JLPT N2の読解では、単語そのものは難しくないのに、文章全体の意味がつかみにくいことがあります。
特に注意したいのが、
- 課題
- 問題
- 原因
のような、説明文や評論文でよく使われる抽象的な言葉です。
「課題も問題も、何か困っていることでは?」
「原因は分かるけれど、問題や課題との関係がよく分からない」
そんなふうに感じる学習者も多いでしょう。
しかし、この3語は同じものを表しているわけではありません。
結論から言えば、次のように考えると分かりやすくなります。
原因 → 問題が起こる理由
問題 → 現在起きている困った状態
課題 → これから解決・改善するべきこと
この違いが分かると、N2読解で文章の流れをかなり追いやすくなります。
ここでは、それぞれの意味と使い方を具体的に見ていきましょう。
「問題」=困った状態・望ましくない状態
まず、「問題」です。
「問題」にはいくつか意味がありますが、N2の説明文や評論文では、
「現在存在していて、解決する必要がある好ましくない状態」
という意味で使われることがよくあります。
例えば、
この地域では、若者の人口が減少していることが問題になっている。
この文では、
「若者の人口が減っている」
という現在の状況を「問題」と呼んでいます。
ほかにも、
長時間労働は日本社会の大きな問題の一つである。
インターネット上で誤った情報が広がることが問題となっている。
などがあります。
重要なのは、「問題」は基本的に現在存在するマイナスの状態を指すということです。
「問題」を見たら考えること
読解で「問題」が出てきたら、
今、何が困った状態になっているのか?
と考えてみましょう。
文章の中心となるテーマが見つかりやすくなります。
「原因」=なぜその問題が起きたのか
次は「原因」です。
「原因」は、
「ある出来事や状態を引き起こした理由」
を表します。
例えば、
若者の人口が減少している原因の一つは、都市部への人口流出である。
ここでは、
問題:
若者の人口が減少している
原因:
若者が都市部へ移動している
という関係になっています。
つまり、
原因 → 結果
という因果関係があります。
別の例を見てみましょう。
睡眠不足が集中力低下の原因になることがある。
この場合は、
原因:
睡眠不足
結果:
集中力の低下
です。
N2読解では「原因」が直接書かれないこともある
N2では、必ずしも「原因」という言葉が使われるとは限りません。
例えば、
高齢化が進んだため、地域の公共交通を利用する人が減少した。
この「ため」は原因を示しています。
したがって、
原因:
高齢化が進んだ
結果:
公共交通の利用者が減少した
という構造です。
「原因」という単語だけを見るのではなく、
- ため
- ので
- から
- によって
- 背景には
- 理由として
などの表現にも注目すると、文章の論理が読みやすくなります。
「課題」=これから取り組むべきこと
最も間違えやすいのが「課題」です。
「課題」は単なる「悪い状態」ではありません。
「今後、解決したり改善したりする必要があるテーマ」
という意味で使われます。
例えば、
地方では人口減少が問題となっており、若者が働ける場所を増やすことが今後の課題である。
この文章では、
問題:
人口が減少している
課題:
若者が働ける場所を増やす
となっています。
つまり、「問題」は現状を示し、「課題」は今後どうするかを示しています。
「課題」は未来を向いている
「課題」という言葉が出てきたら、
これから何をする必要があるのか?
