日本語を勉強していると、「られる」は何度も出てきます。
でも、この形は本当にやっかいです。
「先生にほめられました」
「漢字が読まれます」
「昔のことが思い出されます」
「社長はもう帰られました」
見た目はどれも「られる」なのに、意味は全部同じではありません。
受け身なのか、可能なのか、自発なのか、それとも尊敬なのか。
ここが曖昧なままだと、読解でも会話でも、なんとなくの理解になってしまいます。
しかし、安心してください。
「られる」は、ただ丸暗記するよりも、意味ごとの特徴を分けて見るほうがずっとわかりやすい文法です。
この記事では、「られる」の4つの意味である受け身・可能・自発・尊敬を、一気に整理します。
混同しないための見分け方も、例文と一緒にわかりやすく紹介します。
まず結論 「られる」は4つに分けて考える
「られる」を見たら、まず次の4つのどれかを考えます。
- 受け身
- 可能
- 自発
- 尊敬
この4つをまとめて「なんとなく似た形」として覚えると、必ず混乱します。
大切なのは、次の3点を見ることです。
- 誰が主語なのか
- 文の中に相手や動作主がいるか
- その文が「できる」「自然に感じる」「相手を高める」のどれに近いか
形は同じでも、文の視点が違えば意味も変わります。
1. 受け身の「られる」
受け身は、「誰かから何かをされる」という意味です。
例文
- 私は先生にほめられました。
- 弟は母にしかられました。
- その絵は多くの人に愛されています。
この用法では、主語は「動作を受ける側」です。
行動するのは別の人で、その影響を受ける人や物が主語になります。
見分けるコツ
受け身の文では、よく「に」が出てきます。
- 先生にほめられる
- 母にしかられる
- 友だちに呼ばれる
この「に」は、動作をする相手を示すことが多いので、見分ける大きなヒントになります。
イメージ
受け身は、外から何かが来る感じです。
相手が何かする
→ 自分がそれを受ける
この流れが見えたら、まず受け身を考えてください。
2. 可能の「られる」
可能は、「できる」という意味です。
例文
- 私はピアノが弾かれます。
- この漢字はまだ読まれません。
- 忙しくても、日曜日なら来られます。
ここでは、「誰かに何かをされる」のではなく、自分にその能力や可能性があるかどうかが中心です。
見分けるコツ
可能の「られる」は、「できる」に言いかえられることが多いです。
- 来られます
- 食べられます
- 見られます
たとえば、
- 明日は来られます。
- 明日は来ることができます。
このように置き換えて自然なら、可能の意味である可能性が高いです。
注意したい点
可能の文では、対象が「を」ではなく「が」になることがあります。
- 漢字が読める
- 魚が食べられる
- 日本語が話せる
もちろん会話では揺れもありますが、「できるかどうか」が中心なら、まず可能を疑うと整理しやすくなります。
イメージ
可能は、能力や条件が開く感じです。
できない
→ できる
受け身のように外から行動を受けるのではなく、自分の側に焦点があります。
3. 自発の「られる」
自発は、「自然にそう思う」「思わずそう感じる」という意味です。
学習者にとっては少し見えにくい用法ですが、実は読解でよく出てきます。
例文
- 故郷のことが思い出されます。
- 将来のことが案じられます。
- その映画を見ると、人生の大切さが感じられます。
この用法では、自分の意志で積極的にしているというより、気持ちや考えが自然にわいてくる感じがあります。
見分けるコツ
自発は、よく次のような語と一緒に使われます。
- 思い出される
- 感じられる
- 案じられる
- 偲ばれる
つまり、心の動きや感覚に関係する語が多いのです。
そして、「わざとそうしている」というより、「自然にそうなる」というニュアンスがあります。
イメージ
自発は、心の中に自然に浮かぶ感じです。
自分で強くコントロールしているのではなく、気持ちが自然に動く。
そこが可能や受け身との大きな違いです。
4. 尊敬の「られる」
