JLPTの読解問題で、こんな経験はありませんか。
本文の単語はだいたい分かる。
文の意味も何となく分かる。
それなのに、選択肢を見ると急に迷ってしまう。
「これも合っている気がする」
「こっちも本文に書いてあった気がする」
「最後は勘で選んでしまった」
このような悩みを持つ学習者はとても多いです。
実は、読解で迷う原因は、単語力だけではありません。大きな原因の一つは、「本文と選択肢の言い換え」を見抜けていないことです。
JLPTの読解では、本文に書いてある文が、そのまま選択肢に出ることはあまりありません。正解の選択肢は、多くの場合、本文の内容を別の言い方に変えています。
つまり、読解で大切なのは、「同じ言葉を探す力」ではなく、「同じ意味を別の表現で見つける力」なのです。
読解問題は「本文探し」ではなく「意味探し」
読解問題を解くとき、多くの学習者は本文の中にある言葉と、選択肢の中にある言葉を照らし合わせようとします。
もちろん、それも大切です。しかし、それだけでは正解に届かないことがあります。
たとえば、本文に次のような文があったとします。
最近は、仕事をしながら日本語を勉強する人が増えている。
選択肢に、次のような文があったらどうでしょうか。
日本語を学ぶ人の中には、働きながら学習を続けている人が多くなっている。
使われている言葉は少し違います。
「仕事をしながら」は「働きながら」
「勉強する」は「学習を続ける」
「増えている」は「多くなっている」
このように、表現は変わっていますが、意味の中心はほぼ同じです。
この言い換えに気づけるかどうかが、読解の正答率を大きく左右します。
視点1:主語が変わっていないかを見る
まず大切なのは、「誰について話しているのか」を確認することです。
読解の選択肢では、本文と似た言葉が使われていても、主語や対象が少し変わっていることがあります。
たとえば、本文にこう書かれていたとします。
若い人の間では、短い動画で情報を得ることが一般的になってきた。
これに対して、次の選択肢は注意が必要です。
すべての人が、短い動画で情報を得るようになった。
一見似ていますが、本文では「若い人の間では」と言っています。選択肢では「すべての人」となっています。
これは範囲が広がりすぎています。
読解問題では、このようなズレがよく出ます。
- 若い人 → すべての人
- 一部の学生 → 多くの学生
- ある地域 → 全国
- 筆者 → 一般の人々
- 以前より増えた → いつも多い
正解を選ぶときは、まず「誰の話か」「どの範囲の話か」を見ることが大切です。
言葉が似ていても、対象が変わっていれば正解ではない可能性があります。
視点2:強さが変わっていないかを見る
次に見るべきなのは、表現の強さです。
本文ではやわらかく言っているのに、選択肢では強く言い切っていることがあります。
たとえば、本文にこう書かれていたとします。
この方法は、学習を続けるうえで役に立つことがある。
この文は、「いつも役に立つ」とまでは言っていません。「役に立つことがある」という、少し控えめな表現です。
ところが、選択肢が次のようになっていたらどうでしょうか。
この方法を使えば、必ず学習を続けられる。
これは強すぎます。
「役に立つことがある」と「必ずできる」は同じではありません。
JLPTの読解では、このような強さのズレがよく出ます。
注意したい言葉には、次のようなものがあります。
- 必ず
- すべて
- まったく
- いつも
- 絶対に
- だけ
- しか
- 完全に
これらの言葉が選択肢にあるときは、本文も本当にそこまで強く言っているかを確認しましょう。
本文が「多い」「傾向がある」「場合がある」「〜かもしれない」と言っているのに、選択肢が「必ず」「すべて」と言っていたら、かなり危険です。
読解では、意味の方向だけでなく、表現の強さまで見る必要があります。
視点3:理由と結論の関係を見る
三つ目の視点は、理由と結論の関係です。
読解問題では、本文にある理由だけを抜き出した選択肢や、結論だけを少しずらした選択肢が出ることがあります。
たとえば、本文に次のような内容があったとします。
オンライン学習は便利だが、質問しにくいと感じる学習者もいる。そのため、学習サイトには、説明の分かりやすさだけでなく、つまずいたときに確認しやすい仕組みが必要である。
この文の中心は、「オンライン学習では、確認しやすい仕組みが必要だ」ということです。
ところが、選択肢に次のような文があると迷いやすくなります。
