JLPTで混乱しやすい授受表現まとめ 「あげる」「くれる」「もらう」は誰目線で考える?

2026年04月27日(月) 06時25分51秒

更新: 2026年04月21日(火) 07時32分52秒

JLPTで混乱しやすい授受表現まとめ 「あげる」「くれる」「もらう」は誰目線で考える?

JLPTの文法や読解で、地味に多くの学習者を悩ませるのが授受表現です。

「あげる」「くれる」「もらう」。
単語そのものは早い段階で習うのに、問題になると急に迷う。
意味は知っているはずなのに、選択肢を見ると頭が止まる。そんな経験はないでしょうか。

この3つが難しいのは、単に「与える・もらう」という意味を覚えるだけでは足りないからです。
本当に大事なのは、「誰の立場から見ているか」を外さないことです。

授受表現は、モノや行為の移動だけを表しているのではありません。
話し手が、どちら側に気持ちの軸を置いているかまで一緒に表しています。
だからこそ、視点を間違えると、意味はなんとなく分かっていても不正解になります。

この記事では、JLPTで混乱しやすい「あげる」「くれる」「もらう」を、「誰目線か」という一本の軸で整理します。

まず結論 「誰目線か」で考える

最初に、いちばん大事なポイントだけ押さえましょう。

  • あげる
    与える側を見る表現
  • くれる
    話し手側、または話し手に近い側へ来る表現
  • もらう
    受け取る側を見る表現

この3つを、ただ日本語から母語へ置き換えるだけで覚えると、ほぼ確実に途中で混乱します。
大切なのは、「誰があげたか」「誰に来たか」「誰が受け取ったか」という視点の位置です。

「あげる」は与える側から見る

「あげる」は、AがBに何かを与えるとき、A側を軸にした言い方です。

例文

  • 私は友だちに本をあげました。
  • 田中さんは妹にお菓子をあげました。

このとき注目すべきなのは、「あげた人」が主語になりやすいことです。
つまり、「与える側」にカメラが向いています。

JLPTでのつまずきポイント

学習者がよくやるミスは、「相手に行った」というだけで、何でも「あげる」にしてしまうことです。
しかし、話し手に向かって来ている場合は、「あげる」ではなく「くれる」になることがあります。

