日本語で作文を書くとき、
文法の間違いは少ないのに、なぜか少し幼く見える。
そんなことがあります。
その原因のひとつが、
便利な言葉に頼りすぎることです。
特に多いのが、
「みたいだ」と「すごい」です。
もちろん、この二つが悪いわけではありません。
会話ではとても自然ですし、気持ちも伝わりやすい表現です。
でも、作文の中で何度も出てくると、
文章がふわっとして見えたり、
考えが浅く見えたり、
子どもっぽい印象になったりしやすいのです。
では、どうすればいいのでしょうか。
答えは簡単です。
「もっと難しい言葉を使う」ことではありません。
大切なのは、
自分が何を言いたいのかを、少しだけ具体的にすることです。
この記事では、
作文で幼く見えやすい理由と、
「みたいだ」「すごい」から一歩進む言い換えを、
わかりやすく整理していきます。
なぜ「みたいだ」と「すごい」は幼く見えやすいのか
理由は大きく二つあります。
一つ目は、
意味が広すぎることです。
「すごい」は、
良い、強い、大きい、感動した、驚いた、レベルが高い、など、
いろいろな意味で使えます。
便利ですが、そのぶん、何がどうすごいのかが見えにくくなります。
二つ目は、
話し言葉の空気が強いことです。
「みたいだ」は会話ではとても自然ですが、
作文では少し軽く聞こえることがあります。
特に説明文や意見文では、
「ようだ」「らしい」「と思われる」などのほうが、
文の性格に合うことが多いです。
つまり、
幼く見えるのは語彙力がないからではなく、
言葉があいまいすぎるからです。
「みたいだ」をそのまま書くと、どんな印象になるか
たとえば、こんな文を見てください。
彼はとても疲れているみたいだ。
この町は昔より静かになったみたいだ。
この映画は外国でも人気があるみたいだ。
意味は通じます。
でも、作文として見ると、少し話し言葉っぽく見えます。
ここで大事なのは、
「みたいだ」を全部禁止することではありません。
ただ、
作文では「何を根拠にそう言っているのか」に合わせて、
言い換えられると一気に文章が整います。
「みたいだ」の言い換え
1 「ようだ」
もっとも基本的で使いやすい言い換えです。
彼はとても疲れているようだ。
この町は昔より静かになったようだ。
「みたいだ」より少しかたく、
作文や説明文にもなじみやすい表現です。
迷ったら、まず「ようだ」を考えるだけでも、
文章の印象はかなり変わります。
2 「らしい」
伝聞や、一般的な情報にもとづくときに使いやすい表現です。
この映画は外国でも人気があるらしい。
今年の夏はかなり暑くらしい。
ただし、「らしい」は
自分が直接確認したというより、
聞いた情報にもとづいている感じが出ます。
そのため、
自分の観察を書く作文では「ようだ」のほうが合うこともあります。
3 「と思われる」
意見文や説明文で、少し客観的に見せたいときに便利です。
この制度には改善の余地があると思われる。
少子高齢化の影響が大きいと思われる。
これは日常会話では少しかたいですが、
作文ではとても使いやすい表現です。
「なんとなくそう感じる」ではなく、
「考えた結果、そう判断できる」という雰囲気が出ます。
4 いっそ言い切る
実は、いつも推量表現が必要とは限りません。
たとえば、
彼はとても疲れているみたいだ。
この文は、状況によっては
彼はとても疲れている。
と言い切ったほうが自然なことがあります。
作文では、
必要以上に「たぶん」「みたいだ」「~かもしれない」を重ねると、
文が弱く見えます。
見てわかること、事実として書けることは、
思いきってそのまま書くのも大切です。
「すごい」はなぜ便利なのに危ないのか
「すごい」は本当に便利です。
すごい景色
すごい人
すごい努力
すごく感動した
すごく大変だった
会話では、これで十分伝わることも多いです。
でも、作文で何度も出てくると、
文章の輪郭がぼやけます。
読み手は、
何がすごいのか、
どの点が印象的なのか、
どの程度なのか、
を知りたいからです。
つまり、
「すごい」を減らすと、
文章は上手く見えるというより、
