導入
「あとで連絡します」と「あとで通知します」は、どちらも何かを伝える表現です。
しかし、日常会話で友達に「明日の予定を通知するね」と言うと、少しかたく、不自然に聞こえます。一方、会社や学校から正式な知らせが届いた場合は、「学校から連絡が来た」よりも「学校から通知が来た」のほうが自然になることがあります。
「連絡」と「通知」は、辞書ではどちらも「情報を伝えること」に関係する言葉です。ただし、伝える相手、伝え方、正式さ、送り手と受け手の関係によって、自然な言葉が変わります。
似た言葉を正しく使うためには、意味だけを暗記するのではなく、「誰が、誰に、どのような方法で伝えるのか」という場面と一緒に覚えることが大切です。
まず場面で考えてみよう
あなたはアルバイトをしています。
ある日、店長があなたにこう言いました。
明日の出勤時間が変わったので、あとで連絡します。
この場合は、「連絡」が自然です。
店長が、特定のスタッフに必要な情報を伝えようとしているからです。電話、メール、メッセージなど、どの方法を使うかは分かりませんが、人から人へ直接伝えるイメージがあります。
では、会社から次のような文書が届いた場合はどうでしょうか。
給与制度の変更について、全社員に通知します。
この場合は、「通知」が自然です。
会社が決定した内容を、多くの社員に正式に知らせているからです。「通知」には、組織や制度に関する情報を、一方向に正式に伝えるイメージがあります。
簡単に言うと、「連絡」は人と人との情報のやり取りに使いやすく、「通知」は組織やシステムからの正式な知らせに使いやすい言葉です。
場面1:日常会話で使うなら
日常会話では、「連絡」のほうがよく使われます。
友達、家族、同僚などに、予定、状況、変更、到着時間などを伝えるときに自然です。
会話例
A:駅に着いたら、連絡してね。
B:分かった。着いたらメッセージを送るよ。
この会話では、「連絡する」が自然です。
「駅に着いた」という情報を、特定の相手に伝えるからです。また、電話、メール、メッセージなど、伝える方法を限定しない便利な表現でもあります。
次のような会話でも「連絡」を使います。
A:明日の集合時間は決まった?
B:まだだよ。決まったらみんなに連絡するね。
ここでも、話し手が知っている人たちに情報を伝えるため、「連絡」が自然です。
一方、次の表現は日常会話では少しかたく聞こえます。
駅に着いたら通知してね。
スマートフォンの機能やシステムの動作について話している場合を除けば、人に対して「通知してね」と頼むことはあまりありません。
日常的な人間関係の中では、「通知」よりも「連絡」のほうがやわらかく、親しみのある表現です。
場面2:文章やニュースで使うなら
文章、ニュース、会社の文書、学校からのお知らせでは、「通知」がよく使われます。
「通知」には、決定した内容や重要な情報を、正式な形で知らせるというニュアンスがあります。
例えば、次のような文章です。
試験の結果は、来月上旬に受験者へ通知されます。
この文では、「通知」が自然です。
試験を実施した組織が、受験者に対して正式に結果を知らせるからです。個人的な会話というより、制度に基づいた一方向の知らせです。
ニュースや説明文でも、次のように使われます。
市は対象となる住民に、給付金の申請方法を文書で通知した。
この場合も、市が住民に対して公的な情報を正式に伝えているため、「通知」が適しています。
ただし、文章では常に「通知」を使うわけではありません。
事故のため電車が遅れていることを、会社に連絡した。
この文では、話し手が自分の状況を会社に伝えているため、「連絡」が自然です。
JLPTの読解問題で「通知」が出てきた場合は、会社、学校、役所、団体、システムなどからの正式な知らせである可能性を考えましょう。
「連絡」が出てきた場合は、特定の人や関係者の間で必要な情報を伝えている場面を想像すると、文の内容を理解しやすくなります。
場面3:感情や評価が入るなら
「連絡」と「通知」は、どちらも基本的には情報を伝える言葉です。しかし、人の気持ちや相手への配慮が感じられやすいのは「連絡」です。
例えば、次の文を見てみましょう。
心配していると思ったので、無事に着いたことを家族に連絡した。
この文には、「家族を安心させたい」という話し手の気持ちが感じられます。
「連絡」は、人と人との関係の中で使われることが多いため、相手を心配する気持ちや、相手への配慮が含まれる場合があります。
一方、「通知」は、送り手の感情よりも、情報の内容や手続きが重視されます。
審査の結果、不採用であることが本人に通知された。
この文では、誰かが個人的な気持ちを込めて伝えたというより、決定した結果が正式に知らされたという客観的な印象があります。
また、「通知」はスマートフォンやパソコンの機能にも使われます。
新しいメッセージが届くと、画面に通知が表示されます。
この場合、情報を伝えるのは人ではなくシステムです。そのため、「連絡」ではなく「通知」が自然です。
