JLPTの読解で、文章そのものは読めているのに、最後の設問で間違えてしまうことはありませんか。
一文一文の意味は追えている。単語もそこまで難しくない。けれど、筆者が本当に言いたいことを取り違えてしまう。そういうとき、見落とされやすいのが「つまり」「要するに」「言い換えれば」のような言い換え表現です。
これらの表現は、ただのつなぎ言葉ではありません。むしろ、筆者が「ここが大事です」と自分で目印をつけているようなものです。ここを正しく理解できるかどうかで、読解の正答率はかなり変わります。
特にJLPTでは、細かい部分を全部完璧に理解するよりも、文章の流れの中で「結局何が言いたいのか」をつかむ力が重要です。そのときに役立つのが、言い換え表現への意識です。
今回は、読解でよく出る「つまり」「要するに」「言い換えれば」の違いと、それぞれをどう読めばいいのかを整理していきます。
まず知っておきたいこと
この3つは、どれも前に書かれた内容を別の形でまとめたり、言い直したりするときに使われます。だから、ざっくり見れば似ています。
でも、実際には少しずつ役割が違います。
「つまり」は、前の説明を受けて、結論やポイントをまとめるときに使われやすい表現です。
「要するに」は、細かい説明をいったんたたんで、「大事なのはこれだ」と核心を出すときに使われやすい表現です。
「言い換えれば」は、今までの言い方を、別の角度から言い直すときに使われます。結論というより、理解しやすくするための再表現に近いこともあります。
この違いが見えるようになると、読解の中で「ここはまとめなのか」「ここは核心なのか」「ここは別の表現で言い直しているだけなのか」が判断しやすくなります。
「つまり」の役割
「つまり」は、前に述べた内容を受けて、「結局こういうことだ」とまとめるときによく使われます。
文章の中では、説明が何行か続いたあとに出てきて、読者に方向を示す働きをします。筆者が散らばっていた情報を一度まとめて、意味をはっきりさせる感じです。
例文
彼は毎日遅くまで働き、休日もほとんど休んでいない。つまり、かなり無理をしている状態だ。
この場合、「つまり」の後ろは、前に書かれた複数の情報を一つにまとめた内容です。
読解での見方
「つまり」が出てきたら、その後ろには筆者のまとめが来る可能性が高いです。特に、前半に具体例や説明が多かった場合、「つまり」の後ろは設問の正解に近い内容になりやすいです。
ただし、いつでも最終結論とは限りません。段落の中の小さなまとめであることもあります。だから、「文章全体の結論」なのか、「その部分だけの整理」なのかを見分けることが大切です。
「つまり」の特徴
- 前の内容をまとめる
- 結論やポイント整理として使われやすい
- 読者に「ここが大事」と伝える働きがある
- 設問に関わる重要文になりやすい
「要するに」の役割
「要するに」は、「細かい説明はいろいろあったが、大事なのはこれだ」と言いたいときに使われます。
「つまり」と近いですが、「要するに」のほうが、より核心を絞り込む感じがあります。前にいろいろ書いてあっても、それを思い切って一つの軸にまとめる力が強い表現です。
例文
新しい制度には長所も短所もあるし、すぐにすべての問題が解決するわけでもない。要するに、運用のしかたが成功の鍵になる。
ここでは、前半にいくつかの要素が並んでいますが、「要するに」の後ろで筆者は一番言いたい点に絞っています。
読解での見方
「要するに」が出てきたら、その後ろはかなり重要です。筆者がいろいろな説明をしたあと、「結局ここだけは押さえてほしい」と言っていることが多いからです。
読解問題では、選択肢が前半の細かい説明に引っぱられていることがあります。しかし、「要するに」の後ろをちゃんと読めていれば、細部に振り回されずに中心をつかみやすくなります。
「要するに」の特徴
- 細かい説明を整理して核心を出す
- 「一番大事なのはこれだ」という感じが強い
- 文章の主張と強く結びつきやすい
- 正解の根拠になりやすい
「言い換えれば」の役割
「言い換えれば」は、前に述べた内容を別の表現で言い直すときに使います。
ここで大切なのは、「言い換えれば」の後ろが必ずしも結論とは限らないという点です。むしろ、同じ内容を別の角度から言って、理解しやすくするために使われることが多いです。
例文
失敗を恐れて何もしない人は、経験を積む機会を失っている。言い換えれば、何もしないこと自体が大きな損失になる。
ここでは、前の文と後ろの文は方向としてほぼ同じです。ただ、後ろのほうが少し伝わりやすい形に言い直されています。
読解での見方
「言い換えれば」が出てきたら、「新しい情報が来た」と考えるより、「同じ内容を別の言葉で言っている」と考えるほうが自然です。