中身が見えるようになります。
「すごい」の言い換え
1 気持ちを言いたいなら、その感情を言う
私はその映画を見てすごいと思った。
このままだと、少し幼く見えます。
何にどう動かされたのかが見えないからです。
たとえば、
私はその映画を見て深く感動した。
私はその映画を見て強い衝撃を受けた。
私はその映画を見て考えさせられた。
こう変えるだけで、
感じたことの中身が見えてきます。
2 程度を言いたいなら、具体的な形容詞にする
彼はすごい先生だ。
これも会話では自然です。
でも作文なら、
彼は説明が非常にわかりやすい先生だ。
彼は学生からの信頼が厚い先生だ。
彼は知識が豊富で、指導も丁寧な先生だ。
このように、
何が評価されているのかを書いたほうが、
ずっと伝わります。
3 大きさや多さを言いたいなら、内容に合った語を選ぶ
すごい雨が降った。
すごい人が集まった。
これも作文では、
次のようにすると自然です。
激しい雨が降った。
非常に多くの人が集まった。
会場には大勢の人が集まった。
「すごい」をやめると、
情景が一気に具体的になります。
4 「すごく」を副詞のまま使わず、別の副詞に変える
すごく難しかった。
すごく疲れた。
すごく大切だ。
これも便利ですが、連続すると幼く見えます。
次のような言い換えがしやすいです。
非常に難しかった。
かなり疲れた。
きわめて重要だ。
本当に大切だ。
特に重要だ。
ただし、全部をかたい語にすればよいわけではありません。
文の種類に合わせて選ぶことが大切です。
幼く見えにくい作文は、「感想」より「説明」がある
次の二つを比べてみてください。
この本はすごくおもしろかった。主人公の考え方もすごいと思った。
意味はわかりますが、
少し子どもっぽく見えます。
それに対して、
この本は最後まで興味深く読むことができた。特に、主人公が失敗を通して成長していく姿が印象的だった。
こちらのほうが、
何をどう感じたのかが見えます。
作文で大人っぽく見える文章は、
難しい言葉が多い文章ではありません。
感想を、そのまま投げるのではなく、
理由や内容を一歩だけ説明している文章です。
すぐ使える言い換えのコツ
作文を書くときは、
「みたいだ」「すごい」を見つけたら、
すぐ消す必要はありません。
まず、そのまま書いて大丈夫です。
大切なのは、見直しのときです。
「みたいだ」を見つけたら、
「ようだ」「らしい」「と思われる」「言い切れる」
のどれが合うか考えてみる。
「すごい」を見つけたら、
「何がどうすごいのか」を一語足してみる。
それだけで、文章はかなり変わります。
作文は、最初から完成した日本語を書く作業ではありません。
あとで少しずつ、言葉を正確にしていく作業です。
例文でまとめて確認する
幼く見えやすい文
この町は前より便利になったみたいだ。駅の近くにすごい店もできた。
彼はすごく頭がいいみたいで、先生もすごいと言っていた。
この映画はすごく人気があるみたいだ。
言い換えた文
この町は以前より便利になったようだ。駅の近くには大型の商業施設もできた。
彼は非常に理解が早く、先生からの評価も高いようだ。
この映画は国内外で高い人気を集めているらしい。
並べてみると、
後のほうが難しく見えるというより、
伝えたい内容がはっきりしています。
それが、
幼く見えにくい文章の正体です。
まとめ
「みたいだ」と「すごい」は、
どちらも便利で、会話ではとても自然な表現です。
でも、作文では、それだけに頼ると
あいまいで幼い印象になりやすくなります。
「みたいだ」は、
「ようだ」「らしい」「と思われる」、あるいは言い切りへ。
「すごい」は、
「感動した」「印象的だった」「優れている」「非常に」「大変」など、
意味を少し具体的にする。
それだけで、
作文はぐっと読みやすくなります。
上手な文章は、
難しい単語で飾られた文章ではありません。
自分の考えや観察が、読み手に伝わる形で置かれている文章です。
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