「直す」と「治す」の違いは?物・間違いと病気・けが

2026年08月07日(金) 09時37分53秒

更新: 2026年07月22日(水) 12時08分56秒

「直す」と「治す」の違いは?物・間違いと病気・けが

導入

「パソコンをなおす」と「病気をなおす」。

会話で聞くと、どちらも同じ「なおす」です。しかし、文章にすると、前者は「直す」、後者は「治す」と書くのが一般的です。

この二つは、どちらも「悪い状態をよい状態にする」という意味を持っています。そのため、意味だけを覚えていると、漢字を選ぶときに迷ってしまいます。

大切なのは、「何をよい状態にするのか」という場面を考えることです。

  • 物や間違いを正常な状態に戻すなら「直す」
  • 病気やけがを健康な状態にするなら「治す」

この基本を、日常会話や学校、仕事、読解問題などの具体的な場面から確認していきましょう。

まず場面で考えてみよう

朝、学校へ行こうとしたら、自転車のブレーキが壊れていました。また、弟は風邪をひいて寝ています。

このとき、次のように言います。

父が自転車を直しています。

弟は家で風邪を治しています。

自転車は「壊れた物」なので、「直す」を使います。

一方、風邪は「病気」なので、「治す」を使います。

どちらも悪い状態をよくすることですが、対象が異なります。

「直す」は、物、文章、間違い、姿勢、習慣など、広い対象に使えます。「治す」は、主に病気、けが、虫歯など、体や健康に関係するものに使います。

場面1:日常会話で使うなら

日常会話では、「直す」も「治す」もよく使います。ただし、「直す」のほうが使える場面は広いです。

物が壊れた場面

A:この時計、動かなくなったんだ。
B:駅前の店で直してもらったら?

時計、スマートフォン、自転車、機械などが壊れた場合は、「直す」を使います。

「修理する」と言うこともできますが、「直す」のほうが日常会話ではやわらかく、使いやすい表現です。

病気になった場面

A:まだ風邪が治っていないの?
B:うん。週末はゆっくり休んで治すよ。

風邪や病気をよくする場合は、「治す」を使います。

ただし、自分の意思とは関係なく自然に回復することを表す場合は、「治る」を使います。

薬を飲んで風邪を治す。

風邪が治るまで家で休む。

「治す」は他動詞で、「治る」は自動詞です。この違いもJLPTではよく問われます。

間違いに気づいた場面

A:この漢字、間違っているよ。
B:本当だ。すぐに直すね。

漢字、文章、答え、計算などの間違いを正しくする場合は、「直す」を使います。

間違いは病気ではないので、「治す」は使いません。

場面2:文章やニュースで使うなら

会話では「なおす」と聞こえるため、漢字の違いは分かりません。しかし、文章やニュースでは、「直す」と「治す」の違いがはっきり表れます。

学校や仕事の文章

学校や仕事では、次のような「直す」がよく使われます。

先生に言われた部分を直して、レポートを提出した。

書類の入力ミスを直してください。

故障した機械を直すため、専門の業者を呼んだ。

これらは、文章、間違い、機械を正しい状態や正常な状態に戻す場面です。

文章では、「修正する」「訂正する」「修理する」などの少しかたい言葉も使われます。

  • 文章や内容を直す
  • 間違いを訂正する
  • 書類を修正する
  • 機械を修理する

「直す」は、それらを広く表せる日常的な言葉です。

医療や健康についての文章

病気やけがについて説明する文章では、「治す」が使われます。

この病気を治すためには、早期の治療が必要です。

虫歯を治すには、歯科医院での治療が必要です。

けがを完全に治してから、練習を再開してください。

ニュースや医学的な文章では、「治療する」「回復させる」といった表現も使われます。

それでも、「病気を治す」「けがを治す」という組み合わせは、日常会話から説明文まで広く使われる自然な表現です。

読解問題で「治す」が出てきたら、前後に病気、けが、治療、医師、薬、健康などの言葉がないか確認すると、意味を理解しやすくなります。

場面3:感情や評価が入るなら

「直す」と「治す」は、物や病気だけでなく、癖や行動についても使われることがあります。

この場合は、話し手がその問題をどのように見ているかによって、ニュアンスが変わります。

行動を改善すると考える場合

遅刻する癖を直したほうがいいよ。

この「直す」は、よくない行動や習慣を改善するという意味です。

遅刻は病気ではなく、行動上の問題として考えられているため、「直す」が自然です。

話すときに下を向く癖を直したい。

この場合も、自分の行動や姿勢を変えたいという意味なので、「直す」が自然です。

深く身についた問題と考える場合

子どものころからの悪い癖を、本気で治したい。

癖に対して「治す」を使うこともあります。

この場合、その癖を簡単には変えられない、深く身についた問題として捉えているニュアンスがあります。病気を治療するように、時間をかけて改善したいという気持ちが感じられます。