そのため、選択肢を読むときにも、表現が違っていても中身が一致しているかを見る姿勢が大切になります。JLPTでは、この言い換えを見抜けるかどうかがそのまま正解につながることがよくあります。
「言い換えれば」の特徴
- 前の内容を別の表現で言い直す
- 理解を助ける働きが強い
- 必ずしも新しい結論ではない
- 言葉が変わっても意味が同じかを見る練習になる
3つの違いを感覚で整理する
細かく覚えようとしすぎると、かえって混乱することがあります。そんなときは、まず次の感覚を持っておくと便利です。
「つまり」は、前の内容のまとめ。
「要するに」は、その中でも特に核心。
「言い換えれば」は、表現を変えた言い直し。
この3つを頭に入れておくだけでも、読解中の見え方はかなり変わります。
例文で比べると違いがよくわかる
同じテーマでも、どの表現を使うかで文章の働きが変わります。
例
この町では若者が減っている。店の数も減り、学校の統廃合も進んでいる。つまり、地域全体の活気が弱くなっている。
この場合、「つまり」は前の情報をまとめています。
この町では若者が減っている。経済、教育、地域活動のすべてに影響が出ている。要するに、人口減少への対策が急務なのだ。
この場合、「要するに」は核心を取り出しています。
この町では若者が減っている。言い換えれば、このままでは地域の将来を支える人が足りなくなるということだ。
この場合、「言い換えれば」は同じ問題を別の表現で示しています。
どれも似ていますが、働きは同じではありません。この差が見えるようになると、文章の骨組みが見えやすくなります。
JLPTで正解につなげる読み方
読解では、こうした表現を見つけたときに、ただ意味を知っているだけでは足りません。実際にどう使うかが大事です。
1. 印をつけるような気持ちで読む
「つまり」「要するに」「言い換えれば」が出てきたら、心の中で印をつけてください。そこは筆者が自分で整理している場所です。
2. 前後をセットで見る
これらの表現は、後ろだけ読んでも不十分なことがあります。前に何が書かれていて、それをどうまとめたのか、どう言い直したのかを見ることで意味がはっきりします。
3. 選択肢の言い換えに強くなる
設問では、本文の表現がそのまま出るとは限りません。むしろ、少し形を変えて出ることのほうが多いです。だから、「言葉が違うから別内容」と早く決めつけないことが重要です。
4. 「まとめ」と「新情報」を区別する
特に「言い換えれば」は、新しい意見ではなく再表現であることが多いです。逆に「要するに」は、筆者の核心に近づくことが多いです。この差を意識すると、設問の選択肢に引っかかりにくくなります。
学習者がよくするミス
よくあるのは、「つまり」「要するに」「言い換えれば」を全部同じものとして処理してしまうことです。
たしかに、どれも文章をつなぐ表現ではあります。でも、全部を「まとめ」とだけ考えると、微妙な違いが見えなくなります。
もう一つ多いのは、「言い換えれば」の後ろを新しい主張だと思い込むことです。実際には、前と同じことを別の形で言っているだけなのに、それを新しい情報だと勘違いすると、本文全体の流れがずれて見えてしまいます。
また、「要するに」の後ろを軽く読み流してしまうのも危険です。筆者が苦労してそこまで説明してきた理由は、その一文に核心を置きたいからかもしれません。
読解が苦手な人ほど意識したいこと
読解が苦手な人ほど、一文ずつ意味を追うことに力を使いすぎて、文章の流れを見る余裕がなくなりがちです。
でも、JLPTでは「全部わかった人」が勝つわけではありません。「どこが重要かを見抜けた人」が強いのです。
「つまり」が見えたら、まとめに注目する。
「要するに」が見えたら、核心を疑う。
「言い換えれば」が見えたら、同じ内容の再表現だと意識する。
この読み方ができるだけで、文章の見え方はかなり変わります。
まとめ
「つまり」「要するに」「言い換えれば」は、どれも読解で重要な言い換え表現ですが、働きは少しずつ違います。
「つまり」は、前の内容をまとめる表現。
「要するに」は、その中でも特に核心を示す表現。
「言い換えれば」は、前の内容を別の表現で言い直す表現。
この違いがわかると、文章の中で「どこが整理のポイントなのか」「どこが筆者のいちばん言いたいことなのか」が見えやすくなります。
読解で大切なのは、全部の文を同じ重さで読むことではありません。重要な一文を見抜くことです。そして、そのヒントを自分から出してくれているのが、こうした言い換え表現です。
RJTでは、このような読解で見落としやすいポイントも、例文や解説を通して整理しながら学ぶことができます。