オンライン学習は便利なので、これからさらに利用者が増える。
これは本文にありそうな内容に見えます。しかし、本文の結論とは違います。
本文は「利用者が増える」とは言っていません。話の中心は、「質問しにくい学習者のために、確認しやすい仕組みが必要だ」という点です。
読解で正解を選ぶときは、次の流れを意識しましょう。
- 筆者は何を問題だと言っているのか
- その理由は何か
- 最後に何を言いたいのか
特にN2レベルになると、本文の一部だけ合っている選択肢が増えます。
一部は合っている。
でも、本文全体の結論とは違う。
このタイプの選択肢に引っかからないためには、理由と結論をセットで読むことが大切です。
「本文にある言葉」だけで選ばない
読解問題でよくある失敗は、「本文に同じ言葉があったから」という理由で選んでしまうことです。
しかし、同じ言葉がある選択肢が、必ず正解とは限りません。
むしろ試験では、本文の言葉をそのまま使って、少し意味をずらした選択肢が作られることがあります。
たとえば、本文に「環境への関心が高まっている」とあったとしても、選択肢に「環境問題はすでに解決された」とあれば、それは違います。
同じ「環境」という言葉があっても、意味の方向が違います。
読解では、言葉の一致よりも、内容の一致を見なければなりません。
言い換えに強くなるための練習法
では、どうすれば言い換えに強くなれるのでしょうか。
おすすめは、問題を解いたあとに、正解の選択肢と本文を比べることです。
ただ丸つけをして終わるのではなく、次のように確認します。
- 本文のどの部分が、正解の選択肢に対応しているか
- どの言葉が、どの言葉に言い換えられているか
- 選択肢で意味が強くなりすぎていないか
- 主語や範囲が変わっていないか
- 理由と結論の関係が本文と同じか
この確認を続けると、少しずつ「正解らしい文」と「ひっかけの文」の違いが見えるようになります。
最初は時間がかかっても大丈夫です。
読解力は、たくさん読めば自然に伸びる部分もあります。しかし、正答率を上げるには、「なぜその選択肢が正解なのか」「なぜ他の選択肢は違うのか」を確認する練習が必要です。
読解で迷ったときのチェックポイント
選択肢で迷ったときは、次の三つを思い出してください。
1. 主語と範囲は本文と同じか
誰の話なのか。
どの範囲の話なのか。
一部の話が、全体の話に変わっていないか。
ここを見るだけで、かなり多くの間違いを防げます。
2. 表現が強くなりすぎていないか
本文は「場合がある」と言っているのに、選択肢が「必ず」と言っていないか。
本文は「多い」と言っているだけなのに、選択肢が「すべて」と言っていないか。
強い言葉には注意が必要です。
3. 理由と結論のつながりは同じか
本文の一部だけではなく、筆者が最終的に何を言いたいのかを見ましょう。
選択肢が本文の一部分に合っていても、結論がずれていれば正解ではありません。
RJTで「言い換えに強い読解力」を育てる
読解で迷う人に必要なのは、ただ長い文章を読むことだけではありません。
大切なのは、本文と選択肢の関係を見抜く練習です。
RJT(Rapid Japanese Training)では、JLPT学習者がつまずきやすい文法・語彙・読解のポイントを、問題演習を通して確認できます。問題を解きながら、解説を読み、分からない語句をその場で確認し、学習ログを見ながら弱点を整理できます。
読解でいつも最後の二択に迷う人。
意味は分かるのに、なぜか正解を選べない人。
言い換え問題に強くなりたい人。
そういう学習者にとって、RJTは「なんとなく読む」から「根拠を持って選ぶ」学習へ進むための助けになります。
まとめ
JLPTの読解で迷う人は、本文の意味がまったく分かっていないわけではありません。
多くの場合、本文と選択肢の「言い換え」を見抜くところで迷っています。
正解の文を見抜くために大切なのは、次の三つです。
- 主語と範囲が本文と同じかを見る
- 表現の強さが変わっていないかを見る
- 理由と結論の関係が同じかを見る
この三つを意識するだけで、選択肢の見え方は大きく変わります。
読解は、才能だけで決まるものではありません。見方を知り、練習を続ければ、少しずつ正解を選ぶ力は育ちます。
本文を読んだあと、選択肢で迷ってしまう人は、今日から「同じ言葉」ではなく「同じ意味」を探してみてください。
JLPT読解を、根拠を持って解ける力に変えていきたい方は、RJTで実際の問題演習を始めてみてください。