読解問題を解いていて、「文法は見たことがあるのに、結局どう読めばいいのか分からない」と感じることはありませんか。
その代表が、「わけだ」「ことになる」「ものだ」です。
どれも日常会話でも文章でもよく出ますが、読解では、意味を一対一で覚えるだけでは不十分です。大切なのは、その表現が文の中でどんな役割をしているかを見抜くことです。筆者が結論をまとめているのか。制度や条件の結果を述べているのか。一般論や回想として使っているのか。そこがつかめるだけで、本文の流れはぐっと読みやすくなります。
この記事では、読解で特に迷いやすいこの三つの表現を、読み方のコツとともに整理していきます。
「わけだ」は、理由を受けた納得や結論
「わけだ」は、それまでに述べられた内容を受けて、「だからそうなのか」「なるほど、そういうことか」とまとめるときに使われます。
たとえば、次のような文です。
彼は日本で十年以上働いていた。日本語が上手なわけだ。
この場合、ただ「日本語が上手だ」と言っているのではありません。前にある「日本で十年以上働いていた」という情報を受けて、「だから上手なのだ」と結論づけています。
読解で「わけだ」が出てきたら、その文だけを見るのではなく、少し前に戻ってみるのがポイントです。多くの場合、そこには根拠が置かれています。つまり、「わけだ」は前の情報を受けて成立する表現です。
言い換えれば、「わけだ」が見えたら、筆者は今、説明をまとめに入っている可能性が高いのです。
「ことになる」は、規則や事情の結果としてそうなる
「ことになる」は、自分の強い意志というより、規則、事情、話し合い、条件の積み重ねによって「そうなる」という流れを表します。
たとえば、
この規則では、申込期限を過ぎた人は再申請することになる。
この文では、話し手が命令しているわけではありません。ルール上、そのような扱いになることを説明しています。
読解では、「ことになる」が出たら、「何によってそうなるのか」「だれがそう決めたのか」を意識すると分かりやすくなります。制度、契約、会議の結論、社会の仕組みなどが背景にあることが多く、筆者個人の感情よりも、外から決まる流れに注目するのがコツです。
また、「ことになる」は少し距離を置いた表現でもあります。そのため、説明文、評論文、ニュース文体でもよく使われます。
「ものだ」は、一般論か回想かを文脈で読む
三つの中でも、いちばん手ごわいのが「ものだ」です。なぜなら、文脈によって意味の方向がかなり変わるからです。
たとえば、
春になると、川沿いには花が咲くものだ。
これは一般的な傾向や、「そういうものだ」という自然な認識を表しています。
一方で、
子どものころは、夏休みがずいぶん長く感じられたものだ。
こちらは昔を振り返る気持ちが出ています。懐かしさや、しみじみした感じがあります。
さらに、
人の話は最後まで聞くものだ。
となると、今度は教訓や常識に近い響きになります。
つまり「ものだ」は、一つの決まった意味で覚えるよりも、「一般論」「回想」「教訓」など、文脈の中で読み分ける必要がある表現です。前後に時間を示す語があるか、感情がにじんでいるか、普遍的な内容かどうかを見るだけでも、かなり判断しやすくなります。
三つの表現は、どこを見れば読み分けやすいか
ここまでを整理すると、読み分けの視点は次のようになります。
「わけだ」は、前の説明を受けての結論です。
「ことになる」は、規則や事情による帰結です。
「ものだ」は、一般論、回想、教訓など、話し手の認識や感慨を含む表現です。
似ているように見えても、視線の向きが違います。
「わけだ」は前を受けてまとめる表現です。
「ことになる」は外的条件から決まる結果を示す表現です。
「ものだ」は話し手の認識や気持ちがにじむ表現です。
この違いが見えるようになると、選択肢の中で似た言い換えが並んでいても、どれが筆者の意図に近いかを選びやすくなります。
読解では、日本語訳より「役割」を読む
読解が苦手なとき、つい「この表現は日本語でどういう意味か」だけを考えてしまいがちです。もちろん意味を知ることは大切です。ただ、実際の試験で差がつくのは、その表現が文章の中でどんな働きをしているかをつかめるかどうかです。
「わけだ」が出たら、根拠を探す。
「ことになる」が出たら、何のルールや事情かを見る。
「ものだ」が出たら、一般論なのか、回想なのか、教訓なのかを考える。
この読み方ができるようになると、本文の流れが整理しやすくなり、選択肢の不自然さにも気づきやすくなります。
曖昧表現こそ、問題の中で何度も出会うのが強い
こうした表現は、説明を一度読んだだけではなかなか定着しません。例文ごとに少しずつニュアンスが変わるからです。だからこそ、短い解説を読んで終わりにするのではなく、実際の問題の中で何度も出会うことが大切です。
読解で頻出の曖昧表現は、知識として覚えるだけでなく、文脈の中で見分ける練習を重ねることで初めて使える力になります。
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