尊敬は、相手の動作を高めて言う使い方です。
例文
- 先生はもう帰られました。
- 社長は明日大阪へ行かれます。
- お客様は何時ごろ来られますか。
ここでは、「られる」は受け身でも可能でもありません。
主語である相手を立てるために使われています。
見分けるコツ
尊敬の「られる」は、主語が目上の人であることが多いです。
- 先生
- 社長
- 部長
- お客様
そして、その人が実際に何かをする文になっています。
- 先生が帰られる
- 社長が話される
- お客様が来られる
「誰かに帰られる」のではありません。
「先生が帰る」という動作そのものを丁寧に高めているのです。
イメージ
尊敬は、動作の意味よりも、人間関係が重要です。
この文は何を言っているかだけでなく、
「誰について言っているか」
を見ると判断しやすくなります。
4つを一気に見分けるための簡単な考え方
「られる」を見たら、次の順番で考えると整理しやすくなります。
1. その人は目上の人か
主語が先生、社長、お客様などで、その人の動作を丁寧に言っているなら、尊敬の可能性が高いです。
- 先生は来られました。
- 社長が話されました。
2. 「できる」に言いかえられるか
自然に「できる」に置き換えられるなら、可能です。
- 明日は来られます。
- この字は読まれます。
3. 誰かに何かをされた文か
相手から何かを受ける意味なら、受け身です。
- 先生にほめられた
- 母に起こされた
4. 自然に心が動く意味か
「思う」「感じる」「思い出す」など、気持ちが自然に出てくるなら、自発です。
- 昔のことが思い出される
- 不安が感じられる
学習者が特に迷いやすいポイント
受け身と可能は形だけだと似ている
たとえば「見られる」は、文脈がないと意味が決まりません。
- 犬に見られた。
- 富士山が見られる。
前者は受け身です。
犬がこちらを見た、つまり外からの行為を受けています。
後者は可能です。
富士山を見ることができる、という意味です。
同じ形でも、文の中で何が起きているかを見ないと判断できません。
尊敬と受け身も混ざりやすい
- 社長は新聞を読まれました。
これは尊敬です。
社長が目上の人で、「読む」という動作を高めています。
一方で、
- 社長は部下にほめられました。
こちらは受け身です。
部下がほめる側で、社長はその行為を受けています。
つまり、「に」があるかどうか、誰が主語か、誰が行動しているかを見ることが大切です。
自発は単独で覚えるとわかりにくい
自発は、文法用語だけを見ると難しく感じます。
でも、「自然にそう思う」「思わずそう感じる」と考えるとかなりわかりやすくなります。
- 春になると、学生時代が思い出されます。
- この写真を見ると、家族のありがたさが感じられます。
自分で無理に思い出しているのではなく、自然に心に浮かぶ。
それが自発です。
試験で迷わないための覚え方
覚え方はシンプルです。
- 受け身は「される」
- 可能は「できる」
- 自発は「自然にそう思う」
- 尊敬は「相手を高める」
この4つに言いかえられるかを考えるだけでも、かなり整理できます。
文法問題では、形だけで判断しようとすると迷います。
意味を日本語で言いかえると、見分けやすさが一気に上がります。
まとめ
「られる」は、日本語学習者がぶつかりやすい大きな壁のひとつです。
でも、難しいのは形が同じだからであって、意味の見方まで複雑なわけではありません。
見るポイントは4つです。
- 誰かに何かをされているか
- できるという意味か
- 自然にそう感じるか
- 目上の人の動作を高めているか
この4つを順番に確認するだけで、「られる」はかなり整理しやすくなります。
文法は、似ている形をまとめて覚えるより、違いをきちんと分けて理解したほうが強くなります。
「られる」の4つの意味がクリアになると、読解も会話も、確実に安定してきます。
日本語のまぎらわしい文法を、例文と問題でしっかり整理したい方は、RJTで実践しながら学んでみてください。意味の違いを感覚ではなく、使い分けとして身につけやすくなります。