日本語を勉強していると、形は似ているのに、意味の方向がまったく違う表現に出会うことがあります。
その代表のひとつが、「ようになる」と「ことになる」です。
どちらも文の終わりによく出てきて、どちらも「何かがそうなる」という雰囲気があります。
でも、実際には見ているポイントが違います。
「ようになる」は、変化に注目する表現です。
「ことになる」は、決定や成り行きに注目する表現です。
この違いがわかると、会話も読解もぐっとわかりやすくなります。
JLPTでもよく問われる重要ポイントなので、ここでしっかり整理しておきましょう。
「ようになる」とは?
「ようになる」は、できなかったことができるようになる、しなかったことをするようになる、見えなかった変化があらわれる、というときに使います。
つまり、人や状況の変化を表す文型です。
たとえば、こんな文です。
例文
- 日本語のニュースが少しずつ聞き取れるようになりました。
- 野菜を毎日食べるようになりました。
- このアプリを使ってから、勉強の習慣が続くようになりました。
これらの文では、以前と今が違っています。
前はできなかった。
前はそうではなかった。
でも今は変わった。
その変化を表しているのが、「ようになる」です。
特に多いのは、次の二つです。
能力の変化
- 話せるようになる
- 読めるようになる
- わかるようになる
習慣や行動の変化
- 早く寝るようになる
- 運動するようになる
- 日本語でメモを取るようになる
このように、「ようになる」は、前と比べて何が変わったかを表すときに使います。
「ことになる」とは?
一方で「ことになる」は、誰かが決めたこと、周囲の状況によって決まったこと、ルールや予定としてそうなったことを表します。
自分の内側の変化というより、外から見た決定や結果に注目する表現です。
たとえば、次のような文があります。
例文
- 来月から大阪支社で働くことになりました。
- 会議は午後三時から始まることになっています。
- 今年から授業では辞書を使わないことになりました。
これらの文では、本人の気持ちの変化を言っているわけではありません。
会社の辞令、予定、ルール、話し合いの結果などによって、そう決まったことを表しています。
つまり「ことになる」は、決定事項や制度、流れの結果としてそうなったことを表す文型です。
ひとことで違いを言うと?
文型 意味の中心 ようになる 変化 ことになる 決定このひとことを頭に入れておくだけで、かなり見分けやすくなります。
「ようになる」は、自分や物事がどう変わったかを見る表現です。
「ことになる」は、何がどう決まったか、どういう扱いになったかを見る表現です。
例文で比べてみよう
まずは、「日本語」という身近なテーマで比べてみましょう。
比較1
- 毎日練習して、日本語が話せるようになりました。
- 来月から、日本語でスピーチをすることになりました。
一つ目は、能力の変化です。
練習した結果、話せるようになったのです。
だから「ようになる」が自然です。
二つ目は、予定や決定です。
誰かに決められたのか、授業や大会でそうなったのか、とにかく「そう決まった」ことを表しています。
だから「ことになる」が自然です。
比較2
- 最近、朝早く起きるようになりました。
- 来週から、毎朝七時に出社することになりました。
最初の文は、生活習慣の変化です。
以前とは違って、今は早起きしている。
これが「ようになる」です。
次の文は、勤務のルールや予定が決まったことです。
自分の習慣というより、外側の事情でそう定められた感じがあります。
これが「ことになる」です。
学習者が間違えやすいポイント
この二つは、どちらも「なる」が入っているので、何となく同じように見えてしまいます。
でも、意味の中心が違うので、入れ替えると不自然になることがあります。
不自然な例
来月から東京へ転勤するようになりました。
これは不自然です。
転勤は、能力の変化ではありません。
会社などの決定によってそうなるものなので、次のように言うのが自然です。
自然な言い方
来月から東京へ転勤することになりました。
逆に、次の文も普通は不自然です。
不自然な例
スマホで漢字が読めることになりました。
漢字が読めるようになるのは、能力の変化です。
だから、次のように言うのが自然です。
自然な言い方
スマホで漢字が読めるようになりました。
ただし、文脈によっては少し広がった使い方もあります。
たとえば制度変更や機能追加なら、次のように言える場合もあります。
文脈によって可能な例
このアプリでは、来月から音声をゆっくり再生できることになりました。
この場合は、「仕様としてそう決まった」「サービス上そういう扱いになった」という意味です。
つまり大事なのは、「変化」なのか、「決定」なのかを見分けることです。
「ようになる」がよく使われる場面
「ようになる」は、次のような場面で特によく使われます。
- 勉強してできることが増えたとき
- 生活習慣が変わったとき
- 体や気持ちの状態が変わったとき
- 前と今の違いを言いたいとき
例文
- ひらがなだけでなく、漢字も少し読めるようになった。
- 最近は、寝る前に日本語の日記を書くようになった。
- この薬を飲んでから、よく眠れるようになった。
- 何度も練習して、人前でも落ち着いて話せるようになった。
どれも、以前との違いが感じられます。
だから「ようになる」がぴったりです。
「ことになる」がよく使われる場面
「ことになる」は、次のような場面でよく使われます。
- 学校や会社で予定が決まったとき
- ルールや方針を説明するとき
- 話し合いの結果を伝えるとき
- 成り行きとしてそうなることを表すとき
例文
- 次のテストは六月十日に行うことになりました。
- この部屋では、日本語だけを使うことになっています。
- 雨のため、試合は中止ということになりました。
- 来年度から、新しい教材を使うことになりました。
ここでは、個人の変化ではなく、決まった内容や外部の事情が中心です。
だから「ことになる」が自然です。
「ようになる」と「ことになる」はどう覚える?
迷ったときは、自分にこう聞いてみてください。
これは、前と比べて変わったことですか。
それとも、誰かが決めたこと、あるいはそういうルールや予定ですか。
前と比べた変化なら、「ようになる」。
決定やルールなら、「ことになる」。
この基準で考えると、かなり整理しやすくなります。
JLPTではどう問われる?
JLPTでは、この二つを文法問題で直接問われることがありますし、読解や聴解の中でも自然に出てきます。
特に大切なのは、文の後ろだけを見るのではなく、前後の文脈を見ることです。
たとえば、努力、練習、成長、習慣、変化があるなら、「ようになる」が出やすくなります。
一方で、会議、会社、学校、規則、予定、決定、案内などが出てきたら、「ことになる」が出やすくなります。
単に形を暗記するだけでは、試験では迷いやすいです。
意味の方向まで理解しておくと、選びやすくなります。
似ているけれど、見ている方向は違う
「ようになる」と「ことになる」は、どちらもよく使う重要文型です。
でも、見ている方向はまったく同じではありません。
「ようになる」は、自分や物事の変化を見る表現です。
「ことになる」は、決定やルール、成り行きを伝える表現です。
この違いがわかると、日本語の表現はぐっと自然になります。
会話でも、作文でも、読解でも、意味をはっきりつかみやすくなるはずです。
文法は、ただ丸暗記するよりも、「どんな場面で使うのか」をイメージしながら覚えるほうがずっと強くなります。
似た文型をひとつずつ整理していくことが、JLPT合格への近道です。
「ようになる」と「ことになる」のような、似ているけれど混乱しやすい文法を、問題を解きながら実践的に身につけたい方は、RJTで学んでみてください。
文法の違いを感覚ではなく、使える知識として整理しながら、効率よくJLPT対策を進めることができます。