「努力」と「苦労」の違いは?がんばることと大変な経験

2026年07月17日(金) 06時34分59秒

更新: 2026年07月17日(金) 06時34分59秒

「努力」と「苦労」の違いは?がんばることと大変な経験

導入

「日本語を勉強するために努力しています」と「日本語の勉強で苦労しています」は、どちらも大変そうな状況を表しています。

しかし、この二つの文は同じ意味ではありません。

「努力」は、自分から目標に向かってがんばることです。一方、「苦労」は、難しいことや大変なことを経験することです。

この違いを理解すると、日常会話だけでなく、JLPTの語彙問題や読解問題でも正しい言葉を選びやすくなります。

まず結論

「努力」は、目標を達成するために、自分からがんばる行動を表す言葉です。

「苦労」は、困難な状況の中で、大変な思いをする経験を表す言葉です。

簡単に整理すると、次のようになります。

  • 努力:目標に向かってがんばること
  • 苦労:困難によって大変な思いをすること

「努力」は行動に注目し、「苦労」は経験した大変さに注目する言葉です。

意味の違いを整理

「努力」の意味

「努力」とは、目標を実現するために、力を尽くして取り組むことです。

本人が「できるようになりたい」「成功したい」と考え、自分から行動を続けるイメージがあります。

例えば、毎日単語を覚えたり、何度も練習したりすることは「努力」です。

「努力」には、前向きで積極的な印象があります。まだ結果が出ていなくても、目標に向かってがんばっていれば「努力している」と言えます。

よく使われる表現には、次のようなものがあります。

  • 努力する
  • 努力を続ける
  • 努力を重ねる
  • 努力が実る
  • 努力が報われる
  • 努力が必要だ

「苦労」の意味

「苦労」とは、難しい問題や厳しい状況によって、大変な思いをすることです。

自分から進んで行うというよりも、生活や仕事、人間関係などの問題によって、苦しい経験をするイメージがあります。

例えば、外国で生活を始めたとき、言葉が通じず、買い物や手続きがうまくできないことがあります。このような大変な経験は「苦労」です。

「苦労」は否定的な意味を持つことが多いですが、過去の大変な経験を振り返るときには、成長や成功につながった経験として使われることもあります。

よく使われる表現には、次のようなものがあります。

  • 苦労する
  • 苦労を重ねる
  • 苦労が多い
  • 苦労が絶えない
  • 苦労を乗り越える
  • 人に苦労をかける
  • 苦労の末に成功する

使う場面の違い

目標に向かう行動には「努力」

試験の合格、仕事の成功、技術の上達など、目標を達成するための行動について話すときは「努力」を使います。

例えば、JLPTに合格するために、毎日問題を解いている場合は「努力しています」と言えます。

  • 日本語が上手になるために努力しています。
  • 売り上げを増やすために、会社全体で努力しています。
  • 目標を達成するには、毎日の努力が必要です。

これらの文では、目標に向かって積極的に行動していることが重要です。

大変な経験には「苦労」

生活上の問題、慣れない環境、経済的な困難などによって、大変な思いをしたことを表すときは「苦労」を使います。

  • 外国で仕事を見つけるのに苦労しました。
  • 子どものころ、家が貧しくて苦労しました。
  • 新しいシステムの使い方を覚えるのに苦労しています。

これらの文では、本人が積極的にがんばったことよりも、問題が難しくて大変だったことに注目しています。

ビジネスでは「努力」がよく使われる

ビジネスでは、会社や組織が目標を達成するために行動する場面で「努力」がよく使われます。

  • 品質の改善に努力します。
  • お客様に満足していただけるよう、努力してまいります。
  • 問題の解決に向けて、最大限の努力をします。

「苦労」は、個人の経験や過去の困難について話すときに使われることが多く、会社の正式な方針を表す言葉としてはあまり使われません。

例文で確認

「努力」の例文

例文1

日本語が話せるようになるために、毎日会話の練習をしています。

これは、日本語を話すという目標に向かって、継続的に努力している状況です。

例文2

彼は長年の努力によって、ついに自分の会社を設立しました。

成功するまで、長い間がんばり続けたことを表しています。

例文3

一生懸命努力しましたが、今回は試験に合格できませんでした。

「努力」は、必ず成功することを意味するわけではありません。結果が出なくても、目標に向かって力を尽くせば「努力した」と言えます。

例文4

彼女の努力が実り、大会で優勝することができました。

「努力が実る」は、続けてきた行動が良い結果につながるという意味です。

「苦労」の例文

例文1

日本に来たばかりのころは、漢字が読めなくて苦労しました。

漢字が読めないため、生活の中で大変な経験をしたことを表しています。

例文2

この資料を集めるのに、とても苦労しました。

資料が見つからなかったり、集めるのに時間がかかったりして、大変だったという意味です。

例文3

両親は苦労しながら、三人の子どもを育てました。

