JLPTの読解や文法で意外と差がつくのが、接続表現の読み分けです。
文そのものの単語はそれほど難しくなくても、「しかし」「一方で」「また」「そのため」などのつながり方を正しく取れないと、筆者の主張や文全体の流れを取り違えやすくなります。
日本語学習者の中には、接続表現を何となく「でも」「そして」くらいの感覚で読んでいる人も少なくありません。日常会話ならそれでも大きな問題はありませんが、JLPTではその曖昧さが失点につながります。
なぜなら、JLPTは「単語を知っているか」だけではなく、「文と文がどうつながっているか」を正確に取れるかどうかも見ているからです。
なぜ接続表現がJLPTで大事なのか
接続表現は、文の意味を飾るおまけではありません。
前の文と次の文の関係を示す、いわば道しるべのようなものです。
この道しるべを見落とすと、次のようなズレが起こります。
逆の意味なのに、同じ流れで読んでしまう
たとえば「しかし」が出ているのに、その前後をただの追加として読んでしまうと、筆者の本当の言いたいことを外しやすくなります。
理由と結果を取り違える
「そのため」「そこで」「したがって」などは、前を受けて後ろが出てきます。
ここをぼんやり読むと、なぜそうなったのか、何が結論なのかが曖昧になります。
対比を見落としてしまう
「一方で」は単なる逆接ではなく、二つの面を並べて見せることが多い表現です。
これをただの「でも」程度に読んでしまうと、比較の軸が見えなくなります。
まずは意味ごとに整理する
接続表現は数を増やすより先に、役割ごとに分けて覚えるのが近道です。
JLPT対策として特に意識したいのは、次の5種類です。
1. 逆接
前の内容と反対のこと、予想と違うことを言うときの表現です。
- しかし
- けれども
- ところが
- それにもかかわらず
読むときのポイント
逆接が出たら、その後ろに注目してください。
日本語では、前半で状況を述べて、後半で本当に言いたいことを出すことがよくあります。
例
日本語は文法が複雑です。しかし、接続表現の役割が分かると、読解はかなり楽になります。
この場合、大事なのは前半の「複雑です」より、後半の「楽になります」です。
2. 追加
前の内容に新しい情報を足すときの表現です。
- また
- さらに
- そのうえ
- 加えて
読むときのポイント
追加表現が続くときは、「同じ方向の情報が重なっている」と考えると整理しやすくなります。
つまり、筆者はそこで主張を補強している可能性が高いということです。
例
この教材は文法の整理に役立ちます。また、読解の練習にも使えます。さらに、学習記録も確認できます。
この流れでは、機能や利点が積み上がっています。
3. 理由
なぜそう言えるのか、根拠を示す表現です。
- なぜなら
- というのも
- その理由は
- 実は
読むときのポイント
理由が出たら、その前にある結論や評価とセットで見てください。
理由だけを追うのではなく、「何を支える理由なのか」を確認することが大切です。
例
接続表現の整理は重要です。というのも、文と文の関係が分かると、文章全体の構造が見えやすくなるからです。
ここでは後半が前半の理由になっています。
4. 結果・帰結
前の内容を受けて、どうなったか、どうするべきかを示す表現です。
- そのため
- そこで
- したがって
- その結果
読むときのポイント
「前に原因、後ろに結果」が来ているのか、あるいは「前に状況、後ろに対応」が来ているのかを見分けましょう。
例
試験時間には限りがあります。そのため、分からない問題に長く止まらないことが大切です。
この場合、「時間に限りがある」が理由で、「止まらないことが大切」が結論です。
5. 言い換え・まとめ
前の内容を別の言い方で整理したり、結論としてまとめたりする表現です。
- つまり
- 要するに
- すなわち
読むときのポイント
このタイプが出たら、そこは要点の可能性が高いです。
細かい説明が続いた後に出てきたら、特に注意して読みましょう。
例
接続表現が分かると、文章の流れが見えます。つまり、内容を一文ずつ追うだけでなく、全体の構造で読めるようになるのです。
「でも」「そして」感覚で読むと危ない理由
学習者がつまずきやすいのは、違う表現を全部同じように読んでしまうことです。
たとえば、
- 「しかし」も「一方で」も、どちらも何となく逆らっている感じ
- 「また」も「そのため」も、どちらも次に文が続く合図
- 「つまり」も「なぜなら」も、説明っぽい言い方
このように大づかみで読んでいると、選択肢問題で細かい差を落としやすくなります。
JLPTでは、その微妙な違いがそのまま正解と不正解を分けることがあります。
だからこそ、「何となくつながっている」ではなく、「どういう関係でつながっているか」を取る必要があるのです。
読解での実戦的な見方
接続表現を見つけたら、次の3つをすばやく確認してみてください。
1. これは逆か、追加か、理由か、結果か
まず役割をざっくり分類します。
ここが決まるだけで、文章の向きがかなり見えます。
2. 大事なのは前か、後ろか
逆接やまとめ表現の後ろは、重要度が高いことが多いです。
一方、理由表現の後ろは、前の主張を支える材料になることが多いです。
3. 選択肢は接続の向きと合っているか
読解の選択肢でよくあるのが、内容は一部合っているのに、因果関係や対比の向きがずれているパターンです。
接続表現を意識して読むと、このズレに気づきやすくなります。
文法問題でも接続の感覚は役に立つ
接続表現は読解だけの話ではありません。
文法問題でも、「この流れなら逆接か」「ここは理由より結果だな」と考えられると、選択肢をかなり絞れます。
たとえば、似た意味の表現でも、実際には文のつながり方が違うことがあります。
そこで接続の感覚があると、「意味が近いから迷う」状態から抜けやすくなります。
つまり、接続表現の整理は読解専用の対策ではなく、文法にも効く土台なのです。
接続表現は暗記より、流れで覚える
単語帳のように「しかし=but」「そのため=therefore」とだけ覚えても、試験では十分ではありません。
大事なのは、文章の中でその表現がどう働くかを見ることです。
おすすめなのは、問題を解いた後に本文を見返して、
- どこで逆転しているか
- どこで追加しているか
- どこで理由を述べているか
- どこでまとめているか
を確認することです。
この見直しを続けると、接続表現がただの単語ではなく、文章の設計図のように見えてきます。
接続表現が見えると、読解はかなり楽になる
JLPTの読解が苦しい人の多くは、単語不足だけで苦しんでいるわけではありません。
実は、文と文の関係がつかめず、文章の流れを毎回ゼロから追ってしまっていることが少なくないのです。
接続表現が分かるようになると、文章はバラバラの文の集まりではなく、筋道を持ったまとまりとして見えてきます。
すると、読む速さも、内容のつかみやすさも変わってきます。
RJTでは、文法項目を単独で覚えるだけでなく、実際の文の流れの中でどう働くかを意識しながら学習できます。
ポップアップ辞書、自然な音声、多言語解説も活用しながら、表現の意味だけでなく、つながり方まで整理していけます。
「何となく読める」から、「流れが見えて読める」へ。
接続表現の読み分けは、そのための大きな一歩になります。