなる可能性も少しはある」と、可能性を残す表現です。

この記事では、「とは限らない」と「ないとも限らない」の違いを、例文を使いながらわかりやすく整理します。

まず結論

「とは限らない」は、相手が思っていそうなことを否定します。

「ないとも限らない」は、可能性が低そうなことを完全には否定しません。

つまり、中心になる考え方は次のように違います。

「とは限らない」
→ 必ずそうだ、とは言えない

「ないとも限らない」
→ そうならないとは言い切れない

少し似ていますが、話し手の見ている方向が違います。

「とは限らない」の意味

「とは限らない」は、「必ずそうだとは言えない」「いつもそうだとは言えない」という意味です。

一般的な考え、相手の思い込み、よくある判断に対して、「でも例外もある」と言いたいときに使います。

例文

高いレストランがおいしいとは限らない。

この文は、「高いレストランはおいしい」という考えに対して、「必ずそうではない」と言っています。

ほかにも、次のように使えます。

有名な学校を出た人が、必ず仕事ができるとは限らない。

日本語が上手な人でも、敬語が得意とは限らない。

毎日勉強しているからといって、すぐに成績が上がるとは限らない。

ここで大切なのは、「完全否定」ではないということです。

「高いレストランはおいしくない」と言っているわけではありません。

「高いレストランがおいしい場合もある。でも、必ずそうだとは言えない」と言っています。

「ないとも限らない」の意味

「ないとも限らない」は、「そうならないとは言い切れない」「可能性は低いかもしれないが、ゼロではない」という意味です。

多くの場合、「起こらないだろう」と思われることについて、「でも起こる可能性もある」と言いたいときに使います。

例文

明日は雨が降らないとも限らない。

この文は、「明日は雨が降らないだろう」と思っている状況で、「でも、雨が降る可能性もある」と言っています。

ほかにも、次のように使えます。

彼が急に考えを変えないとも限らない。

簡単な問題でも、ミスしないとも限らない。

このまま放っておくと、問題が大きくならないとも限らない。

「ないとも限らない」は、やや慎重な言い方です。

「たぶん大丈夫だと思う。でも、そうならない可能性もある」と、リスクや例外を意識している表現です。

二つの違いを比べる

次の二つを比べてみましょう。

彼が来るとは限らない。

彼が来ないとも限らない。

一見、似ているように見えますが、意味の方向が違います。

「彼が来るとは限らない」は、「彼が来る」と決まっているわけではない、という意味です。

つまり、「来ない可能性がある」と言っています。

一方、「彼が来ないとも限らない」は、「彼は来ないだろう」と思っているけれど、「来る可能性もある」と言っています。

整理すると、こうなります。

彼が来るとは限らない。
→ 来ると決まっているわけではない。
→ 来ない可能性がある。

彼が来ないとも限らない。
→ 来ないとは言い切れない。
→ 来る可能性がある。

見ている可能性が逆になっているのです。

「とは限らない」は思い込みを弱める

「とは限らない」は、一般化しすぎた考えを弱めるときによく使います。

たとえば、次のような考えです。

若い人は新しい技術に強い。

都会の生活は便利だ。

努力すれば必ず成功する。

これらに対して、「必ずそうとは言えない」と言いたいときに、「とは限らない」が使えます。

若い人がみんな新しい技術に強いとは限らない。

都会の生活が必ず便利だとは限らない。

努力すれば必ず成功するとは限らない。

この表現は、文章を少し冷静にします。

断定を避け、例外や現実の複雑さを示すことができます。

「ないとも限らない」は可能性を残す

「ないとも限らない」は、完全には否定できない可能性を残す表現です。

特に、注意・警戒・予測の場面でよく使われます。

たとえば、次のような場面です。

今は小さなトラブルでも、後で大きな問題にならないとも限らない。

簡単な作業でも、確認しなければミスしないとも限らない。

体調がよくても、無理をすれば悪化しないとも限らない。

この表現には、「可能性は高くないかもしれないが、注意したほうがいい」というニュアンスがあります。

そのため、少し慎重で、やや硬い印象があります。

よくある間違い

学習者が混乱しやすいのは、「ない」が入っているかどうかだけで判断してしまうことです。

しかし、「ないとも限らない」は、単に「とは限らない」の否定形ではありません。

次の二つは、意味が反対方向になります。

合格するとは限らない。
→ 合格しない可能性がある。

合格しないとも限らない。
→ 合格する可能性がある。

このように、「何の可能性を残しているのか」を考えることが大切です。

会話での使い方

日常会話では、「とは限らない」のほうが使いやすいです。

A: 高い教材を買えば、日本語が上手になりますか。
B: 高い教材がいいとは限りません。自分に合うかどうかが大事です。

一方、「ないとも限らない」は少し硬めで、注意や予測を含む場面に向いています。

A: このくらいのミスなら、大きな問題にはなりませんよね。
B: そうとも言えません。このままにしておくと、あとで問題にならないとも限りません。

自然な会話では、「ないとも限らない」はやや慎重な響きになります。

強く断定したくないけれど、相手に注意してほしいときに便利です。

JLPTでの見分け方

JLPTの文法問題では、前後の文脈を見ることが大切です。

「みんなそうだ」「必ずそうだ」という考えを否定する文なら、「とは限らない」が合いやすいです。

例:

有名な大学を出た人が、仕事で必ず成功する(   )。

答え:
とは限らない

一方、「そうならないと思うが、可能性はゼロではない」という文なら、「ないとも限らない」が合いやすいです。

例:

今は小さな問題でも、将来大きなトラブルになら(   )。

答え:
ないとも限らない

ポイントは、「何を否定しているのか」ではなく、「どの可能性を残しているのか」を見ることです。

まとめ

「とは限らない」と「ないとも限らない」は、どちらも断定を避ける表現です。

しかし、意味の方向は違います。

「とは限らない」は、「必ずそうだとは言えない」という意味です。

一般的な考えや思い込みを弱めるときに使います。

「ないとも限らない」は、「そうならないとは言い切れない」という意味です。

低そうに見える可能性を、完全には消さずに残すときに使います。

迷ったときは、次のように考えると整理しやすくなります。

「Aとは限らない」
→ Aだと決めつけない

「Aないとも限らない」
→ Aないとは言い切れない

日本語の文法は、形が似ていても、話し手の見ている方向が違うことがあります。

その違いがわかると、読解でも会話でも、文のニュアンスをより正確につかめるようになります。

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