つまり、「移動の方向」だけでは足りません。
話し手との距離も見ないといけません。

「くれる」は話し手側に来る

「くれる」は、誰かが話し手、または話し手に近い人に何かを与えるときに使います。

例文

  • 友だちが私に本をくれました。
  • 先生が弟にアドバイスをくれました。

ここで大事なのは、「受け取る相手」が話し手自身、あるいは話し手が心理的に近く感じる人物であることです。

「友だちが私に本をあげました」と言いたくなる人は多いのですが、日本語ではここで「くれる」を使います。
なぜなら、話し手側に向かって来ているからです。

JLPTでのつまずきポイント

「くれる」は単なる give ではありません。
「こちら側にもらう感じ」が入っています。

この感覚がないまま訳語だけで処理すると、

  • 私にくれた
  • 母にくれた
  • 弟にくれた

のような文で迷いやすくなります。

特に読解や文法問題では、話し手に近い人物が誰かを見抜けないと、一気に選択肢が曖昧になります。

「もらう」は受け取る側から見る

「もらう」は、受け取った側を主語にして言う表現です。

例文

  • 私は友だちに本をもらいました。
  • 妹は先生に花をもらいました。

この表現では、「受け取った人」に視点があります。
つまり、出来事そのものは同じでも、「あげる」「くれる」とはカメラの位置が違うのです。

比べてみる

  • 私は友だちに本をあげました。
  • 友だちが私に本をくれました。
  • 私は友だちに本をもらいました。

出てくる人物や本は同じでも、どこに視点があるかで動詞が変わります。
ここを整理できるようになると、授受表現は一気に分かりやすくなります。

まずは「矢印」で考えると混乱しにくい

授受表現が苦手な人は、頭の中で矢印を書くようにすると整理しやすくなります。

あげる

A → B
A側から見る

くれる

A → 私・私側
私側に来る

もらう

A → B
B側から見る

つまり、「矢印の向き」と「どちらにカメラがあるか」をセットで考えることです。
この2つを分けずに覚えると、選択肢でブレにくくなります。

行為の授受になると、さらに混乱しやすい

JLPTでは、モノの受け渡しだけでなく、行為の授受もよく出ます。

  • 教えてあげる
  • 教えてくれる
  • 教えてもらう

この形になると、さらに「誰が誰のためにしたか」が見えにくくなります。
ですが、考え方は同じです。

例文

  • 私は友だちに日本語を教えてあげました。
  • 友だちが私に日本語を教えてくれました。
  • 私は友だちに日本語を教えてもらいました。

ここでも、

  • あげる は 行為をしてあげた側
  • くれる は 私側にしてくれた
  • もらう は 私がしてもらった

という視点の違いで決まります。

JLPTで狙われやすいのは「主語の入れ替え」

授受表現の問題で特に多いのが、主語や立場を少しだけ入れ替えた選択肢です。

意味が似ているので、急いでいると全部正しく見えます。
でも実際には、「誰目線か」がずれている選択肢が混ざっています。

たとえば、

  • 私は先生に本をくれました
  • 先生は私に本をあげました
  • 私は先生に本をもらいました
  • 先生は私に本をくれました

こうした選択肢が並ぶと、語順だけを追っている人は混乱します。
ここで必要なのは、単語力よりむしろ視点の固定です。

「主語は誰か」
「矢印はどちらか」
「話し手側に来ているか」

この3つを押さえるだけで、かなりの問題が落ち着いて見えるようになります。

「話し手に近い人」が入ると難度が上がる

授受表現をさらに難しくするのが、「私」ではなく、話し手に近い人物が受け取り手になるパターンです。

たとえば、家族や身内が出てくると、「くれる」が使われることがあります。

例文

  • 先生が弟に本をくれました。

この文は、弟が話し手に近い存在として見られているから自然です。
ここを単純に「私じゃないから、くれるじゃない」と考えると、誤解しやすくなります。

つまり、「くれる」は必ずしも受け手が私本人とは限りません。
話し手が内側としてとらえる相手なら、「くれる」が成り立ちます。

この感覚は、短文問題だけでなく、読解や会話文でも非常に重要です。

迷ったら「その文を誰がうれしく見ているか」を考える

授受表現でどうしても迷ったときは、「この文は誰の側に立って言っているか」を考えるのがおすすめです。

  • 与えた側の動きとして言いたい
    → あげる
  • こちらにしてくれた感じがある
    → くれる
  • 受け取った側として言いたい
    → もらう

ときどき、「うれしい方向」と言い換えると急に分かる人もいます。
特に「くれる」は、単なる方向だけでなく、「こちらにしてくれた」という感覚が入るからです。

N3/N2では「意味」より「視点」で覚えたほうが強い

N3やN2の文法では、似た意味の表現がいくつも出てきます。
その中で授受表現が厄介なのは、意味だけ見ると全部「与える・もらう」に見えてしまうことです。

だからこそ、

  • 訳語で覚える
  • 単語だけで覚える
  • 雰囲気で選ぶ

というやり方では限界が来ます。

本番で強いのは、「この文は誰目線か」と機械的に確認できる人です。
視点さえ固定できれば、授受表現はむしろ得点源になります。

まとめ 「誰目線か」を外さなければ、授受表現は怖くない

「あげる」「くれる」「もらう」で迷う人は、意味を知らないのではありません。
多くの場合、問題は視点の整理がまだ曖昧なだけです。

授受表現を見たら、まず考えるべきはひとつです。

「この文は、誰の立場から見ているか」

ここが決まれば、選ぶべき動詞もかなり見えてきます。
逆にここをあいまいにしたままだと、何度解いても同じところで迷います。

RJTでは、こうした混乱しやすい文法項目も、意味だけでなく視点や使い分けまで整理しながら学べます。
一問ずつ解いて終わりにするのではなく、「なぜそれになるのか」まで見えるようになると、文法は一気に安定します。

授受表現は、暗記より整理です。
「誰目線か」。まずはこの一本の軸を、しっかり自分の中に通していきましょう。


関連記事