導入
日本語で「つくる」と書きたいとき、「作る」と「造る」のどちらを使えばよいか迷ったことはありませんか。
「料理を作る」「文章を作る」「建物を造る」のように、どちらも何かを生み出すことを表します。しかし、作るものの種類や規模によって、自然に使われる漢字が異なります。
特にJLPTの語彙問題や読解問題では、意味が似ている漢字の使い分けが問われることがあります。
この記事では、「作る」と「造る」の違いを最初に簡潔に示し、その後で料理・文章・建物などの例を使って詳しく解説します。
まず結論
「作る」は、料理・文章・予定・関係など、幅広いものを生み出すときに使います。
「造る」は、建物・船・庭・酒など、材料を使って形のあるものを本格的に生み出すときに使います。
簡単に覚えるなら、次のように考えましょう。
- 幅広く使える基本の漢字が「作る」
- 大きな物や本格的な製造を意識する漢字が「造る」
迷ったときは、「作る」を選ぶと自然になる場合が多いです。
意味の違いを整理
「作る」の基本的な意味
「作る」は、何かを新しく生み出すことを表す、最も一般的な言葉です。
手で作る物だけでなく、文章、予定、ルール、人間関係、機会など、形のないものにも使えます。
例えば、次のような表現があります。
- 料理を作る
- 文を作る
- 計画を作る
- 友達を作る
- 明るい雰囲気を作る
- 新しい制度を作る
「作る」は使える範囲がとても広いため、日常会話でも文章でもよく使われます。
「何かを新しく生み出す」という意味で迷ったときに、最初に考える漢字が「作る」です。
「造る」の基本的な意味
「造る」は、材料を加工したり組み立てたりして、形のある物を生み出すことを表します。
特に、大きな物、複雑な物、本格的に製造する物に使われる傾向があります。
例えば、次のような表現があります。
- 船を造る
- 工場を造る
- 庭園を造る
- 道路を造る
- 酒を造る
- 大型の機械を造る
「造る」には、材料を使い、一定の技術や工程を通して完成させるというイメージがあります。
ただし、形のある物なら、何にでも「造る」を使えるわけではありません。小さな日用品や日常的な料理などには、一般に「作る」を使います。
使う場面の違い
日常会話では「作る」が中心
日常会話では、「作る」が最もよく使われます。
料理、資料、予定、ルール、友達など、身近なものを生み出すときは、ほとんどの場合「作る」で表せます。
- 今日は家で夕食を作ります。
- 会議の資料を作っています。
- 来月の予定を作りましょう。
- 日本人の友達を作りたいです。
「造る」は、日常会話でまったく使わないわけではありませんが、対象が建物や船、酒などに限られることが多いです。
文章を書くときの「作る」と「造る」
「文章」「文」「作文」「資料」「問題」など、言葉や情報を組み立てる場合は「作る」を使います。
- 文章を作る
- 例文を作る
- 問題を作る
- 資料を作る
「文章を造る」と書くと、普通の文章では不自然です。
文章には形がありません。そのため、幅広いものを生み出す「作る」が適しています。
建物には「造る」が使われやすい
建物、工場、道路、橋など、規模が大きく、材料を組み立てて完成させる物には「造る」が使われます。
- 海の近くに新しい工場を造る。
- 山の中に道路を造る。
- 広い土地に日本庭園を造る。
ただし、建物については「建てる」という動詞もよく使われます。
- 家を建てる
- 学校を建てる
- 高層ビルを建てる
「家を造る」も意味は通じますが、建物そのものを建設することを表すなら、「家を建てる」のほうが一般的です。
「家を造る」は、設計や材料選びを含め、家づくり全体を意識しているような表現になることがあります。
ビジネスでは対象によって使い分ける
ビジネスでは、形のないものを生み出す場合に「作る」を使います。
- 新しい仕組みを作る
- 販売計画を作る
- 顧客との関係を作る
- 働きやすい環境を作る
一方、工場、設備、製品などの製造や建設を強調する場合には「造る」が使われることがあります。
- 海外に新しい工場を造る
- 特殊な機械を造る
- 伝統的な方法で酒を造る
ただし、「製品を作る」も自然な表現です。