「連絡」は人間的で双方向のやり取りにつながりやすく、「通知」は客観的で一方向の知らせになりやすいと考えると分かりやすいでしょう。
2つの語の違いを整理
「連絡」と「通知」の違いを、場面ごとに整理してみましょう。
- 「連絡」は、特定の人や関係者に必要な情報を伝えるときに使います。
- 「連絡」は、電話、メール、メッセージ、会話など、さまざまな方法で行えます。
- 「連絡」は、日常会話や仕事上のやり取りでよく使われます。
- 「連絡」には、相手への配慮や人間関係が感じられることがあります。
- 「通知」は、決定事項や重要な情報を正式に知らせるときに使います。
- 「通知」は、会社、学校、役所、団体などからの知らせによく使われます。
- 「通知」は、基本的に送り手から受け手への一方向の伝達です。
- 「通知」は、スマートフォンやパソコンのシステムが情報を知らせる場合にも使われます。
迷ったときは、「相手と情報をやり取りするのか」「決まった内容を正式に知らせるのか」を考えてみましょう。
人と人との情報のやり取りなら「連絡」、組織やシステムからの正式な知らせなら「通知」が自然です。
例文で確認
例文1
遅れることが分かったら、すぐに先生に連絡してください。
遅れる人が先生に状況を伝える場面です。特定の相手に必要な情報を伝えるため、「連絡」が自然です。
例文2
ホテルに到着したら、家族に連絡するつもりです。
旅行中の人が、自分の状況を家族に伝える場面です。相手を安心させる気持ちも感じられるため、「連絡」が適しています。
例文3
会議の時間が変更されたので、参加者全員に連絡しました。
関係者に予定の変更を伝える場面です。仕事上の内容ですが、参加者との具体的なやり取りなので「連絡」が自然です。
例文4
合格者には、メールで試験結果を通知します。
試験を実施した組織が、正式な結果を受験者に知らせる場面です。そのため、「通知」が適しています。
例文5
契約の終了について、会社から書面で通知が届きました。
会社が契約に関する正式な決定を文書で知らせています。「通知」には、かたく公式な印象があります。
例文6
アプリから新しいキャンペーンの通知が届きました。
スマートフォンのシステムが情報を表示する場面です。この場合は「通知」が自然です。
例文7
緊急の場合は、こちらの電話番号までご連絡ください。
会社や店などが、相手からの電話や問い合わせを求める表現です。「ご連絡ください」は、ビジネスでもよく使われる丁寧な表現です。
例文8
制度の変更は、対象者に事前に通知される予定です。
組織が決定した内容を、対象者に正式に知らせる場面です。説明文やニュース、JLPTの読解文でも見かけやすい使い方です。
JLPT読解での見方
JLPTの読解問題では、「連絡」と「通知」を辞書の意味だけで判断しないことが大切です。
まず、情報を伝えているのが誰なのかを確認しましょう。
友達、家族、同僚など、特定の人同士が予定や状況を伝えている場合は、「連絡」である可能性が高くなります。
一方、会社、学校、役所、試験機関、システムなどが、決定事項や結果を知らせている場合は、「通知」が使われやすくなります。
次に、情報が一方向か、やり取りを前提としているかを確認してください。
「連絡」は、相手が返事をしたり、質問したりする可能性があります。そのため、その後のコミュニケーションにつながりやすい言葉です。
「通知」は、決まった内容を知らせること自体が目的です。受け手の返事が必要ではない場合も多く、一方向の伝達になりやすい言葉です。
また、前後に次のような言葉があるかも確認しましょう。
- 「電話する」「相談する」「返事をする」があれば、「連絡」の可能性が高い
- 「正式に」「書面で」「対象者に」「結果を知らせる」があれば、「通知」の可能性が高い
- 「画面に表示される」「設定する」「音が鳴る」があれば、システムの「通知」の可能性が高い
JLPTでは、単語一つだけを見るのではなく、誰が、誰に、何を、どのような目的で伝えているのかを前後の文脈から読み取ることが重要です。
まとめ
「連絡」と「通知」は、どちらも情報を伝えることに関係していますが、使われる場面が異なります。
- 人と人との間で、予定や状況などを伝えるなら「連絡」
- 会社、学校、役所などが、決定事項を正式に知らせるなら「通知」
- 日常会話で使いやすく、相手とのやり取りを感じさせるのは「連絡」
- 文章やニュースで使いやすく、客観的で一方向の印象が強いのは「通知」
- スマートフォンやパソコンが情報を表示する場合は「通知」
「人に必要なことを伝える」と考えるなら「連絡」、「決まった内容を正式に知らせる」と考えるなら「通知」と覚えると、使い分けやすくなります。
日本語の類義語を自然に使うためには、意味を覚えるだけでは十分ではありません。実際の会話や読解問題の中で、「この場面では、なぜこの言葉が選ばれているのか」を考える練習が必要です。
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