経済的な問題や生活上の困難がある中で、子どもを育てたことを表しています。

例文4

何度も失敗しましたが、苦労の末に新しい商品を完成させました。

「苦労の末に」は、多くの困難を経験したあとで、ようやく結果を出したという意味です。

「努力」と「苦労」の両方を使う場合

一つの出来事について、「努力」と「苦労」の両方を使うこともできます。

例えば、外国で働きながら資格を取った人について、次のように言えます。

彼は慣れない外国生活で多くの苦労をしましたが、努力を続け、資格試験に合格しました。

「苦労」は、外国生活で経験した大変さを表しています。

「努力」は、資格試験の合格に向かって続けた行動を表しています。

つまり、同じ期間の出来事でも、何に注目するかによって使う言葉が変わります。

間違いやすいポイント

「苦労」を「がんばる」という意味だけで使わない

次の文を見てください。

JLPTに合格するために、毎日苦労しています。

文法的に完全な間違いではありませんが、この文では「毎日の勉強が難しくて困っている」という意味に聞こえます。

目標に向かってがんばっていることを伝えたい場合は、次のように言うほうが自然です。

JLPTに合格するために、毎日努力しています。

「苦労しています」と言うと、大変さや困難が中心になります。「努力しています」と言うと、前向きに取り組んでいることが中心になります。

「努力をかける」とは言わない

次の表現は不自然です。

両親に努力をかけました。

人に大変な思いをさせたという意味では、「苦労をかける」を使います。

両親に苦労をかけました。

「苦労をかける」は、ほかの人に心配や負担を与えるという意味の決まった表現です。

「苦労が実る」とは通常言わない

「実る」や「報われる」と一緒に使われやすいのは「努力」です。

  • 努力が実る
  • 努力が報われる

「苦労」の成果を表したい場合は、次のように言います。

  • 苦労の末に成功する
  • 苦労が報われる
  • 苦労したかいがある

「苦労が報われる」は使えますが、「苦労が実る」は一般的ではありません。

「努力」だけでは大変な経験を表せない

次の文では、「努力」よりも「苦労」が自然です。

子どものころ、家が貧しくて努力しました。

この文では、何を目標に努力したのかが分かりません。貧しい生活による大変な経験を表すなら、次のように言います。

子どものころ、家が貧しくて苦労しました。

JLPTでの見分け方

JLPTの語彙問題で「努力」と「苦労」のどちらを選ぶか迷ったときは、行動と経験のどちらに注目しているかを確認しましょう。

目標や成果が書かれていたら「努力」

次のような言葉がある場合は、「努力」が選ばれやすくなります。

  • 目標
  • 合格
  • 成功
  • 上達
  • 改善
  • 練習
  • 続ける
  • 実る
  • 報われる

例:

夢を実現するために、長い間__を続けてきた。

ここでは、夢という目標に向かってがんばり続けているため、「努力」が入ります。

夢を実現するために、長い間努力を続けてきた。

困難や大変さが書かれていたら「苦労」

次のような内容がある場合は、「苦労」が選ばれやすくなります。

  • 慣れない環境
  • 貧しい生活
  • 難しい問題
  • 言葉が通じない
  • なかなか見つからない
  • 大変な経験
  • 乗り越える
  • 末に
  • 人に負担をかける

例:

留学したばかりのころは、言葉が通じず、買い物にも__した。

ここでは、言葉が通じないために大変な思いをしたので、「苦労」が入ります。

留学したばかりのころは、言葉が通じず、買い物にも苦労した。

「する」の前後だけで判断しない

「努力する」と「苦労する」は、どちらもよく使われる表現です。

そのため、「する」があるだけでは判断できません。文全体を読み、次のどちらを表しているかを考えましょう。

  • 目標に向かって自分から行動している
  • 困難によって大変な思いをしている

選択肢で迷ったときは、「がんばる」に置き換えられるなら「努力」、「大変な思いをする」に置き換えられるなら「苦労」と考えると判断しやすくなります。

まとめ

「努力」と「苦労」は、どちらも簡単ではない状況に関係しますが、注目する部分が違います。

  • 努力は、目標に向かって自分からがんばる行動
  • 苦労は、困難な状況で大変な思いをする経験

「合格するために努力する」と言えば、目標に向かう前向きな行動を表します。

「勉強方法が分からなくて苦労する」と言えば、問題によって大変な思いをしていることを表します。

JLPTでは、単語の意味を覚えるだけでなく、どの言葉と一緒に使われるか、文の中で何に注目しているかを確認することが大切です。

RJT(Rapid Japanese Training)では、JLPT形式の問題を解きながら、似ている単語や文法表現の違いを実践的に学べます。

「意味は分かるのに、選択肢で迷ってしまう」という人は、毎日の練習で判断する力を身につけていきましょう。

https://rapid-jt.com/


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