「製品を造る」とすると、材料や製造技術、工程を強く意識した表現になります。「製品を作る」は、商品を生み出すという広い意味で使えます。
例文で確認
「作る」の例文
例文1
母は毎朝、家族のお弁当を作ります。
料理を準備する場合は「作る」を使います。「お弁当を造る」とは普通言いません。
例文2
この言葉を使って、短い文を作ってください。
言葉を組み合わせて文を生み出すため、「作る」を使います。文章や例文には「造る」を使いません。
例文3
夏休みの旅行計画を作りました。
計画は目で見ることができる場合もありますが、物そのものではありません。このような形のない内容には「作る」を使います。
例文4
新しいクラスで、たくさん友達を作りたいです。
人間関係を新しく生み出すという意味です。友達は製造する物ではないため、「造る」は使いません。
例文5
チーム全員で、話しやすい雰囲気を作りましょう。
雰囲気のような形のないものにも「作る」を使えます。
例文6
先生がJLPTの練習問題を作ってくれました。
問題や教材を考えて生み出す場合は「作る」を使います。
「造る」の例文
例文1
この会社では、大型の船を造っています。
船は大きく、多くの材料や複雑な工程を必要とするため、「造る」がよく使われます。
例文2
駅の近くに新しい工場を造る計画があります。
大規模な建物や施設を建設する場合には、「造る」を使うことがあります。
例文3
職人たちは伝統的な方法で日本酒を造っています。
酒、みそ、しょうゆなどを製造する場合には、「造る」がよく使われます。材料を加工し、時間や技術をかけて完成させるイメージがあります。
例文4
ホテルの中に美しい日本庭園が造られました。
庭園は、石、木、池などを配置して、計画的に完成させるものです。そのため「造る」が自然です。
例文5
島と本土を結ぶ新しい橋が造られています。
橋や道路など、大規模な構造物には「造る」が使われます。ただし、「橋を架ける」という表現もあります。
料理・文章・建物ではどう違う?
料理は基本的に「作る」
料理では、通常「作る」を使います。
- 朝ご飯を作る
- カレーを作る
- ケーキを作る
- お弁当を作る
「料理を造る」とすると、一般的な文章では大げさで不自然に感じられます。
ただし、料理人の技術や芸術性を特別に強調する文章では、「一皿の料理を造り上げる」のような表現が使われることがあります。これは日常的な言い方ではなく、特別な表現です。
JLPTでは、通常の料理について聞かれたら「作る」を選びましょう。
文章は必ず「作る」と考える
文章、文、例文、作文などには「作る」を使います。
- 文章を作る
- 文を作る
- 例文を作る
- 作文を作る
「文章を造る」や「例文を造る」は、普通の日本語では不自然です。
文章は材料から製造する物ではなく、言葉を組み合わせて生み出すものだからです。
なお、「作文を作る」も間違いではありませんが、実際には「作文を書く」という表現のほうがよく使われます。
建物は「造る」または「建てる」
建物や施設の場合は、「造る」が使えます。
- 工場を造る
- 大きな施設を造る
- 地下に倉庫を造る
ただし、家、学校、ビルなどを地面の上に建設する場合は、「建てる」がより具体的で自然です。
- 家を建てる
- 学校を建てる
- ビルを建てる
次のように整理すると分かりやすいでしょう。
- 建設する動作を直接表すなら「建てる」
- 設計や設備を含む全体的な建設を表すなら「造る」
- 一般的に何かを生み出すと言うなら「作る」
「建物を作る」も会話では使われますが、正式な文章では「建物を造る」や「建物を建てる」のほうが具体的です。
間違いやすいポイント
「料理を造る」は普通の場面では使わない
不自然な例:
母が夕食を造っています。
自然な表現:
母が夕食を作っています。
夕食や家庭料理は、日常的に準備するものなので「作る」が自然です。
料理の芸術性や職人の技術を強調する特別な文章でなければ、「造る」は選びません。
「文章を造る」は不自然
不自然な例:
日本語で文章を造りました。
自然な表現:
日本語で文章を作りました。
または、次のように言えます。