と考えてください。
これだけでも「問題」とかなり区別しやすくなります。
例えば、
高齢者が安心して利用できる交通手段を整備することが課題だ。
これは、
「交通手段が不足している」
という問題そのものではなく、
「交通手段を整備する」
という今後必要な取り組みを表しています。
「原因・問題・課題」は一つの流れで考える
この3語は、別々に暗記するよりも、一つの流れとして理解すると覚えやすくなります。
例えば、ある町について次のような文章があったとします。
この町では、若者が都市部へ移住する傾向が続いている。その結果、地域の人口減少が進んでいる。今後は、若い世代が地域で働ける環境を整える必要がある。
この文章を整理すると、
原因
若者が都市部へ移住する
↓
問題
地域の人口が減少する
↓
課題
若者が地域で働ける環境を整える
となります。
この、
原因 → 問題 → 課題
という流れは、N2の説明文・評論文で非常によく見られる構造です。
例文で違いを確認しよう
例1:環境問題
自動車の利用が増えたことが、大気汚染の原因の一つと考えられている。
原因:
自動車の利用増加
大気汚染は都市部の深刻な問題となっている。
問題:
大気汚染
公共交通機関の利用を増やすことが今後の課題である。
課題:
公共交通機関の利用促進
ここでも、
原因 → 問題 → 課題
の流れが見えます。
例2:会社
社員同士の情報共有が不足していることが、仕事のミスが増える原因になっている。
原因:
情報共有不足
最近、仕事上のミスが増えていることが問題となっている。
問題:
ミスの増加
部署間の情報共有を改善することが今後の課題だ。
課題:
情報共有の改善
文章の内容が変わっても、基本的な考え方は同じです。
「課題」と「問題」は交換できないことが多い
次の2文を比べてみましょう。
少子化は日本社会の大きな問題である。
これは自然です。
少子化という現在の社会状況を「問題」として捉えています。
では、
少子化は日本社会の大きな課題である。
これは間違いとは言えません。
実際、日本語ではこのような言い方も使われます。
ただし、「課題」と言うことで、
「少子化という状況に対して、社会が今後取り組まなければならない」
という意味合いが強くなります。
つまり、
「問題」は現状そのもの、
「課題」はその現状を解決するという視点を含みやすい、
という違いがあります。
N2読解では、この微妙な視点の違いが重要です。
選択肢で迷ったら「時間の向き」を見る
「問題」と「課題」で迷ったときには、文章がどちらを向いているか考えてみてください。
現在の状態を説明している
→ 問題
人手不足が深刻な問題になっている。
今後必要な行動を説明している
→ 課題
人材を確保することが今後の課題である。
「今どうなっているか」なのか、
「これからどうするか」なのか。
この違いを見るだけでも、判断しやすくなります。
N2読解では「単語」ではなく「関係」を読む
N2になると、単語を一つずつ日本語から母語へ訳すだけでは、正解しにくくなってきます。
重要なのは、
「この文は前の文とどんな関係なのか」
を読むことです。
例えば、
Aという問題がある。これはBが原因だと考えられている。そのため、今後はCすることが課題となる。
という文章があったら、
A:
問題
B:
原因
C:
課題
と整理できます。
文章が長くなっても、この骨組みが見えていれば、内容を見失いにくくなります。
読解問題で使える3つの質問
「課題・問題・原因」が出てきたら、頭の中で次の3つを確認してみてください。
- 何が起きている? → 問題
- なぜ起きている? → 原因
- これからどうする? → 課題
この3つを意識するだけで、長い文章でも情報を整理しやすくなります。
特にN2では、「筆者が最も言いたいこと」を問う問題で、最後の「課題」に当たる部分が重要になることがあります。
文章の前半で問題や原因を説明し、後半で「では、どうすべきか」という筆者の主張を述べる構成が多いからです。
まとめ|「原因 → 問題 → 課題」で文章を読む
最後に整理しましょう。
原因
なぜ起きたのか
問題
今、何が困った状態なのか
課題
これから何を改善・解決する必要があるのか
N2読解で大切なのは、この3語の辞書的な意味を覚えるだけではありません。
文章の中で、
なぜ起きたのか
↓
何が問題なのか
↓
これからどうするのか
という流れを見つけることです。
この論理の流れが見えるようになると、「単語は全部分かるのに、選択肢になると迷う」という状態から少しずつ抜け出せます。
そして、この力を身につけるには、説明を読むだけでなく、実際の問題を繰り返し解きながら判断する練習が欠かせません。
RJT(Rapid Japanese Training)では、JLPT対策問題をテンポよく解きながら、日本語を実際に判断する力を鍛えることができます。
「分かったつもり」で終わらせず、「問題を見た瞬間に判断できる力」に変えていきましょう。