ただし、一般的な習慣や行動については、「癖を直す」のほうが広く使われます。

また、人の性格について「治す」を使うと、その性格を病気のように扱っている印象を与えることがあります。

あなたはその性格を治したほうがいい。

この言い方は、相手を強く批判しているように聞こえる可能性があります。

相手にやわらかく伝えたい場合は、次のような表現のほうが自然です。

その考え方は、少し変えたほうがいいかもしれないね。

その話し方を少し直したほうがいいと思うよ。

言葉の意味だけでなく、相手がどのように感じるかも考えることが大切です。

2つの語の違いを整理

「直す」と「治す」の違いは、何をよい状態にするかで考えると分かりやすくなります。

  • 「直す」は、物を正常な状態に戻すときに使います。
  • 「直す」は、文章、答え、間違い、姿勢、行動などを正しくするときにも使います。
  • 「治す」は、病気、けが、虫歯などを健康な状態にするときに使います。
  • 「直す」は対象が広く、日常会話でも非常によく使われます。
  • 「治す」は、主に体や健康に関係する場面で使われます。
  • 癖にはどちらも使われることがありますが、「直す」は行動の改善、「治す」は深く身についた問題の克服という印象を与えることがあります。

迷ったときは、次のように考えてください。

壊れた物や間違いなら「直す」

病気やけがなら「治す」

例文で確認

1.壊れたパソコンを直してもらいました。

故障した物を正常な状態に戻す場面です。パソコン、時計、車、自転車などには「直す」を使います。

2.作文の間違いを赤いペンで直しました。

文章や答えの間違いを正しくする場面です。学校の作文、試験の答え、仕事の書類などに使えます。

3.先生に言われて、座る姿勢を直しました。

体の姿勢を正しい状態に変える場面です。病気の治療ではないため、「直す」が自然です。

4.発音を直すために、何度も練習しました。

間違った発音や不自然な話し方を改善する場面です。日本語学習でもよく使われる表現です。

5.薬を飲んで、早く風邪を治したいです。

風邪という病気をよくする場面なので、「治す」を使います。

6.試合までに足のけがを治さなければなりません。

けがを回復させる場面です。スポーツや日常生活でよく使われます。

7.来週、歯医者で虫歯を治してもらいます。

虫歯は体の健康に関係する問題なので、「治す」が自然です。

8.夜更かしする癖を直したいと思っています。

生活上の習慣や行動を改善する場面です。「直す」を使うと、行動を正しく変えるという印象になります。

9.長年の悪い癖を治すのは簡単ではありません。

その癖を深く身についた問題として捉えている表現です。「治す」を使うことで、時間をかけて克服するという印象が強くなります。

10.体調を治すために休みます。

意味は伝わりますが、この言い方はあまり自然ではありません。

体調は、一般的に「整える」「回復させる」と表現します。

体調を整えるために、今日は早く寝ます。

体調が回復するまで、しばらく休みます。

「健康に関係する言葉には、すべて『治す』を使える」と考えないように注意しましょう。

JLPT読解での見方

JLPTの読解問題で「直す」や「治す」が出てきたときは、その言葉だけを見るのではなく、何を対象にしているかを確認してください。

「直す」の近くには、次のような言葉が出やすいです。

  • 機械
  • 故障
  • 文章
  • 間違い
  • 答え
  • 姿勢
  • 習慣
  • 態度

「治す」の近くには、次のような言葉が出やすいです。

  • 病気
  • 風邪
  • けが
  • 虫歯
  • 医師
  • 治療

ただし、「癖を治す」のように、病気ではないものに「治す」が使われることもあります。

その場合は、筆者がその癖をどのように評価しているかを考えましょう。

単なる行動の修正として書かれているなら「直す」に近い意味です。簡単には変えられない深刻な問題として書かれているなら、「治す」によって強い問題意識が表されている可能性があります。

また、「体の状態だから治すだろう」とすぐに決めないことも大切です。

例えば、姿勢は体に関係しますが、「姿勢を直す」と言います。一方、けがは「けがを治す」と言います。

漢字だけで判断するのではなく、対象となる名詞と前後の文脈を一緒に確認することが、読解問題で正しく意味をつかむポイントです。

まとめ

「直す」と「治す」は、どちらも悪い状態をよい状態にすることを表しますが、使う対象が異なります。

  • 物の故障、文章、間違い、姿勢、行動には「直す」
  • 病気、けが、虫歯には「治す」
  • 会話ではどちらも「なおす」と発音する
  • 文章では、対象に合わせて漢字を選ぶ
  • 癖の場合は、改善なら「直す」、深い問題の克服なら「治す」が使われることもある

単語の意味だけを覚えるのではなく、「誰が、何を、どのような状態にするのか」という場面と一緒に覚えると、自然な使い分けができるようになります。

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