日本語で文章を書きました。
文章や例文には「作る」または「書く」を使います。
形がある物でも、すべて「造る」ではない
小さな物や簡単な物には、一般に「作る」を使います。
- 紙で箱を作る
- 木でいすを作る
- 折り紙で花を作る
- 子どもがおもちゃを作る
これらに「造る」を使うと、規模が大きい、専門的である、製造工程が複雑であるという印象が強くなります。
「形がある物だから造る」と単純に判断しないようにしましょう。
「造る」が使える場合でも「作る」が間違いとは限らない
例えば、次の二つはどちらも使われます。
- 製品を作る
- 製品を造る
「製品を作る」は、製品を生み出すことを広く表します。
「製品を造る」は、材料、技術、製造工程を意識した表現です。
同じ対象でも、話し手が何を強調するかによって漢字が変わる場合があります。
迷ったときは「作る」を基本にする
「作る」は使用範囲が広く、多くの場面で使えます。
一方、「造る」を使える対象は比較的限られています。
そのため、漢字を自由に選ぶ問題では、次のように考えると間違いを減らせます。
- 形のないものなら「作る」
- 料理や小さな物なら「作る」
- 大型の構造物や本格的な製造なら「造る」
- 建築物なら「建てる」も確認する
JLPTでの見分け方
JLPTの語彙問題や読解問題では、目的語に注目すると判断しやすくなります。
「作る」を選びやすい言葉
次のような言葉が後ろにある場合は、「作る」が基本です。
- 料理
- 弁当
- 文
- 文章
- 問題
- 資料
- 計画
- 予定
- 規則
- 制度
- 友達
- 関係
- 機会
- 雰囲気
- 時間
これらは、日常的な物や、形のない内容です。
例えば、次の問題を考えてみましょう。
来週の会議で使う資料を___必要があります。
この場合は「作る」が自然です。
資料は情報を整理して生み出すものなので、「造る」は使いません。
「造る」を選びやすい言葉
次のような言葉が後ろにある場合は、「造る」が使われやすくなります。
- 船
- 工場
- 道路
- 橋
- 庭園
- 大型機械
- 酒
- みそ
- しょうゆ
これらには、材料、技術、製造工程、大きな規模といった共通点があります。
例えば、次の問題では「造る」が適しています。
この地域では、昔から伝統的な方法で酒を___います。
酒は材料を発酵させて製造するため、「造って」が自然です。
文脈の中にあるヒントを探す
選択肢で迷ったら、目的語だけでなく、周囲の言葉も確認しましょう。
次のような言葉があれば、「造る」が選ばれやすくなります。
- 大規模な
- 材料を加工して
- 工場で
- 職人が
- 伝統的な製法で
- 長い工程を経て
- 建設する
- 製造する
反対に、次のような内容なら「作る」が選ばれやすくなります。
- 考える
- 書く
- 準備する
- 計画する
- 人間関係を築く
- 日常的に用意する
「建てる」や「書く」との違いにも注意する
JLPTでは、「作る」と「造る」だけでなく、より具体的な動詞が選択肢に入ることがあります。
- 家を建てる
- 橋を架ける
- 文章を書く
- 組織を設立する
- 計画を立てる
例えば、「家を___」という問題で「作る」「造る」「建てる」が並んでいたら、通常は「建てる」が最も自然です。
単に意味が通じる言葉を選ぶのではなく、その名詞と最もよく一緒に使われる動詞を選ぶことが大切です。
まとめ
「作る」と「造る」は、どちらも何かを生み出すことを表しますが、使われる対象が異なります。
- 「作る」は、料理、文章、計画、関係など、幅広いものに使う
- 「造る」は、船、工場、庭園、酒など、大規模な物や本格的に製造するものに使う
- 料理や文章には、基本的に「作る」を使う
- 建物には「造る」が使えるが、「建てる」のほうが自然な場合も多い
- 迷ったときは、まず「作る」を基本に考える
JLPTで正しい答えを選ぶためには、単語の意味を覚えるだけでは十分ではありません。「どの名詞と一緒に使われるか」「どのような場面で使われるか」まで確認することが重要です。
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